戦時中にカタカナが使用できなかったころ、外国の国名はすべて漢字で表現されていました。
現代でもその名残で、「日◯首脳会談」のように漢字一文字で表されることがよくありますが、中には漢字一文字ではどこだかわからない、というケースもあります。
ここでは、一見漢字一文字で表されてもわからない国々を紹介します。
*編集部追記
2016年4月に公開した記事に新たに5つを加筆しました。(2018/12/02)
沙(サウジアラビア)
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国名を漢字にすると「沙特阿拉伯」と書きます。
多くの場合当て字のような形で表現されますが、「沙」は「さ」と読めますので、これは簡単な部類といえるでしょう。
叙(シリア)
シリアは「叙利亜」と書きます。「叙」は「し」とは読みませんが、シリアは現地音に近い表記にすると「スーリーヤー」となるため、それに近い漢字があてられたと考えられます。
星(シンガポール)
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漢字で書くと「新加坡」となりますが、「新」とするとニュージーランドの略称と同じになってしまうため「星」となりました。
これは、かつて音訳で「星港」と表記されていたころの名残といわれています。
錫(スリランカ)
スリランカは「錫狼」と書きます。スリランカはかつて「セイロン」とよばれ、それの漢字表記を「錫狼」としていました。そのため現在でも「錫」が用いられています。
塔(タジキスタン)
漢字では「塔吉克斯坦」となり、中国語でも同じ漢字が当てられます。日本語では「汰爾奇斯坦」と漢字があてられることもあります。
馬(マレーシア)
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「馬」は「ま」と読めますので簡単に想像できますね。漢字表記では「馬来西亜」となります。
緬(ミャンマー)
第二次世界大戦中にタイとビルマ(現在のミャンマー)を結んでいた、泰緬鉄道という鉄道がありました。
これは旧日本陸軍によって建設・運航されたものですが、当時からミャンマーは「緬甸(めんでん)」と呼ばれ、現在でも「緬」が略称として定着しています。
老(ラオス)
漢字表記では「羅宇」となりますが「羅」はルーマニアの略語でもあるため、漢語の「老檛」から「老」の字が当てられています。
埃(エジプト)
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漢字表記は埃及(読みはアイキュウ)となります。
これは当て字ではなく「砂埃が吹き及ぶ土地」というイメージから付けられたといわれています。
公(コンゴ)
コンゴ共和国、コンゴ民主共和国(旧ザイール)とも「公」と書かれます。
両国は隣接していながら別々に「コンゴ共和国」と名乗っていた時代があり、その名残で表記も同じになっています。
突(チュニジア)
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漢字表記は「突尼斯」となります。これは現地音に近い「トゥーニス」が当てられたものです。
氷(アイスランド)
漢字で書くと「氷島」となります。
漢字表記とする場合、多くは発音に字を当てますが、アイスランドに関しては「Ice」「Land」を日本語訳にする珍しいパターンとなります。
愛(アイルランド)
漢字では「愛蘭」または「愛蘭土」と表記されます。読んで字のごとく、発音に漢字を当てています。
希(ギリシャ)
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漢字で書くと「希臘」で、とても難しい漢字を用います。
そのまま読むと「きろう」となりますが、これは現地音の「エラス」から来ていると考えられています。
瑞(スイス)
漢字では「瑞西」と表記します。
中国語でもスイスを表すのに「瑞」という文字を使用し、かつて台湾とスイスを結んでいたスイスエア・アジア航空の尾翼には「瑞」の文字が使われていました。
丁(デンマーク)
漢字では「丁抹」や「嗹馬」と表記されます。「丁」は「デン」とは読みませんが、漢語から来たものと考えられます。
洪(ハンガリー)
漢字表記では「洪牙利」となります。
日本語では「洪」という文字を「ハン」とは読みませんので、これも漢語が由来であると考えられます。
芬(フィンランド)
日本語表記は「芬蘭」で、中国語でも同じ漢字が当てられます。ランドを「蘭」とするのは、アイスランドも同じです。