編集部

広告代理店の企画、出版社の書籍編集を経て2016年に企画・編集・ライターとして独立。ワタリドリ製作所の屋号で、書籍の執筆・編集、複数の企業のメディア運用に関わる。 東京都観光まちづくりアドバイザーとして、国や県庁のインバウンド事業の仕事をしていたときにTABIPPOに出会い、2023年春からジョイン。 大学生の頃から、世界各地を一人旅しては、陸路で国境越えをすることに情熱を捧げていた。街歩きとおいしい物と温泉が好き。 著書:『世界の絶景1000』(英和出版社)共著、『石の辞典』(雷鳥社)

旅先ではアクティブに動く派? それとものんびり過ごす派?
ひとり旅をスタートさせた20代の頃は、バックパックを背負い1分1秒が惜しいとばかりにアクティブに動きまわるのが私の旅のスタイルでした。

そして、スーツケースを持って旅するようになってからは、その日の自分のコンディションにあわせてアクティブに動く日と、ホテルやカフェでのんびり過ごす日のメリハリをつけながら旅をするスタイルに。翌日に疲れをもちこさないように、旅先でもたっぷりと睡眠をとるようにしています。

私自身、普段は1日の平均睡眠時間が5時間と慢性的なショートスリーパー。とても疲れているのに頭が冴えて眠れないという睡眠の悩みを長らく抱えていたので、期待値マックスでわくわくしながら今回の旅に参加したのでした。

世界的に見ても日本人の平均睡眠時間は短く、OECD(経済協力開発機構)の2021年の調査によると、加盟している33カ国の中で最下位の7時間22分なのだそうです。

3月14日(毎年3月の第三金曜日)の「世界睡眠デー」。
日頃から頭脳偏重型になりがちなオフィスワーカーにこそ体験してもらいたい!
そんな願いを込めて、旅先で良質な睡眠をとる「スリープツーリズム」の体験記をお届けします。

沖縄の深海をイメージした神秘的なホテルに滞在


親子で向かった先は冬の宮古島。2月の平均気温は約18度と過ごしやすく、寒波続きの東京から来たので余計に暖かく感じました。日中は長袖シャツ一枚でも汗ばむほど。

滞在先は宮古島繁華街からほど近い場所にある「HOTEL UNDERGROUND MIYAKOJIMA」。


▲暖かい日はトゥクトゥクに乗ることができる
受付に向かう途中の地下通路の壁には宮古島の石灰岩が使われていて、洞窟の中にいるような幻想的な雰囲気です。


▲熱帯魚が悠々と泳ぎ、海の中を歩いているような気分を味わえる
ダイバーが多く訪れる宮古島では、海でアクティブに過ごす人が多い分、夜はぐっすりと眠ってもらえるようにと、全48室すべてにオーストラリアでナンバーワンのシェアを誇る「コアラマットレス」を導入しているといいます。

あらゆる枕を試しては、首が痛くなるという失敗を繰り返してきた枕難民である私。最終的には某有名メーカーの1個4万円もする枕を使っても全く首の痛みが改善せず、完全に枕探しを諦めて数年。未だにベストな枕が見つかっていなかったので、枕の使い心地が一番の関心事でした。

ついにマクラ難民卒業なるか!? 実際に使った寝心地をガチでレポートしてみた


一緒に参加した次男のあり余る体力を消耗すべく、夕飯後は近くの繁華街に繰り出して、店先や町中に点在する個性的な顔立ちのシーサーの撮影会。たっぷり1時間半ほど歩かせると、母の思惑通り秒速で眠ってくれました。

通常は入眠するまでに30分以上かかる私はどうだったかというと、驚いたことに入ってから眠るまでの記憶がないぐらいにすっと眠りにつくことができたのです。奇跡。

そして、この日の睡眠時間はなんと8時間! 起きた瞬間の体の軽さたるや10代に戻ったかの如し。ここ数十年で一番すっきりと気持ちよく目覚めることができました。

感動のあまり枕の種類を確認してしまったほど。


▲私が使ったのは頭の余分な熱と湿気を逃がしてくれる「コアラリフレッシュピロー」
ここからは、私自身の体感に基づく使用感をリアルにお伝えします。

正直、寝具の好みは人それぞれだと思います。


私の場合は、高反発のマットレスだと背中全体がガチガチに凝り固まって痛くなるし、逆に低反発だと腰痛が悪化してしまうので、硬すぎず柔らかすぎずのものが好み。

さらにストレートネックなので、枕は低めじゃないと眠れません。

こうした個人的な寝具の好みを、コアラマットレスはすべてクリアしていました。

人間工学に基づき、体の曲線に合せて肩、背中、腰、膝、足の5つのゾーンで圧力を分散するように設計されているマットレスとだけあって、仰向けに寝てもどこか特定の部位に圧力負荷がかかることがなく快適そのもの。

枕は肩までもしっかりホールドするタイプの低反発素材で、眠っているときに上体を包み込んでくれるような感覚があります。まさにベッドの中で無重力体験。

ご担当者曰く、寝具の良し悪しは最低でも二日間は眠ってみないとわからないとのこと。明日の朝はいかに!?

