ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤務しながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

旅と写真が大好きなトラベルライターの土庄です。「最強の旅行用サブカメラ!?11Pro以上の「iPhone」がおすすめな理由と活用法」の記事でも綴ったように、今回も旅で使用するカメラについて考えてみたいと思います。

前回はサブ機としてのスマートフォンでしたが、今回はメイン機の一眼レフについて。

画質は大事ですが、汎用性も担保しつつ、どうやって旅先のシーンに適応させていくか、アウトドア志向の強い私のスタイルにおいて、何がベストな形なのか。これを問い続けて約3年、現在ようやく「入門者向けボディ+便利ズームレンズ」という組み合わせに落ち着きました。

今回は、旅先の記録をこえて、自分の写真の幅を広げ、旅の楽しみ方にも影響を与えてくれた「便利ズームレンズ」の魅力をご紹介したいと思います。

便利ズームレンズとは


高倍率ズームの俗称「便利ズームレンズ」。つまり、広角から望遠まで1本のレンズでまかなうことができるレンズです。

通常、レンズは広角と望遠で2本以上に分かれることになります。撮影にあたっては、シーンに合わせてレンズを交換するか、複数台ボディを持ち歩くのが一般的ですが、便利ズームレンズであれば1本で対応できます。

ただでさえ重量がかさむ一眼レフ。特に望遠レンズをつけると2kgを超えてしまうことも。そういう意味では、便利ズームの携帯性は画期的と言えます。

半分以下の重量で、広角・望遠ともに対応できるので、汎用性を重視すれば、これ以上の選択肢はありません。

標準ズームレンズキットからはじまった


市販のカメラを購入するとき、レンズキット(カメラボディとレンズのセット)としては、主に2種類で販売されていることが多いものです。それは、中望遠まで対応できる標準ズームレンズキット(18-135mm)か、広角と望遠(18-55mm、55-250mm)が分かれたダブルズームレンズキット。

通常、前者の方が高価ですが、私がたまたま家電量販店へ足を運んだときには、たまたま一眼レフキット「CANON EOS8000D EF-S18-135 IS STM レンズキット」が値下がっており、8万円と格安で購入できました。

この選択があったからこそ、カメラを手にした瞬間から、ズームレンズの恩恵をしっかりと享受できたのだと思います。このカメラを担いで1万km以上自転車で旅をし、数えきれないほどの被写体に向き合ってきました。

より望遠域をカバーするレンズへ


初期のレンズキットに特段不満があったわけではないのですが、旅に没頭すればするほど、写真に親しめば親しむほど、より広い画角が欲しくなっていきます。

目の前の道から、空がひらけ、眼下には雄大な大自然。遥か先には、雲海から頭を覗かせる山頂。望遠でなければ切り取れない、”細部に神が宿る”瞬間の情景を、写真に収めたいと思うようになります。


風景写真で重宝するのは広角です。広角レンズを持たずに旅をすることは考えられません。また重量のある望遠レンズは、自転車や登山といったアクティブな旅スタイルには、やや不向き。

そこで現在愛用している「TAMRON18-400mm」を導入することになったのです。APS-C専用レンズですが、フルサイズ換算で600mmまでカバーできる広角超望遠レンズは、圧倒的な対応力で、写真の楽しみ方を大きく広げてくれました。

便利ズームを導入して広がったこと

ここでは、便利ズームレンズの導入によって実現した写真の楽しみ方や、培われたスキルについてご紹介したいと思います。

画角の出し入れ


1本のレンズで対応するからこそ、広角から中望遠、望遠まで、風景変化に合わせて瞬時に設定し、撮影するクセがつきます。

特に、登山で使い始めたことが、自分にとって大きかったのかもしれません。足元に目を向けると、小さな発見であふれ、視界が開ければ、ダイナミックな展望が広がります。


風景が目まぐるしく変化し、瞬時に対応することが求められるのが、山というフィールドなのです。

マニュアル設定であれば、F値やシャッタースピード、ホワイトバランスなど、細かな条件を感覚で設定できるようになり、あらゆる画角をスムーズに出し入れできるようになりました。

自然を切り取るアンテナ


前述のスキルを高めていくと、風景に対する感度が上がっていきます。以前の自分には見えていなかった、よりディープな自然にフォーカスできるようになりました。

望遠できればできるほど、目の前の風景への見方がミクロになります。ひとつの風景でも、切り取れる表情の可能性は無限大です。


それを自らの感性の赴くまま、拾い上げていく感覚。これは、記録の意味合いから始まった写真とは一線を画す幸福感を得られるものでした。まるで散らばっている宝物を集めていくような、トレジャー的な楽しさがあります。

旅の記録と作品の両立


旅写真に便利ズームレンズを導入する醍醐味は、「旅の記録と作品を両立できること」だと思っています。

室内・外と、旅先の全シーンに対応し、その中で自分の心の琴線に触れる作品を撮る。それをミニマムの重量でこなせるのは、大きなアドバンテージです。


旅の道中では“記録用”としてサクサク撮影し、印象的なシーンが現れれば、とことんこだわって“作品としての写真”を撮る。このシームレスな使い分けこそ、便利ズームレンズの一番の魅力だと思います。

デメリットもあるがメリットが大きい


細かいところを言えば、望遠側の色収差やAFの遅さ、ピンボケのしやすやなど、便利ズームレンズには難点もありますが、それでもメリットの方が勝ります。

プロではないので、何度でも撮影のやり直しがききますし、「もっと望遠できるレンズがあれば撮れたのに……」という後悔をすることもありません。


画質も単焦点や高級レンズにはかないませんが、画質第一でなく総合力を求めれば、便利ズームレンズに軍配が上がると思います。また中古なら2万円〜6万円前後で購入できるレンズも多く、コストパフォーマンスの高さも魅力です。

線として日本を捉える感性


特に登山へ超望遠レンズを導入してから、点ではなく線として、日本を捉える機会が増えました。具体的には、地図でつながっている日本各地の山が、まるで目に見えない線で交わっていると感じるようになったのです。

たくさんの山に登れば登るほど、かつて登った山を違う山から眺める機会が増えます。それを繰り返すなかで、かつて自分の足で歩いた記憶をまた違う山から見つめ直すという、不思議な経験をするようになったのです。


望遠レンズで遠くの山々を覗くことは、その記憶の糸をたどるトリガーとなる行為。過去の延長線上に今の自分がいて、そして今の旅がある。望遠でシャッターを切ることが、旅の最高のスパイスとなっているのです。

私の旅の相棒「便利ズームレンズ」のススメ


今回は、私が愛用している「便利ズームレンズ」の魅力を、旅に落とし込んでご紹介してみました。

最初は「旅の思い出を何かのかたちとして残したい!」と、記録の意味合いが大きかった写真ですが、いつしか記録であり、記憶であり、作品に。そして替えの効かない、まさに自分の宝物と言える存在になっています。

これほど写真の考え方や楽しみ方が変わったのは、紛れもなく「便利ズームレンズ」のおかげ。これからも、最高の相棒と一緒に、あらゆるフィールドを駆け巡っていきたいと思います。

All photos by Yuhei Tonosho

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤務しながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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