ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

最近、よく聞くようになったサステイナブルという言葉。「持続可能な」を意味するこの言葉は、私たちTABIPPOが魅力を発信し続けている「旅」と深く結びついています。

「サステイナブルツーリズム」は1995年に世界観光機関らが表明した「観光産業のためのアジェンダ21」の中にも取り入れられており、観光地の自然を守り、持続可能な資源を保つという考え方として知られています。

観光客の急激な増加は空気汚染や、ゴミの増加などのリスクも。環境や資源を傷つけないサステイナブルな取り組みには、どのようなことが挙げられるのでしょうか。「フィンランド」を例に、サステイナブルな旅について考えてみましょう。

野生のベリー、キノコを摘んで食卓へ


フィンランドに関する本を読んだり、実際にフィンランド人と話したりしていると、必ず「ベリー」の話題が出てきます。フィンランドといえば、一番にイメージするのはやはり「サウナ」。なぜそこまでベリーのトピックが挙げられるのか不思議でしたが、どうやらフィンランド人にとっては生活に欠かせないものの一つなんだそう。


気候の関係から果物が育ちにくいというフィンランドで、自生するベリーはとても貴重。森の中には野生のベリー、そしてキノコがたくさん育っているそうです。

国土の70%が森で覆われているフィンランドは、首都ヘルシンキでも自然があふれています。夏の時期になると、みんなベリーとキノコを求めて公園や森へ。フィンランドには自由に食物を採集できる「自然享受権」という権利があり、国民だけでなく観光客も自然の食物を採ることが許されています。


スーパーフードとして人気のリンゴンベリー(コケモモ)も、森の中で簡単に見つけられます。夏のあいだはそのまま食べるもよし、そのあとは冷凍しておいて冬の時期にはジャムにしてもよし。ありのままの自然を楽しむことも、環境を守ることにつながります。

水道水を飲む(マイボトルを持ち歩く)


海外を旅行する際、お店でミネラルウォーターを買う人も多いと思います。水道水が飲める国は限られており、海外の水は衛生的に気になる点もありますよね。


フィンランドはヨーロッパでも珍しい、水道水が飲める国の一つ。実際「飲める」だけでなく、ミネラルウォーターよりもピュアでおいしいと言われています。フィンランド人に聞いてみても、ペットボトルの飲み物を買う人はほとんどいないそう。多くの人が水道水を入れたマイボトルを持ち歩いて生活しています。


日本でも徐々に浸透してきたマイボトルは、フィンランドでは当たり前の光景。普段生活をしている中ではあまり意識をしないかもしれませんが、海外ではペットボトルを購入する人の方が極端に少ない国も存在します。

日本からお気に入りのマイボトルを持って行ったり、旅先でその土地オリジナルのボトルを購入してみたり、自分ができる簡単なことから、まずははじめてみませんか?

トレンドに左右されないデザインを取り入れる


北欧デザインは日本人にも人気。北欧にフォーカスしたファッション誌もあるほど、多くの人がデザイン性に注目しています。

フィンランドを代表するブランドといえば、マリメッコやイッタラを想像する方も多いのではないでしょうか?有名なデザイナー、アルヴァ・アアルトを連想する方もいるかも。どれも美しいデザインで多くの人を虜にしていますが、どうしても北欧ブランドは高価でなかなか手が出ないものというイメージがありました。


実際フィンランドでお店をのぞいてみても、決してお手頃価格ではありません。しかし、周りを見渡すとマリメッコの服を着ている人やイッタラの食器を食卓に取り入れている人を見かけます。


フィンランド人の女性に話を聞いてみると、彼女の家では質やデザイン性に優れたものを幼い頃から少しずつ両親から子どもへプレゼントされていたそう。一人前になる頃には、イッタラの食器セットがそろっているように渡されてきたとのことで、わたしはどこか「日本の花嫁道具」の考え方と似ていると感じました。


トレンド性の高い一過性のデザインではなく、普遍的に愛されるデザインを生活に取り入れる。質のよいものを長いあいだ使う。その考え方は、日本人にも昔から染み付いているように思います。

公共交通機関を利用して移動する


旅先で頻繁にタクシーやUberなど車を利用する人も、たまには公共交通機関を利用してみましょう。首都のヘルシンキは街自体がコンパクトなため、路面電車や地下鉄、あるいは徒歩でも移動ができます。


観光で来ている私たちが住民たちと同じように公共交通機関を使うだけで、その国の空気を汚すことにつながります。いつまでも美しい街の状態を保つためにも、観光客が一人ひとり少し意識をするだけで環境は変わってきます。

わたしが出会ったフィンランドの女性はとてもアクティブで、朝からサウナに入りプールでクールダウン、そのあとはカフェに寄ってコーヒーを飲んでから、歩いてオフィスに向かうんだとか。

旅先で意識するサステイナブル

環境や自然、街並みは長い年月をかけて形成されてきたもの。それらを守り続けていくためにも、世界を旅するわたしたちが意識して取り組むことが大切です。身近なことから日々積み重ねていけば、それが未来につながっていきます。

All photos by Abe saxophone

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高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

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