宮古島のパワースポットを巡って運気をアップ!


2日目の朝は、宮古島で最も格式が高いとされる御嶽(うたき)、「漲水御嶽」を訪れました。
琉球神道では神様がおりてくるとされる神聖な場所を「御嶽」と呼び、宮古島だけでも1,000カ所以上あるのだそうです。

沖縄では神様と対話をする役割を担うのがユタやノロといった女性であったため、男子禁制の御嶽が多いのだとか。


▲400年以上の歴史があり、屋根には琉球赤瓦が使われている
御嶽に入ると体感温度がすっと下がる感覚があって、神聖な場なのだと直感的に感じました。海からの心地よい風が境内を吹き抜けて、そこにいるだけで清々しい気分に。


▲熱心に祈りを捧げている一家。信仰の深さを垣間見ることができた

次に向かったのは、歩いて2分ほどの場所にある「宮古神社」。国内最南端に位置する宮古神社は、金運のパワースポットとして有名です。


▲花柄の筒の中には、おみくじと一緒に、可愛らしい形の水引が入っている
今年はまだおみくじをしていなかったので、「華の筒みくじ」を引いてみました。


▲白い花(開運の花)の水引をゲット!
おみくじの結果はまずまずだったのですが、一番肝心の旅行のところに「交通事故に注意することです」なんていう不穏な言葉が書かれていたので、厄除祈願御守を買って帰りました。安全な旅でありますように!(切実)

東洋一美しいと称される与那覇前浜へ


旅の安全をお祈りした後は、全長7kmにもなる真っ白の砂浜とエメラルドグリーンの海とのコントラストが美しい「与那覇前浜」へと向かいました。

くもりが多い冬の宮古島では珍しくこの日は爽やかな快晴。エメラルドグリーンからブルーへと変化する美しいグラデーションの海を見て童心に返った我ら、足だけちょこっと浸かってみました。

山がない宮古島では、海へ流れ込む川からの土砂がない分、透明度が高くなるのだそう。実際、数メートル先まで海の中が見えるほど透明度が高くて、ずっと座って眺めていたいと思うほど素晴らしい景色でした。


▲泳ぐにはまだ水が冷たいので、半身浴を楽しむ

来間島で沖縄食材をふんだんに使った極上のランチ

たっぷり太陽の光を浴びた後は、お待ちかねのランチタイムです。

全長1690mの来間大橋を渡り、来間島に到着。


▲車窓からの眺めも最高! バイクで全力疾走したら気持ちいいだろうな

有機JAS認証を受けた農園を営む農家が経営する来間島のレストラン、「農家れすとらん 楽園の果実」では、来間島、宮古島、沖縄県産の食材を使った料理やデザートを提供しています。

宮古島でとれる栄養価の高い野菜やハーブをふんだんに使った料理は、素材そのものの味がしっかりとして味わい深く、見た目も華やか。


▲季節限定メニュー「楽園の果実オリジナルピンクのオムライス」1,620円(税込)※スープ・季節の前菜付き
せっかくなので珍しい物を食べようと、鮮やかな色合いのピンク色のオムライスをオーダーしてみました。ホワイトソースをベースにしたソースは、エビとベーコンの旨味がギュッと凝縮されていてふわとろの卵との相性抜群。果物が入っているため、ほんのりと酸味もあって爽やかでいて優しい味わいです。


▲「楽園のフルーツ盛り合わせ」3,300円(税込)
完熟マンゴーやドラゴンフルーツを使ったオリジナルのジェラート入りのフルーツ盛り合わせは、地産地消のフルーツなだけにどれも驚くほど甘くてジューシー。フルーツ好きの次男も夢中で食べていました。


▲上から「宮古島産黒牛和牛(ほろよい牛)のにぎり」1,100円(税込)、「宮古牛味噌のゴーヤーカレー」1,500円(税込)

▲上から「沖縄県産パイとんのポークジンジャー丼」1,680円(税込)、「楽園のガパオライス」1,380円(税込)

半潜水式水中観光船に乗って45分の船旅へ


お腹がいっぱいになったところで、お次は宮古島に戻り半潜水式水中観光船「シースカイ博愛」に乗って海へと繰り出します。


▲異世界感漂う船内。海の透明度が高いので遠くまで見渡せる
その名の通り、船底がシースルーになっていて、ガイドさんの軽快なトークを聴きながら宮古島に広がるさんご礁や熱帯魚を眺めることができます。


