アブハジア ニューアトス修道院
ライター
SHIHO トラベルライター

旅と猫をこよなく愛し、訪問国は70ヶ国以上。猫が多い町では観光せずに猫を追いかけ回しがち。未承認国家や小国、奇祭や廃墟などマニアックな場所を好むため、写真映えする女子旅にやや憧れを抱いている。

アブハジア共和国は、独立宣言をしたものの、世界の多くからは独立国として認められていない未承認国家です。観光地としてはあまり知られていない国ですが、実際には洞窟内を走る地下鉄や、美しいビーチに教会、廃墟など、実にバラエティに富んだ名所が沢山ある、知る人ぞ知る穴場スポット!

また、ロシアと隣接していることから言語や建物、食べ物などロシア文化も色濃く残り、ロシアに行った気分にもなれるお得な国です。

今回は、そんなちょっとマニアックな未承認国家「アブハジア」の、絶対外せないおすすめ観光地をご紹介します!

※ 注意事項
・数年前までアブハジアは外務省の海外安全ホームページでは危険度MAXのレベル4でしたが、近年戦闘の沈静化によりレベル3に引き下げられました。とはいえ、まだ安心はできない状態なので渡航される方は自己責任でお願いします。

・アブハジア共和国への入国に関しまして、ロシア側からアブハジアへの入国はジョージア側で違法です。旅行ルートによってはジョージア内の刑法によって処罰される可能性があるので、旅行ルートの検討はしっかり計画しましょう。

・アブハジア共和国は未承認国家です。そのため、日本大使館はもちろん、ほとんどの国の大使館は国内にありません。万が一パスポートを失くしたり奪われると出国が非常に困難になります。さらに、病気、怪我、事故、犯罪などに巻き込まれた際は完全に自己責任になります。心して渡航してください。

謎の未承認国家「アブハジア共和国」とは?

アブハジア レーニン

photo by SHIHO

アブハジア共和国はロシアの下、黒海に面した場所に位置し、国際的にはジョージアの一部とされています。

かつてはロシアの領土でしたが、ロシア革命後にジョージアに属する自治共和国となり、ソビエト連邦崩壊後1992年に独立を宣言しました。未承認国家と言っても全世界が承認していないわけではなく、ロシアやニカラグア、ベネズエラなど一部の国は独立国家として認めています。

アブハジア 観光

国境では正装の黒い服を着ている人が多い photo by SHIHO

1980年代末期より紛争があり、停戦合意に至ったのは1994年。それほど昔の話ではないので、国内には紛争後廃墟となった場所も残っていて、ちょっとマニアックな国でもあります。

もちろん、雄大な自然や美しいビーチも魅力で、地元の人によるとロシアからの観光客も多いそう。バックパッカーに人気のジョージアからアクセスできる国なので、ジョージアに行かれる方も要チェック!

 

アブハジア共和国の国旗

photo by Shutterstock

こちらはアブハジア共和国の国旗。私はデザインされている手のマークから「ハイルヒトラー」と挙げる手を連想し、少し怖い雰囲気を抱いていました。

国旗の手のデザインが気になった私は、アブハジア国境で警備員に聞いてみたのです。その答えは「あぁ、ズドラストヴェーチェだよ!」

ズドラストヴェーチェ=ロシア語で「こんにちは」の意味。警備員の適当な答えなのかもしれませんが、それを聞いた瞬間、奇妙な印象だった国旗が一気にかわいく見えました。

アブハジア 観光

photo by SHIHO

アブハジア国内の車のナンバープレートには、しっかりアブハジア国旗のデザインが。ロシアと隣接しているせいか、ロシア国旗の入ったナンバープレートも見かけました。

 

廃墟好きにおすすめ!アブハジア共和国の首都「スフミ」の町並み

アブハジア 国会議事堂

旧国会議事堂 photo by SHIHO

首都であるスフミには、近年まで紛争が続いていたせいもあり、打ち捨てられた廃墟が今もなお残っています。

上の写真は1992年にグルジア軍の侵攻により勃発した「スフミの戦い」で廃墟と化した旧国会議事堂です。内部の壁には弾痕のような跡などがありボロボロですが、子供達は無邪気に遊んでいました。

アブハジア レーニン2

photo by SHIHO

こちらはロシアの革命家・レーニンのモザイク壁画。独裁者として知られるスターリン同様、レーニンは海外で悪いイメージが強いため、近年ロシア国外で壁画や銅像を見られることは少ないそうです。

