ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

温泉の体験


日本に帰国するとき、毎回夫に「絶対に行きたい場所・やりたいこと」を聞くのですが、温泉旅行はまず間違いなくナンバーワンでリスト入りしてきます。

海外にもハンガリーやドイツをはじめ温泉が楽しめる地域はありますが、どちらかというと温水プールに入るかのようなイメージ。

もちろん素敵なホテルや温泉プールもありそれはそれで楽しいのですが、夫は「日本の温泉は、”行く”んじゃなくて温泉というひとつの”総合体験”なんだ」と熱く語ります。

旅館でのひととき


「旅館には、日本の体験のすべてが詰まっている」
そうも語る夫がいうには、湯気がモクモク上がる温泉街に足を踏み入れた瞬間からその体験がはじまるのだとか。

旅館では和室の入り口で靴を脱ぎ、お茶と和菓子とにこやかなサービスが待っています。部屋には畳があり、ふわっと広がるいぐさの香り。障子を開けると、窓からは四季折々の美しい景色が目に飛び込みます。


芸術的な繊細さの懐石料理を、温かいおもてなしを受けつつ部屋でゆったりいただくことの贅沢さ。何種類もの趣の異なる温泉でのんびりした後は、浴衣に着替え畳に敷いた布団で眠る――。

このような日本ならではの体験が目白押しなのが、温泉旅館のすばらしさなのです。

昔ながらの温泉街


温泉街のそぞろ歩きも、夫にとって楽しい思い出です。

特に昔ながらの建築物の美しさが残る銀山温泉は、景色を眺めながら入れる公共足湯があったり、日本酒の飲み比べができるお店もたくさんあったりして、どの体験もユニークで特にお気に入りの場所になったそう。

お土産屋さんに名物のこけしがズラッと並ぶさまには、シャッターを切る手が止まらないほどでした。


ふとした街角にある「飲む温泉」のサービスも、外国人トラベラーからしたらとてもユニークです。

レトロ感漂う温泉街の景色やお店の風景にとても異国情緒を感じるようで、こちらもシャッターを切る手が止まりませんでした。

主人の家族が日本に来たときもそうですが、映える観光スポットよりなんでもない街角の景色やコンビニに感激する姿を多く見かけ、目の付けどころが日本人とはちがうなぁと面白く感じます。

バラエティあふれる食文化


お寿司、ラーメン、てんぷら……世界でも人気の日本食。

2013年にはユネスコの無形文化遺産に「和食:日本人の伝統的な食文化」として登録されましたね。これは特定の料理でなく、昔から続く食文化が高く評価されたことによります。栄養たっぷりで、旬の食材を使い工夫された調理法、お正月料理など年中行事との深いかかわりは、和食ならではのものですね。

次は夫が1番日本らしくて、ユニーク!と太鼓判を押す「居酒屋文化」からお話していきます。

居酒屋文化


はじめにお伝えすると、夫は居酒屋の大ファンです。日本帰国時は、私たち家族も含めて数えきれないほど居酒屋に出没します。

おいしいごはんやお酒が何種類も気軽に食べられることはもちろんですが、その雰囲気が日本らしさ満載でいいんだとか。


チェーン店もいいですが、夫のお気に入りは、サラリーマンで混雑していて、メニューが手書きの大衆居酒屋。

海外ではスーツ姿=超フォーマルというイメージが一般的であり、仕事の後に同僚と飲みに行く文化もないので、こういったカジュアルな場所でスーツ姿の男性陣が仕事仲間とワイワイ飲んでいる様子が面白いのだそう。

しかも、サラリーマンが多い居酒屋は、今のところ100%の確率で激ウマ・めちゃくちゃフレンドリーな接客といいことづくめ。

外国人を食事に案内するとき、行き先に迷ったら「サラリーマンの多くいる大衆居酒屋」はまずハズレがなく、喜ばれること間違いなしなのでぜひ。

日本酒の飲み比べに酒造見学


日本各地にある「地酒」。日本酒好きな外国人の方には、地酒の飲み比べができるお店や、酒造見学をおすすめします。

海外では日本酒は「Sake」と訳され、今や海外のローカルスーパーでも気軽に手に入るほど人気があります。


ところが、海外に輸出されている日本酒は大手メーカーのものが大半で、なかには海外産のものも。クオリティの高い日本酒に巡り合えるチャンスは少ないのです。

夫や夫の家族も、日本のさまざまな酒造の日本酒を飲んでは、そのおいしさに感嘆していました。日本各地で酒造巡りや飲み比べをするのも、外国人トラベラーにとってとても貴重な経験となるようです。

モダンとレトロのコンビネーション


日本はモダンとレトロが共存している国――海外のトラベル雑誌でもよく見かける文言ですが、まさにその通り。

「新宿の巨大スクリーンとビル群の間に立つと、未来に来た感覚がした」とは、外国人トラベラーである夫の弁。その間にひっそりと佇む古い神社仏閣とのハーモニーが、まさに日本の現代の美しさだといいます。


明治神宮がとてもいい例ですね。

すぐ近くの原宿の賑わいがウソのような静けさと伝統の重み。目まぐるしく変化していく東京のなかでも、こういった場所が大切に残され尊重されていることを日本人として誇りに思うとともに、これからも大切に残していきたいと強く感じさせてくれるきっかけになりました。

日本の魅力を再発見

コロナ禍前の2019年の訪日外国人数は、過去最多の3188万人を記録。そして2023年はこの記録に迫ってきています。

今回の記事で日本の良さを再発見したり、今後外国人の方の日本案内をするときの参考にしてもらえたりしたら嬉しいです。

All photos by Yu Villegas

ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

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