▲船を追いかけるようにたくさんの大型魚が集まってきた

▲巨大なハマサンゴは圧巻。1年に約1cmずつ成長するので、10m級のものは1000年前からあるということ
最後は船上デッキに戻って船員さんが魚の群れに餌を撒き始めると、大きくて強めの魚が一気に群がって食らいつき、なかなかワイルドな奪い合いを繰り広げていました。ガイドさんの解説付きで海の中にいる生き物のことが知れるので、お子さん連れの方には特におすすめです。

右脳全開で無心になれるシーサーづくり体験


▲大きなシーサーが入口でお出迎え
たっぷりと海のアクティビティを楽しんだ後は、「太陽が窯(てぃだがかま)」でシーサーづくり体験です。


▲高台にある工房の外には、フォトジェニックなブランコがある

▲「海をみながら本格陶芸体験 シーサーづくり」3,850円(税込)~ ※送料別。焼成まで約1~2ヵ月かかります

▲「シーサー絵つけ体験」(大)3,300円(税込)~。息子も夢中で絵つけを楽しんでいた
私たち親子は「シーサー絵つけ体験」をセレクト。真っ白なシーサーに色を塗ってからドライヤーで乾かし、また色を重ねること繰り返します。


▲暖色系と寒色系のポップでキュートなシーサーが完成! 我が家の守り神にしよう
ひたすら無心でシーサーに色を塗り、疲れたら窓の外に広がる海を眺めて。ゆったりとした贅沢な時間を過ごすことができました。

南国の香りのするオイルで全身を丁寧にマッサージ

さらなる快眠を目指して、サトウキビ畑に囲まれた隠れ家のようなプライベートサロン「GRANDSEA」へ。


▲島でとれる植物などを使ったオイルトリートメントを提供している
Photo by GRANDSEA

定期的に通っていた整体に暫く行けずに過ごすこと早数ヶ月。日頃の疲れをとるべく、90分のアロマオイルボディトリートメントの施術を受けました。

施術開始前にオーダーシートの記入をして、どこを重点的にやってもらいたいか、好みの強さなどを伝えます。

▲木目調の居心地のいい空間。体験したのは「GRANDSEAスタンダードコース(90分)」20,000円(税込)
Photo by GRANDSEA

アロマオイルは、宮古産満月月桃、沖縄産月桃、シークワーサー、プルメリア、イランイランの5種類の中から好きな香りのものを1つ選び、それを使ってマッサージをしてもらえます。どれも甲乙つけがたく迷ったのですが、直観的に一番心地よい香りに感じたプルメリアにしました。

全身の筋肉がこわばって凝りがとにかく酷かったので、一番強めの指圧でオーダー。最初だけ少し痛みはあったものの、気持ちが良すぎて気づいたら完全に夢の中。デスクワークで頭、首、肩が凝り固まっていたため、上半身を中心に全身をゆっくり丁寧にほぐしていただきました。

施術を終えて起き上がると、頭がスッキリして背中に羽が生えたように軽やかに。目で見てわかるほど足の浮腫みがなくなって、凝り固まっていた上半身の筋肉も緩んで、全身に血が巡っている体感がありました。最後に温かいシークワーサーのお茶をいただき、体中がポカポカしてすぐにでも眠りにつきたい気分でした。
今晩もぐっすり眠れそうです。

睡眠の質を上げるトリプトファンがたっぷり含まれた快眠ディナー


そして待ちに待ったディナータイムは、ホテル内に併設された「UNDERGROUND STEAK」にて。
トリプトファンという睡眠の質を上げる物質を多く含む料理をいただくことができます。

幸せホルモンと呼ばれるセロトニンはトリプトファンから作られ、さらに眠りを促すホルモンのメラトニンは、このセロトニンが姿を変えたものに当たります。つまり、睡眠に深く関係する2つのホルモンの素となるトリプトファンをたくさん食べれば、睡眠の質が向上するというわけです。


▲左上から時計回りに「富士レタスのシーザーサラダ」、「サーモンカルパッチョ」、「ボロネーゼ」、「コーンスープ」

▲「ほろ酔い牛の和牛ステーキ」「アスパラのソテーとマッシュポテト」
睡眠の質を上げるトリプトファンを多く含む食材である、牛肉、サーモン、じゃがいも、乳製品がふんだんに使われたディナー。宮古島ならではのものは、経産牛に泡盛の搾りカスを肥料として与えて育てた、ほろ酔い牛のステーキです。牛はお産を経ると肉が固くなってしまうそうなのですが、泡盛の搾りカスを与えると肉がやわらかくなり、ほんのり甘みが出るのだといいます。

