シリアのアサド政権軍は3月27日、過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあったパルミラを奪還し、完全に制圧したと発表。ISによって破壊されたパルミラ遺跡の様子も公開されました。
無惨にも破壊されてしまった貴重な遺産。それが今回、3Dプリンターによって復元されました。
3分の2の大きさで復元
photo by digitalarchaeology.org.uk
デジタル考古学研究所(Institute of Digital Archaeology)によって、破壊されたパルミラ遺跡が3Dプリンターを利用して復元されました。
今回制作されたのは、実物の3分の2のサイズの凱旋門。
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凱旋門は2015年10月に、ISが遺跡の入り口に爆薬をしかけ破壊されてしまいました。復元された凱旋門はエジプト大理石を使って制作されたそうで、細かい模様まで忠実に再現されています。
パルミラ遺跡とは
パルミラ遺跡とは、シリア中央部に位置するローマ帝国時代の都市遺跡。「最も美しい夕日が見られる場所」と言われており、1980年にユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されています。
紀元1世紀から2世紀にかけて制作され、内戦が起こる前には毎年15万人以上の観光客が訪れていたといいます。
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ISの占拠による破壊は、シリア文化財博物館総局のマムーム・アブドルカリム総裁によると「おおかた大丈夫」だそう。
アブドルカリム氏によるとアゴラやローマ時代の円形劇場、市壁などの損傷はわずかで、有名なライオン像も修復できる見通しとのこと。
復元された凱旋門は世界中へ
復元された凱旋門は、4月19日にロンドンのトラファルガー広場で公開。その後はニューヨーク、ドバイなど世界中に展示される予定です。