ライター

東京都出身、大自然に憧れるギャップ系女子。「1度きりの人生、世界を見てから死にたい!」という想いから20歳で初めての海外旅行へ。2ヶ国目のタイではタクシーで爆睡し、3ヶ国目のフランスでは列車で爆睡して待ち合わせに2時間遅刻してしまうほど大雑把で大胆な一面も。憧れの旅人はスナフキンで、将来は気の向くままに世界を放浪しながら仕事をして、自分の旅本を出すのが夢。

TABIPPOという旅を広める会社にいると、いろんな旅人の噂を耳にします。私はある日、とあるクライアントからこんな話を聞きました。

「人力車で世界一周している方たちをご存知ですか?僕、大好きなんですよ。」

おそらく旅人界隈では知らない人はいないであろう“リキシャーズ”と名乗る彼らのことを、恥ずかしながら私は知りませんでした。

偶然にもその後編集長からインタビューの要請が入り、「なんて巡り合わせだ」と思いながらも、私は台風の前日、雨の降る浅草へと向かったのです。

そして、まんまと私はリキシャーズさんの魅力にやられました。彼らの抜群に面白いトーク力と、ひたむきに夢へと突き進む情熱の虜になってしまったんです。

今回は、3人組で人力車と共に世界一周に挑むリキシャーズさんに、アジアでの旅のお話を伺いました。

 

リキシャーズって、一体何者?

▲左から高橋さん、平野さん、鈴木さん

前人未到の人力車×世界一周で海外に日本文化を伝えることをテーマに、2016年9月から2019年11月までの3年間で世界一周に挑戦。淺草の東京力車で働く現役の俥夫3人組です。

目標は2020年に開催される東京オリンピックの開会式に人力車で入場することで、「世界一周人力車の旅〜みんなの夢を乗せて5大陸制覇〜」というプロジェクトを立ち上げられています。

また、その活躍は目覚ましく、日本テレビの「ZIP!」や、NHKドキュメンタリーの「旅旅しつれいします。」に出演。読売新聞や朝日新聞などにも取り上げられ、中国や台湾、香港、ベトナムでも様々なメディアでインタビューを受けるなど、話題を呼んでいます。

 

人力車との出会い

ーーそれでは自己紹介と、人力車を始めたきっかけを教えてください。

鈴木悠司さん(以下、すーさん)僕はもともと京都出身で、サッカーを15年ぐらいやっていました。海外でサッカーをやってみたいなと思って、2011年にブラジルに行ったのがきっかけで旅が好きになりましたね。大学4回生のみんなが就活を頑張ってる時期に、1ヶ月くらいヨーロッパを放浪したこともありました。

ーーもともと好奇心旺盛だったんですね。

すーさん:そうですね。帰ってきた時にもうちょっと刺激欲しいな、世界一周したいな、と思って大学卒業とともに東京に出てきて、 旅の資金集めのために働かせていただいたのがこの会社だったんです。「お金稼がなあかんし、まー仕方ないし頑張ろう」ってやってみたらすごく面白くて(笑)今はもう5年目ですね。一応、好きな食べ物はバナナです。

ーー(ば、バナナ?)ありがとうございます!では高橋さん、お願いします。

高橋圭輔さん(以下、てんすけん)初めまして!秋田県立◯◯高等学校より参りました、高橋圭輔と申します!

すーさん合コンか!

てんすけん僕は高校を卒業して、一旦公務員になったんです。秋田県警に勤めてたんですけど、その時にものすごい焦燥感と言うか、終わってしまった感を感じてしまって。お笑い芸人をやりたいって本当はずっと思ってて、それで仕事を辞めて東京に上京してきたんです。僕すごい経験フェチで、東京出てからホストもやって、新聞配達しながらお笑いの養成所通って芸人としてデビューさせて頂いて、その後ホテルとか、ディズニーでも働いてみたり…。

ーーすごいですね(笑)

てんすけん:これはまとめられるなって思って、人力車もやってみたくて始めました。僕の地元に角館っていう“みちのくの小京都”って京都を超えた町があるんですけど、そこで小さい頃から人力車を見て育ったので。

▲「京都を超えた街」に反応する鈴木さん

すーさんあ〜あの、えっと何か言いましたか?

てんすけん言ってない言ってない。

ーー始めてからどのくらい経ちましたか?

てんすけん全部1年ぐらいって考えてやってたんですけど、この仕事だけもう5年ですね。人力車をやっていく中で彼と出会って。常に面白いことやりたくて、「不眠不休で浅草寺から清水寺までチャリンコで何時間で行けるか」っていうトライアスロンを鈴木としたりもしました。一応好きな女性のタイプはメンヘラな子です。

ーーそれしか残らないです今(笑)インパクトすごすぎて。

すーさん:秋田のイメージ悪いで。

てんすけん:好きな食べ物言ってたから、俺も好きな何かを言おうと思って。

ーーありがとうございます。では平野さんお願いします。

平野謙さん(以下、ケニー):僕は小学校6年間中国の上海にいて、中高は日本。大学はカナダの短期大学に2年間留学後、卒業して関西の大学に3年生で編入しました。そのまま大阪で就職して商社で1年間働かせてもらって、ステップアップのために商社の後は飲食、その後に人力車を始めました。

ーーなぜ人力車を始めようと思ったんですか?