私自身レーニンに特別な思い入れはありませんが「レアなもの」と言われると、少し得した気分になります。

アブハジア 廃墟

photo by SHIHO

スフミのビーチに残る海上カフェです。かつては海を眺めながら食事をする人で賑わっていたのでしょうか。

アブハジア スフミ

photo by SHIHO

廃墟が好きな方にとっては、町を散策するだけでも楽しめるスフミですが、現在は少しずつ修復・解体作業が進み、大通りもきれいに整備されています。

もちろん、廃墟は町のごく一部をピックアップしただけなので、町を通り過ぎるくらいなら戦争の爪痕はほとんど分かりません。マーケットでは美味しいアブハジア料理も食べられるので、廃墟に興味が無い方でも充分に楽しめますよ。

 

観光スポット密集地「ニューアトス」が楽しい!

アブハジア ニューアトス

New Athos Waterfall photo by SHIHO

アブハジアで一番おすすめの観光地が「ニューアトス(New Athos)」という町です。

ニューアトスは英語名なので、実際現地ではアブハズ語(ジョージア語・ロシア語)の「ノヴィ・アフォン(Novy Afon)」と言わなければ通じません。ここでは読みやすさのために「ニューアトス」と表記します。

ニューアトスはいくつか観光できる場所が密集していているので、その一部をご紹介します。

 

世界初?洞窟内を走る鉄道!「ニューアトス洞窟」

アブハジア ニューアトスケイブ

photo by SHIHO

イベリアン山の麓にあり、長い年月をかけて形成された鍾乳石が見られる「ニューアトス洞窟」。

一番のポイントは何と「洞窟内に鉄道が走っている」ということ。現地のガイドブックには「世界初」と書かれていましたが、定かではありません。

 

チケット売り場から、洞窟の入り口までは、この地下を走る電気鉄道に乗って向かいます。

実際に乗ってみるとただの地下鉄ですが、その車両は一般的に想像するものとは大きく違い、ただただ狭い!車両の両側に沿って設置された長椅子があるのは、日本の地下鉄と変わらないのですが、両側の座席に人が座ると、通路は人一人通れるほどのスペースしかありません。

この電車に乗ることが、洞窟に行く前のアクティビティの一つ。洞窟の入り口に到着し、電車を降りると一気に冷たい空気に包まれます。

photo by Shutterstock

洞窟内は現地のガイドさんが案内してくれますが、説明はロシア語のみ。理解できなかったのが残念でした。外国人観光客は私一人だったので、今後もっと観光客が増えて、英語案内もされるようになることを期待します。

■詳細情報
・名称:ニューアトス洞窟(New Athos Cave)
・住所:ノヴィ・アフォン
・地図:
・アクセス:スフミからマルシュルートカで約30分
・公式サイトURL:https://afon-cave.ru/

 

ブルーとゴールドで描かれた壁画が美しい「ニューアトス修道院」

アブハジア ニューアトス修道院

photo by SHIHO

かなり遠くからでも光輝く、金色のドームが印象的なニューアトス修道院。1870年代、ロシアの修道士によってアトス山の中腹に建てられました。

アブハジア ニューアトス修道院

photo by SHIHO

クリーム色とえんじ色のツートンカラーが珍しい修道院。

アブハジア ニューアトス修道院

photo by SHIHO

修道院の門をくぐると広場があり、その中央に黄金色に輝くドームを持つ教会が姿を現します。

教会内部のフレスコ画は、ラピスラズリのような鮮やかで濃い青色に、所々金色で描かれています。教会なのに、そこはまるで星がきらめく夜空の中にいるよう。美しい壁画は一見の価値ありです。

※ 教会内部は写真撮影禁止です。

■詳細情報
・名称:ニューアトス修道院(New Athos Monastery)
・住所:ノヴィ・アフォン
・地図:
・アクセス:スフミからマルシュルートカで約30分
・入場料:無料
・公式サイトURL:https://anyha.org/

 

ニューアトスのビーチ

アブハジア ニューアトス ビーチ

photo by SHIHO

黒海を望む美しいビーチもあり、多くの人が海水浴や日光浴を楽しんでいました。「黒海で泳いできた!」なんて言ったら、ちょっとかっこ良いですよね。

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SHIHO トラベルライター

旅と猫をこよなく愛し、訪問国は70ヶ国以上。猫が多い町では観光せずに猫を追いかけ回しがち。未承認国家や小国、奇祭や廃墟などマニアックな場所を好むため、写真映えする女子旅にやや憧れを抱いている。

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