ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリなど。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

こんにちは!トラベルライターの土庄(とのしょう)です。

私は学生時代から、自転車で日本各地へ出かけるようになりました。サラリーマンになった今でも、長期連休すべてを自転車旅に費やすスタイルを貫いています。これまで4年間にわたり、1万km以上の距離を走ってきました!


その中で、他の旅人とは異なるアイデンティティとして芽生えたのが、日本の道に対する愛です。自動車とは異なり、風景がゆったりと流れる自転車旅では、ふと心の琴線に触れるような、感動的な道の風景に出会えることがあります。


名付けて「瞬間の絶景道」!走っている刹那、思わず立ち止まって見惚れてしまう。今回は、そんな私のお気に入りの道を10箇所ご紹介していきましょう!

もしかしたら、あなたのお住まいの近くにも、隠れた絶景道が存在するかもしれませんね。ぜひ国内旅行の参考にしていただけたら幸いです。

圧倒的なバリエーションと美しさを見せる「日本の道」


道というと、皆さんはどのような感想を抱くでしょうか?きっと「それ自体が目的というより、目的地へ向かう手段」と考える方が多いと思います。しかし実は、日本には、巡る価値のある素晴らしい道が本当にたくさん根付いています。


その代表格と言えるのが「日本百名道」でしょう。景色がすばらしい道を100つ厳選した、道マニアのバイブルです。

風光明媚な瀬戸内海の海道や世界遺産の中を走る山岳道路、カルスト台地を走る天空の道など、実に個性的なラインナップで、日本にはこれほど美しい道があったのかと、道自体の魅力を教えてくれます。


私は最初、その百名道を基準に旅先を決めてきました。でもあるときから、それに頼りすぎず、Googleマップを見て、自分の直感を信じて旅をするようになりました。

その理由こそ、今回紹介する「瞬間の絶景道」。実は、ほとんど知られていない無名の道であっても、感動を呼び起こす風景がたくさん眠っていたのです。

道マニアが贈る!日本が誇る瞬間の絶景道10選

それでは、私が今まで旅をしてきた中で、珠玉の絶景道を10つまとめて紹介していきます!

恐らくほとんど知られていませんが、どれも「日本の道はこんなにポテンシャルが高いのか!」と感じていただける道ばかりだと思います。

まるで道東のスケール!下北半島「稔りふれあい道路」(青森県)


まず紹介したいのは本州最北の地・下北半島。むつ市街から尻屋崎へと抜ける途中にある「稔りふれあい道路」です。

この道のポイントは、まっすぐに伸びる直線道路と田園風景!まるで北海道に来たかのように錯覚させる奥行きとスケールを誇っています。

特に、少し霞がかった朝日のタイミングが幻想的でおすすめ!後半には美瑛を彷彿とさせる軽い丘の景色も見られます。

天を衝く秀峰に見とれる「岩手山パノラマライン」と「焼走り溶岩流」(岩手県)


2つ目は、東北・岩手山の北東山麓を走る道。通称「岩手山パノラマライン」と呼ばれるこの道は、最高の景色と走りごたえを誇っています。特に、道の頂上付近にある「焼走り溶岩流」から眺める岩手山は天を衝くような迫力で、しびれる絶景!

また道の後半には、岩手と秋田の県境を作る八幡平へとダイブしていく、超快走のストレートがあり、本当に走っていて気持ちのいい道です。

北アルプス・白馬岳へ続く、圧倒的標高差の「栂池自然園」(長野県)


3つ目は長野の「栂池(つがいけ)自然園」。冬季はスキーで有名な、あの白馬にある山岳道路です。ほとんど知られていないのは、一般車両は自転車しか入れないから。

1,400mと国内屈指の標高差となっており、なかなか過酷です。ですが、途中では北アルプスの主峰の一つ「白馬岳(しろうまだけ)」が顔を覗かせる絶景や、雲海広がるパノラマを見られることも!

