カラオケ居酒屋は高級店
一泊¥1,000のビジネスホテルに満足感を得つつ、日も暮れてきた頃。営業しているお店よりシャッターの降りたお店の方が何倍も多く、ひたすらに場末感が漂うあいりん地区ですが、夕刻を迎えるとそこら中のカラオケ居酒屋から歌声が聞こえてきます。
カラオケ居酒屋は1曲¥100、ビールや焼酎は¥500ほどの価格帯、こちらはあいりん地区の飲食店界隈では高級店に分類されるのだとか。
その時はまだピンとこなかったのですが、その後歩けば歩くほどあいりん地区の狂気的に安い物価を体感するのでした。
独特な不動産事情
賃貸住宅は基本的に初期費用¥0。不動産屋をほとんど見かけなかったので、入居希望の場合は物件と直接のやりとりになるのでしょう。ほとんどの集合住宅は軒先に看板を出していて、年金生活者や生活保護受給者向けには割安となる別家賃が設定されていることが特徴的です。
床屋の開店が早すぎる
床屋に関しては、もはや安値など気にならず。注目すべきはその営業時間。なんとここは、朝6時半に開店して夕方5時半には閉店するそう。この街独特の生活リズムに合わせた営業時間なのでしょう。時間の概念すら独自の文化をきづくあいりん地区、恐るべし……
スーパー玉出
大阪を歩いていると、よく見かけるスーパー玉出。よそ者の筆者からするとギラギラと輝くその外見はどう考えてもパチンコ屋にしか見えないのですが、地元民の食卓を支える大事な存在なのだとか。
外見だけではなく内部も派手に電装されています。サンリオのキャラクターの一体や二体くらい出てきそうな雰囲気ですが、一周回った結果、品揃えの豊富な優良なスーパーでした。
貼り紙に学ぶ男の美学
街中の貼り紙は賃貸物件の入居者募集と仕事の求人がほとんどなのですが、こちらの雀荘には一風変わった貼り紙が。
【男の美学】
20代30代は男に成りたい
40代50代は男でありたい
60代70代は男で死にたい
〜オーナー名言集〜
なんだかとても心に響きました。まさかあいりん地区の貼り紙に『男』を教わるとは……
スリッパ100円
こちらは何の変哲もない靴屋。あいりん地区では靴が片方だけ売っていると噂には聞いていましたが、通りがかった靴屋ではそのような怪奇現象は見受けられません。
しかしスリッパの値札には、二度見せずにはいられませんでした。
自動販売機の価格破壊
物価の象徴でもある自動販売機。缶コーヒー¥50、ペットボトル¥100が大体の相場です。
様々な自動販売機の中で最も安いドリンクは、¥30の青ゆずレモン味のペットボトルジュースでした。
ゲームセンターにお酒がマストアイテム
あいりん地区一帯ではおそらく、アルコールの自動販売機の方がソフトドリンクの自動販売機より多く、アルコールの自動販売機が8台ほど集まって酒屋として成立しているところも存在するくらい。
あいりん地区で街ゆく人が昼夜問わずお酒を飲んでいるのは、いつでもどこでもお酒を購入できる自動販売機の存在が大きいのでしょう。
通りがかりに見つけたレトロ感漂うゲームセンターに全員が全員この自動販売機でお酒を買って入っていきます。見かけた限りでも4人中4人がお酒を持ち込むので、その行為に掟じみた義務感を感じ、筆者も自動販売機で¥100の缶チューハイを購入し、ゲームセンターに入店してみました。
どうやら酒缶には定位置があるそうで、目を凝らしてよく見てみます。
「郷に入ったら郷に従え」とはよく言ったものです。
先人に習って行動パターンを真似してみましたが、驚くほど充実感に欠けました。
きっと筆者のような若輩者にはまだ早かったのでしょう。あいりん地区の娯楽スタイルを楽しめないまま、さらに散策を。