ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

ヨーロッパに「モルドバ共和国」という国があるのをご存知ですか。九州とほぼ同じ面積で、ウクライナとルーマニアの間にある小さな国です。

モルドバには一体、どのような観光スポットがあるのでしょうか。今回は様々な面からモルドバの魅力に迫ってみたいと思います。

 

*編集部追記
2016年6月の記事に新たに追加しました。
執筆時点での情報なので、実際に訪れた方で古い情報を見つけた方はmedia@tabippo.netまでご連絡ください。

 

訪れた感想

Photo by:新田浩之

私は2015年11月にルーマニアからモルドバに入りました。もともと、モルドバはルーマニアと同じ国だったので、ルーマニアと雰囲気は似ています。一方、モルドバはソビエト連邦の一共和国だったので、ロシアの雰囲気を感じることも。

なお、モルドバ領内にある沿ドニエストル共和国とモルドバ本国の雰囲気は大きく異なります。モルドバはラテン系の国のため、人々はフランク。気軽に声をかけてくれました。

 

おすすめスポット

Photo by:新田浩之

モルドバを訪れたらクリコバにある地下ワイン倉庫と未承認国家、沿ドニエストル共和国は訪れたいものです。沿ドニエストル共和国はモルドバの首都キシナウからマルシュルートカ(ミニバス)を使って簡単にアクセスできます。

今年に入り、沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリにインフォメーションセンターが開設されました。

 

モルドバの概要

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photo by shutterstock

モルドバは九州とほぼ同じ面積で、約291万人が住んでいます。1991年にソビエト連邦から独立しましたが、小さな国土にも関わらず複雑な問題を抱えています。

モルドバ領内には、モルドバの中央政府がコントロールできない未承認国家「沿ドニエストル共和国」があります。周辺諸国との話し合いは行われていますが、問題の解決には至っていません。

 

また国に住んでいる多くがモルドバ人ですが、モルドバ人は隣国のルーマニア人とほぼ同じ。モルドバの国旗もルーマニアの国旗とよく似ています。

モルドバは、ソ連によって作られた「人工国家」と言われることも。そのため、ルーマニアにシンパシーを持っているモルドバ人が多いのです。

 

モルドバ共和国の言語について

Photo by:新田浩之

モルドバ共和国の公用語はルーマニア語です。モルドバ語ではないのでご注意ください。モルドバ語はモルドバがソ連に併合された際につくられた人工的な言語です。

ソ連はモルドバをルーマニアから切り離すために、ルーマニア語をキリール文字(ロシア語と同じ文字)にしたモルドバ語を「開発」しました。そのため、モルドバの人々はモルドバ語に対しては複雑な感情を抱いています。

 

パリより小さいけど、これでも立派な「凱旋門」

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Photo by Tony Bowden

それでは、首都のキシナウ(キシニョフ)から見ていきましょう。キシナウで一番目立つスポットは「凱旋門」ではないでしょうか。「凱旋門」と書いてありますが、本家パリの凱旋門と比べればかなり小さいです。

19世紀にロシアがトルコの戦争に勝った記念として、凱旋門を建設。この時の戦争で現在のモルドバがロシア帝国領になったのです。今では、巨大なモルドバ国旗が掲げられています。

■詳細情報
・名称:凱旋門(Arcul de Triumf)
・住所:Piața Marii Adunări Naționale, Chișinău
・アクセス:中央バスターミナルから歩いて10分~15分
・オススメの時期:冬以外

 

モルドバの複雑な顔が少しは理解できる「国立歴史博物館」

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Photo by 新田浩之

歴史好きの方なら「国立歴史博物館」を訪れても損はないでしょう。国立歴史博物館のポイントはロシア・ソ連への見方が何となく理解できること。

19世紀にモルドバはロシア帝国領になりました。ロシアは隣国のルーマニア公国に負けじとモルドバの近代化を積極的に進めました。博物館でも、ロシアによる近代化政策が紹介されています。

 

その後モルドバはルーマニアに統合された時期もありましたが、1940年にソビエト連邦の一共和国として併合されたのです。

ソビエト時代のコーナーでは、シベリアへの追放を詳しく紹介していました。これらの展示から、モルドバのロシアに対する複雑な感情が何となく読み取れると思います。

■詳細情報
・名称:国立歴史博物館(Muzeul Naţional de Istorie a Moldovei)
・住所:Strada 31 August 1989 121 A, Chișinău MD-2012
・アクセス:中央バスターミナルから徒歩20分~30分
・営業時間:10:00~17:00(冬時間は16:00まで
・定休日:金曜日
・電話番号:+373 22 244 325
・料金:10モルドバレイ
・所要時間:1時間
・オススメの時期:いつでも
・公式サイトURL:http://www.nationalmuseum.md/

 

息吹が感じられる「プーシキンの家博物館」

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Photo by 新田浩之

ロシア文学ファンの方にとっては、必須のスポットではないでしょうか。ロシアを代表する詩人・プーシキンは政治的発言のせいで、1820年にモルドバに追放されました。プーシキンは、キシナウで大作『エヴゲーニイ・オネーギン』を執筆しました。

「プーシキンの家博物館」はその名の通り、プーシキンが実際に住んでいた家を利用しています。プーシキンが住んでいた時代から、あまり年数が経っていないのでリアルに感じられるのです。

なお英語のガイドブックもあるので、ご安心を。

■詳細情報
・名称:プーシキンの家博物館(Pushkin Museum)
・住所:Str Anton Pann 19,Chişinău , Moldova
・アクセス:凱旋門から徒歩10分
・営業時間:10:00~16:00
・定休日:月曜日
・電話番号:+373 292 685
・料金:15モルドバ・レイ
・所要時間:1時間
・オススメの時期:いつでも

 

沿ドニエストル共和国の首都「ティラスポリ」

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Photo by Tony Bowden

やはりモルドバを訪れたら見逃せないのが、沿ドニエストル共和国の首都である「ティラスポリ」。ここには、モルドバの国旗は一切ありません。その代わり、ソビエト連邦時代さながらの「鎌とハンマー」の旗を見かけます。

そして、町を歩いていますと、ロシア語で書かれた政治スローガンが目につきます。思わず「ソビエト連邦はこのような雰囲気だったのか」とつぶやいてしまうかもしれません。

 

なお沿ドニエストル共和国の通貨は「沿ドニエストル・ルーブル」ですが、一部の場所では「モルドバ・レイ」も受け付けてもらえます。

キシナウからティラスポリへはミニバスで約2時間。20分~30分間隔で来ますので、手軽に訪れることができます。ただし現地には地図がないので、あらかじめグーグルマックなどで地図を用意しておきましょう。

ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

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