実際にナイフで切ってみると、子どもでも簡単に切れるほどお肉が柔らかかったのと、口に含んだときの旨味の強さに驚きました。


▲「レアチーズケーキ」は濃厚で上品な味わい
最後は濃厚なレアチーズケーキをペロリと平らげて、お腹も心も存分に満たされたのでした。

そして二日目の夜はオイルマッサージの効果もあってか、コアラマットレスのベッドに入った瞬間に秒で眠れまして、睡眠時間は親子そろってまさかの9時間(笑)ホテルに寝に来たといっても過言ではない爆睡っぷりです。

スリープツーリズムのお手本のような過ごし方をしたのでした。

宮古島のフォトジェニックな穴場スポットを巡る

最終日は、宮古島でフォトツアーをされている写真家のイトウケンジさんと一緒に、宮古島でおすすめの穴場スポットを巡りました。前日の夜にもフォトツアーを決行したのですが、満月に近い月齢で月光が強すぎたのと、雲がかなり出ていたので残念ながら星空は撮影できず。


▲晴れていて空が暗いと満天の星空の写真が撮れるそう
Photo by Kenji Ito

本日は天気がくもりだったこともあり、室内でも楽しめるフォトジェニックなスポットで撮影会を実施しました。


▲宮古島在住の写真家だからこそ知っているレアなスポットにも連れていってもらえる
Photo by Kenji Ito

最初に向かったのは「ブルーシールアイス宮古島パイナガマ店」です。ここは知る人ぞ知る、宮古島最強の映えスポット。


ディズニーランドの内装を手掛けているお知り合いの会社に頼んで特別に作ってもらったというこだわりがたっぷり詰まったインテリアは、見渡す限りアイスクリームだらけ。好きなだけ撮影を楽しんでいいというお店なのだそうです。


▲ソフトクリームをもって記念撮影

▲ライトまでがアイスクリームの形

▲どのスポットもかわいいので、撮影するのが楽しい!

ブーゲンビリアの中で南国時間を満喫


おいしいアイスクリームを食べた後は、南国の植物が咲き乱れる「ユートピアファーム宮古島」を散策


▲入場チケットがおしゃれ。裏は園内マップになっている

▲観光農園として見学できる
園内ではドラゴンフルーツ、バナナ、パパイヤ、アテモヤ、アセロラ、パッションフルーツ、スターフルーツなどの南国フルーツが栽培されています。


▲バナナもたわわに実っていた
また、季節ごとに花が見頃を迎え、9月から3月中旬までは宮古島を代表するブーゲンビリアの花が満開を迎えます。ちょうど訪れた日も見事なブーゲンビリア棚となっていて、思わず歓声を上げてしまったほど。


▲記念撮影スポットで撮影
Photo by Kenji Ito

ちなみに3月から5月中旬は翡翠のような幻想的な色のスイカズラ、12月から4月はハイビスカスが満開を迎えるそうです。どのシーズンに訪れても素敵な写真を撮れると思います。

ランチは地元で有名な「宮古そばまっすぐ」へ。
砂糖と醤油をベースにした甘めのタレで煮込んだ三枚肉に、揚げた平かまぼこを載せた宮古そばは、昔ながらの製法で出汁にこだわって作っているとのこと。


▲「宮古そば(中)」800円
強火で一気に煮出した豚だしに、鶏ガラとかつお節を加えて丁寧に煮出したというこだわりのスープ、そして麺は王道のストレート麺です。肉の旨味が溶け込んだスープが食欲をそそり、あっという間に完食してしまいました。

三枚肉と平かまぼこだけではなく、ソーキ(豚の骨つきあばら肉)も入ったまっすぐそばが一番人気だそうです。

2泊3日の弾丸旅行でしたが、朝から夜までたっぷり遊び、夜はコアラマットレスでいつも以上にたっぷりと眠ることができたので、蓄積されていた疲れが芯から溶けてなくなって細胞レベルで生まれ変わったような身軽さでした。
睡眠の質がぐっと上がると、日中はアクティブに過ごすことができるので、旅の満足度もアップ!これからも定期的に親子でスリープツーリズムを決行したいと思います。

Photo by Chiharu Yahagi

編集部

広告代理店の企画、出版社の書籍編集を経て2016年に企画・編集・ライターとして独立。ワタリドリ製作所の屋号で、書籍の執筆・編集、複数の企業のメディア運用に関わる。 東京都観光まちづくりアドバイザーとして、国や県庁のインバウンド事業の仕事をしていたときにTABIPPOに出会い、2023年春からジョイン。 大学生の頃から、世界各地を一人旅しては、陸路で国境越えをすることに情熱を捧げていた。街歩きとおいしい物と温泉が好き。 著書:『世界の絶景1000』(英和出版社)共著、『石の辞典』(雷鳥社)

RELATED

関連記事