ケニー:自分の語学も活かせますし、運動も好きだったっていうのと、日本の文化や歴史って知らない人が多いじゃないですか。海外の人達にそういうのをうまく伝えていきたいなと思って。僕はまだ全然2人とは年数は短いので、トータルで言うと1年ぐらいです。ざっくりだとこんな感じですかね。好きな筋肉の部位は胸筋です。

ーーありがとうございます。(確かにガタイがいい…)

 

リキシャーズ結成への道のり

ーー結成当時のエピソードを教えてください。

すーさん:一番最初、僕が「もう世界一周行きたい!」みたいな感じやって、元々は人力車を持っていく予定はなかったんです。大きいし無理やろと思って。会社で貯まった貯金を使って、ハンディカメラ持って人力車の半纏着て、世界を案内するYoutuberになりつつ、世界を1年間くらい一周できたらいいなと思ってました。

ーーYoutuberとは意外です。

すーさん:ムービー編集が好きなんです。それで去年の2月に会社を一回辞めさせていただいて、英語の勉強のためにフィリピンに3ヶ月間行ったんですよね。出版とかも考えてたので、事前に企業の方にも話に行ったりして。そしたら出発の一週間前くらいに「人力車の格好で世界一周するんやったら、人力車持ってったらどうなん?」みたいな話をめちゃめちゃもらったんです。

自分のとある知り合いからもクラウドファンディングを紹介していただいて、「これで世界一周の資金を集めて、人力車を運送会社か引越し業者に頼んだら、運べるん違うの?」っていう話を聞いた時に、「確かに」って思って。

ーー道が拓けた瞬間ですね。

すーさん:でも、これ自分一人だったら難しいなと思って。そん時に仲間とやったほうが面白いわって思って、フィリピン留学中にてんすけんに電話して、「今自分こういうのやろうと思ってんやけど、よかったら来いひんか?いつもみたいにバカやろうぜ。ただし今回は3年間やけど」って伝えて。

てんすけんはその時レギュラー番組も決まってたんですけど、15秒くらい真剣に悩んだ後に「Yes」って言ってくれて。事務所もレギュラーも全部辞めて仲間になってくれました。

ーー決断力が素晴らしいです!

すーさん:ほんまにめっちゃ協力してくれてて、運送会社との連絡のやり取りをてんすけんがやってくれたんですよ。それで元々はそのまま世界一周行く予定やったんやけど、一回帰ろうと思って。日本に戻ってきて会社に「人力車持って行こうと思います」と話をしました。

 

人力車世界一周は、周囲の協力があったからこそ

ーー会社の反応はいかがでしたか?

すーさん:会社も「一台やったら、車庫の方にすごい古い車があるから、それなら使っていい」って言ってくれて。ただ、原型がなかったんですよ!プラモデルみたいに、タイヤは転がってるやつ使ってくださいみたいな(笑)それで組み立てる時に力が必要やったから、友達とか人力車の仲間にも手伝ってもらったり、会社の人にも手伝ってもらったりしてて。とにかく最初はそういう感じで始まりましたね。

ーー出発はどちらからされたんですか?

すーさん:初めはフランスから出発しようとしてたんですけど、中国からの方がやっぱり近いから、中国走って後々フランスからヨーロッパを巡るルートになりました。ただ、僕ら語学力が乏しくて。中国語喋れる人いいひんかなって時に、「あ、ケニーいた!」みたいな(笑)それでケニーに声をかけたんです。

彼は夢がいっぱいあるんで言いづらかってんけど、「中国だけついてきてほしい」ってお願いして。そしたら「中国だけなら」っていうことで、一応仲間がひとり増えました。

みんなで目標に向かって動き出していくうちに、次第にチーム力が高まっていったというか。それで、てんすけんとケニーが2人で話しているときに、「ケニーも世界一周行きたい気持ちあるんやね」って話をしたみたいで。これはもう営業するしかないと。そしたら逆にケニーから想いを伝えてくれて。「じゃあ世界一周3人で行こうか」っていうことでリキシャーズが結成されました。

ーーなるほど。それぞれ担当というか、役割があったんですね。語学に、お笑いと。

てんすけん:一応あの、担当は修理ですね(笑)

すーさん:こう見えても、頭いいんですよ。ルートとか、その時に必要な書類とか、そう言う管理をやってくれてます。僕は走る担当みたいになってますけど。

てんすけん:僕ものすごい体弱くて、空気悪いところ行くと2kmで限界迎えちゃうんですよ。「鈴木さん、すみません」って。

すーさん:ほんま三者三様なんで、お互いが持ってへんものを持ってます。

ライター

東京都出身、大自然に憧れるギャップ系女子。「1度きりの人生、世界を見てから死にたい!」という想いから20歳で初めての海外旅行へ。2ヶ国目のタイではタクシーで爆睡し、3ヶ国目のフランスでは列車で爆睡して待ち合わせに2時間遅刻してしまうほど大雑把で大胆な一面も。憧れの旅人はスナフキンで、将来は気の向くままに世界を放浪しながら仕事をして、自分の旅本を出すのが夢。

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