誰しもが一度は憧れる世界旅行。年間3000人もの日本人が世界旅行へと出発しているらしく、書店に行けば旅行記なども多く見ることが出来ます。
そんな旅行記の中でも旅人のバイブルと言われているのが作家の沢木耕太郎による旅行記「深夜特急」。1970年代にインドのデリーからイギリスロンドンまでの旅を記した大ヒット旅行記で、多くの旅人がこの書籍を読み胸を高鳴らせ海外へと旅立っていきました。
そんな深夜特急の【現代版】とも言えるような旅行記に先日発売されました。数ある旅行記の中でも内容がかなりオモシロかったのでご紹介です。
僕らはまだ、世界を1ミリも知らない
Photo by Takayuki Matsunaga
著者である太田英基さん(現:School With CEO)の2年間50カ国の世界旅行を記したこの書籍ですが、世界旅行で日本人が感じる日本と海外との違いがリアルなエピソードと共に綴られています。
「私の街にはたまにロケット弾が降ってくるけど大丈夫?」(イスラエル人女性)
“それにしても驚いた。ロケット弾が街に降ってくることに対してではない。イスラエルがパレスチナのガザ地区と戦争状態にあるのは理解していた。何に驚いたかというとロケット弾が飛んでくるとわかっている土地に、今も彼女が当たり前のように住み続けているということだ。”
これは著者が中米グアテマラで1年前に出会ったイスラエル人女性にイスラエルで会おうとした際に、言われた言葉。
現在もパレスチナとの戦争状態にあるイスラエルでは未だにロケット弾が打ち込まれることも珍しくはないらしく…。日本に居る僕らからは想像も出来ない「当たり前」がそこにはあるのです。
「亡命したい」と言う国立大学の学生(キューバの大学生)
“「私はキューバが大好き。なぜならここには私の家族も、親戚も友達もみんな居るから。母国が好きなのは当たり前でしょう?…でもやっぱり私は亡命することを考えてしまうの。私もあなたみたいに世界を旅したい。もっとオシャレな服を着たい。もっといい生活をしたいの。」”
これはキューバで国立大学を訪問した際に、現地の大学生から聞いた話。
社会主義国家のキューバでは医療や、教育が無償で受けられるのだがどれだけ働いても給与にほとんど差がないそうです。
医者も、弁護士も清掃員も月給数10ドルとのこと。そのため観光客を狙った犯罪が多く、警察などは観光客と仲良くするキューバ人を警戒する様になっているらしいです。あなたは人生で「亡命したい…」と考えたことはありますか?
生卵を食べるなんてありえない!!(ドイツでの宿泊先)
“「さあ、食べよう!生卵をお椀に割って、そこでお肉と絡めて食べるんだ!(すき焼きを前にして)」その瞬間だった。さっきまで笑顔だったみんなが表情を曇らせている…。なんとその場にいた全員が、生卵を拒絶した。ドイツ人、デンマーク人、フランス人。アイルランド人、アメリカ人…全員が生卵にNOを突きつけるハプニングが発生したのだ!”
著者がドイツのデュッセドルフで宿泊先で日本の「すき焼き」を振る舞おうとしたときのこと。生卵を食べる習慣は世界を見ても日本くらいらしいだそう。
海外の卵の賞味期限は1ヶ月が当たり前なのだが、日本は1週間ほどのものが多い。そもそも海外では「焼いて食べる」が前提らしく、「生」で食べるなんてサルモネラ菌が恐ろしくて食べないとのこと…。これは驚きですね。
映画『ロッキー』で主人公が生卵を飲むシーンがあるのですが、海外の人からすると「卵を生で…!そんなリスクまで背負って強くなりたいのか…!」という風に見えていたらしいです。。
これらのエピソードは書籍の中のほんの一部に過ぎないのですが、その他の国で起きたエピソードもとても感慨深く感情移入してしまうものでした。
300Pほどあるのですが、文章もとても読みやすくスーッと物語の世界へ入ることが出来ます。書籍を読んでいて旅を最大限に楽しむコツがあったので3点まとめてみました。