世界遺産・五箇山「山の神林道」は霧氷の絶景ロード(富山県)


世界遺産に登録されている五箇山から、富山の秘境集落・利賀村へつながる「山の神林道」。通常はなんの変哲もない道なのですが、冬になるとその姿は一変します。

道の両脇の木々が白く染まり、霧氷の中を駆け抜ける道へ!クライマックスの新山の神トンネルを越えれば、金剛堂山を中心とした美しき白銀の峰々を見渡せます。

海と山が織りなす感動の道!「奥能登絶景海道」(石川県)


5つ目は道マニアから熱烈な支持を受ける「奥能登絶景海道」。能登半島の北海岸沿いを走る風光明媚な道路です。この道のポイントは、海と山が絶妙に結びついた、景色変化に富んだ道だということ。

特にすばらしいのは、峠の様相を見せる「椿展望台」付近で、迫力ある地形と海が織りなす瞬間の絶景に出会えること。また白米千枚田がある区間も、アップダウンと爽快な海の風景が魅力です。

絵画の世界に入り込んだような鯖街道の秘境「おにゅう峠」(滋賀県)


関西からは鯖街道の秘境峠がラインクイン!今までほとんど知られていなかった道なのですが、近年バイク乗りの間で有名となり、特に紅葉の時期には多くの人がツーリングに訪れるようになりました。

その理由は、峠の中腹から見渡すこの絶景!今まで走ってきた道を振り返ることができ、そこには淡く鮮やかな紅葉が添えられます。まるで絵画の中に入り込んだような、心惹きつけられるワンシーンは、一度見たら目に焼き付いて離れません。

小豆島「三都半島道路」はのんびり美しい癒やしの道(香川県)


私の自転車旅の原点である香川県小豆島にも、素晴らしい道が数々存在しています。中でもマニアックでありながら、島を訪れると何回でも走りに行ってしまうのが「三都半島道路」。島南部の30km弱のこの道は、癒やしの風景の連続で、瀬戸内らしい旅情に包まれています。

特に半島東側で、突如海沿いへと出る区間は爽快!また半島先端の釈迦ヶ鼻からは、漁船が連なる美しい海を眺められます。春先、河津桜が咲く時期もおすすめです。

ヨーロッパを彷彿とさせる牧歌的風景なら「風の里公園線」(高知県)


陸の孤島と言われるように、隔絶した自然を育む高知。その中でも密かにおすすめしたい道が「風の里公園線」です。四国山脈の尾根筋に沿って大型風車の間を縫いながら走る景観は唯一無二で、引き込まれる世界観を放っています。

中でも道の途中、風の里広場からは鳥形鉱山を見渡す、どこか異国情緒漂うパノラマが!また後半にはカルスト台地が顔を覗かせ、”もう一つの四国カルスト”とマニアの間で話題です。

瀬戸内海のポテンシャルを感じる「周防大島一周」(山口県)


9つ目は瀬戸内海に浮かぶ「周防大島一周」です。目立った観光スポットがあるわけでもない、穏やかで素朴なこの島ですが、随所で筆舌しがたいほどに美しい瀬戸内海を眺められます。

水はスカイブルーに透き通り、行き交うフェリーが旅情を高め、漁村の風景に癒やされる。五感をフルに刺激して、瀬戸内のポテンシャルの高さを伝えてくれる、道好きには堪らない絶景道と言えるでしょう。

「五島列島・桐古里郷の道」で7色の海と出会う(長崎県)


ラストは私の旅歴の中でもイチオシの長崎県「五島列島」から。道自体は、上五島・中通島の西側の海岸沿いを走る名もなき道なのですが、その随所で心を動かされる7色の海に出会うことができます。

ターコイズ色の遠浅の海は、水深が深くなると濃いブルーサファイア色へ。光の当たり具合や周囲の緑が映り込むとエメラルドグリーン色に変わります。

また、海を見渡すように立つ桐教会も相まって、まさに「祈りの海」と呼ぶにふさわしい荘厳な雰囲気を醸し出してくれるのです。

旅はまだまだこれから。日本中で心奪われる絶景を見つけよう


道を訪れることを目的に旅をする人は珍しいかもしれませんが、実は全国各地には、日本の魅力を物語る道がたくさんあります。

そして、これまで見てきた道以外でも、今後もまだまだ感動をもたらしてくれる道に出会うことができるはず!そういう意味で、旅には終わりはない。極論を言えば、道の数だけ旅があると思っています。

海外旅行が難しい今だからこそ、ふと訪れた場所で、心奪われる道の風景を写真に収めてみてください!新たな日本の魅力に気付くきっかけになるかもしれませんよ。

All photos by Yuhei Tonosyou

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土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリなど。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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