あいりん地区の歩き方 2日目
1泊¥1,000のビジネスホテルをチェックアウトし、帰ると見せかけて再び散策を開始します。すっかりツッコミどころ満載のあいりん地区にハマってしまい、もう少し回ることに。
あいりん労働福祉センター
まるで暗黒要塞のように佇むこちらの施設は『あいりん労働福祉センター』。晴天であるにもかかわらず、まるでそこにだけ光が当たらないかのような並々ならぬオーラを発しています。
ここはあいりん地区で生活をする人に向けた就労の斡旋と、福祉の向上を目的に設置された福祉施設。『大阪社会医療センター病院』もまた同住所となっており、病院も含めた建物全体を総合して『あいりん総合センター』または『西成あいりんセンター』と呼ばれます。
あいりん労働福祉センターの1階では早朝5時から日雇い労働者向けの求人活動が行われ、早朝にもかかわらず多くの日雇い労働者がその日の仕事を求めて集まってきます。
近年、日雇い労働者の高齢化が進み、日雇いの仕事も高度経済成長期に比べるとおよそ3分の1に低迷。その影響があってか、筆者が街を歩いていると30分に一度は「お兄ちゃん、仕事探してない?」と、中年男性にと声をかけられます。
高齢化が進む現在、若い労働力はとても重宝されるのでしょう。
小便禁止
あいりん地区では道端で小便や大便をしてはいけません。とはいえど、日本全国どこでも同じことなのですが、この地域に関しては特別厳戒態勢なのです。
街のあちらこちらに表示されている小便大便禁止の文字。筆者はこんなにも警戒水準の高い街を他に見たことがありません。
一昔前は町中に小便の悪臭が漂っていたみたいですが、いまやそれは昔話。
筆者があいりん地区を散策するなかでは、一度も小便の悪臭がすることはありませんでした。
日本一安いラーメン屋
西成区ナンバーワングルメスポットの「ねむり姫」。この日、終わりの見えない西成散策をしている真の目的は、ねむり姫で販売されている日本一安いラーメンを食すること。
しかし、いつまでたっても開店しません。当然、ここはあいりん地区なのでWebで検索したところで営業時間や定休日は不明。全能の神Google先生もお手上げなのが、ここあいりん地区なのです。
店内にはたしかに見える「ラーメン うどん 100円」の看板。そこらへんのカップラーメンより安いです。待てども待てども開店する気配は全くないので、お腹もすいてきたので他を探そうかと3m歩いたその時、筆者は脳天に雷が落ちたかのような衝撃をくらうのでした!
日本で二番目に安いラーメン屋
「100円ラーメンの隣に200円ラーメンあんのかよおおおおぉおぉおおおお!!!!!」
あいりん地区の度重なる珍事にも慣れて、ちょっとやそっとでは驚かなくなってきた頃、まさか『日本で一番安いラーメン屋』の3m隣に『日本で二番目に安いラーメン屋』があるなんて、誰が想像してことでしょう……しかも種類豊富だし….
こればかりは完全に意表を突かれました。
なんなのでしょうこのお店は。筆者の知っている日本の保健所はこの環境を認めたのでしょうか。『あいりん地区は治外法権』とは聞いたことがありますが、冗談かと思っていました。
さらに貼り出されているメニューをよく見ると「わかめ 200円」ってそれおかしくないですか⁉︎ あいりん地区のわかめどれだけ付加価値高いんですか⁉︎
「おかしいのはきっと自分の方だ」そう言い聞かし心を落ち着かせ、「しょうゆラーメン 200円」を注文。席へと通されるのですが、表にある家財ゴミと思わしきものが客席のようです。思いっきり公道ですよねコレ。
おそらく、ここはあいりん地区で一番眺めのいいレストラン。開放感あふれる客席は、副交感神経の活動を高めてくれ、体内に溜まったストレスを深呼吸と共に…..ってそんな馬鹿な。
ぶつぶつ独り言をつぶやいていると、着席してからおよそ3分でラーメンが出てきました。圧倒的スピード感です。あのアンダーグラウンドな店内で、どんなシステマチックな調理が行われているのでしょう。
つべこべ言わずに食べます。
最初から病的に塩胡椒がふりかけられているので、めちゃくちゃしょっぱいです。
煮卵は食べたことのない味がしました。率直に言うと小便臭かったです。
終始ラーメンをディスりながらすすり続け…
完食。
煮卵が後から腹の中悪さをするのではないかと不安を抱えたまま、家財ゴミ客席を後にします。
「しかし、このテーブルの先に見えるカタカナは一体なんなのだろう」。疑問を抱いたらきりがないあいりん地区において、食事中に少し気になってしまいました。
帰り際に見てみると…..
「ラーメン屋が謎の植物売ってるーーーーー!!!!ゴミのような値段で謎の植物売ってるーーーー!!!!」