編集部
伊佐 知美 Somewhere&Here inc.代表、写真家、文筆家

三井住友、講談社、Wasei『灯台もと暮らし』創刊編集長として勤務の後、「場所を問わずに働く」をテーマに、29歳の時に仕事を持ち歩きながらの無期限旅行に出発。二度の世界一周、マルタ、イギリス、フィリピン3カ国の語学留学等ののち、日本に帰国。現在は東京をベースに活動。著書に『移住女子』(新潮社/日・韓)。2023年夏に第一子出産。

2022年2月、ついにオーストラリアの国境が再開。そして翌月3月には、ワクチン3回目接種を終えた人は、オーストラリアからの帰国時の隔離ゼロと、オーストラリア旅の障壁がどんどんとなくなっていったこの春。

さらには、4月18日以降に日本を出発するワクチン接種済対象者は、オーストラリア出国前のPCR検査・陰性証明書提出も不要となる予定で、旅の追い風が吹いている今日この頃。

「#readyforaustralia」「#そろそろ始めるオーストラリア」を合言葉に、オーストラリア政府観光局公式サポーターが集ったのもこの季節でした。そして、Keiさん、近藤あやさん、そしてこの記事を書いている伊佐知美の3名は、実際にオーストラリア・シドニーの旅へ!その時の記事はこちらです。

 

この数年間、大多数の人と同じく、自宅で過ごす時間が多かった近藤あやさんと伊佐知美。都会と自然の調和が美しいシドニーでの日々は最高だけれど、せっかくオーストラリアまでやってきたなら、大自然の魅力も感じたいよね!と意見が一致。

シドニー近郊は、数々のビーチや世界遺産のブルーマウンテンズなど、一歩街を出れば大自然の宝庫。中でも、今回はシドニーから車で2時間北上したエリアに広がる、オーストラリア最古のワイナリーエリア「ハンターバレー」を訪れることに。

オーストラリア・ハンターバレー

ハンターバレーのレストラン「Bistro Molines」にて

この記事では、120以上のワイナリーが並ぶハンターバレーで、たくさんのオーストラリアの恵み=ワインを飲み比べたり、地産地消の食材に舌鼓を打ったり、ワイン畑の中でくつろぐ野生のカンガルーに出会ったり、はたまたハンターバレーでしか手に入らない素敵なお土産に出会ったり……と、とにかく最高の瞬間の連続だった、夢のような1泊2日の旅の幸せを、たくさんの写真と一緒にお裾分けします。

大都会シドニーから景色一変、一面のワイン畑の世界へ

オーストラリア・ハンターバレー

Winery

たくさんあるワイナリーの中で、私たちが訪れたワイナリーは、以下の3つ。

家族経営のアットホームなワイナリー「Saddler’s Creek Wines」

オーストラリア・ハンターバレー

最初に訪れたのは、1990年創業、家族経営の「Saddler’s Creek Wines」。

「大自然の中のワイナリー」と言われて誰もが頭の中に思い描くような、ワイン畑に囲まれたこじんまりとしたワイナリーで、雰囲気は暖かく、またスタッフも笑顔で迎えてくれて、初っ端から感動しっぱなし。

オーストラリア・ハンターバレー

オーストラリア・ハンターバレー

オーストラリア産のブドウにこだわって作られるSaddler’s Creek Winesのワインは、赤、白、ロゼ、デザートワインと種類も豊富。味わいはワインによってもちろん異なりますが、スッキリと香り高いワインが多く、オーストラリアの有名ワイン評論家「James Halliday」が五つ星評価したというのも納得の美味しさ……。

オーストラリア・ハンターバレー

何より、作り手のSamやScottyは気さくで、笑顔がとても素敵。この人たちが作るワインは絶対に美味しいな、と思わせてくれるような人たちで、ついつい一緒にワインを飲みたくなってしまうし、訪問している最中から「また会いたい」とすら感じていました(笑)。

オーストラリア・ハンターバレー

オーストラリア・ハンターバレー

ワイン6種類の試飲で10ドルというトライしやすい値段設定のものから、おつまみや食事と一緒に楽しむペアリングコースまで、さまざまなワイン体験ができるワイナリーなので、ハンターバレーのワイナリー巡りの一軒目に、ぜひ!

オーストラリア・ハンターバレー

■「Saddler’s Creek」詳細情報
・住所:15 Marrowbone Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://saddlerscreek.com

ワイン畑でくつろぐ野生カンガルーに出会える「Oakvale Wines」

オーストラリア・ハンターバレー

2軒目にお邪魔した「Oakvale Wines」は、防腐剤や農薬を極力不使用、さらには動物性清澄剤(ワイン製造の過程で必要な、不純物を取り除く作業)を使わずに、ヴィーガンフレンドリーのワインを作る自然派ワイナリー。

オーストラリア・ハンターバレー

Oakvale Winesのスタッフと一緒に、背後に広がる雄大な山に囲まれながら、ワイン畑で乾杯……!と思って目の前を見たら!そこに!野生のカンガルーが!!

オーストラリア・ハンターバレー

最初は横たわって眠っていたらしいのですが、私たちに気がついてファイティングポーズを取り、さらには逃げようとしているシーンがこの写真。

「何のポーズをしていようと、そこに!野生のカンガルー!!」と、私とあやさんは大興奮していたのですが、スタッフも周囲にいるほかのオージーのお客様も、みんな「いつもいるよ〜。かわいいよねぇ」と何にも慌てていない様子。

これが、オーストラリア・スタンダード……!

オーストラリア・ハンターバレー

いただいたワインはどれもとても美味しかったのですが、とくにデザートワインの、濃い味わいで甘さがありつつもスッキリとしていて、しつこくない爽やかな味わいには二人とも惚れ込んでしまいました。

よって、二人ともお土産用に購入!帰国後もオーストラリアの味が楽しめるなんて、嬉しいな〜。

オーストラリア・ハンターバレー

■「Oakvale Wines」詳細情報
・住所:1596 Broke Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.oakvalewines.com.au

まるで映画の舞台のような「Vinden Wines」

3軒目は、一歩お店に足を踏み入れた瞬間、「ここは映画の舞台……!?」と素敵さに絶句してしまうほど、想像を絶するおしゃれさがほとばしるワイナリー「Vinden Wines」。

オーストラリア・ハンターバレー

開放的なレストランを思わせるテイスティングルームの目の前は、ワイン畑。犬が大好きなオーナー一家だそうで、愛犬が自由に庭を駆け回ったり、お客さんの足元で眠ったり、カウンターでお客様をお迎えする温かな雰囲気の中でワインがいただけます。

オーストラリア・ハンターバレー

オーストラリア・ハンターバレー

ちなみに、愛犬のダルメシアンの柄がモチーフとなったワインラベルもありました。可愛すぎる。

オーストラリア・ハンターバレー

もちろんおしゃれなだけではなく、ワインは添加物を使わず、丁寧にハンドピッキングされたブドウのみを用い、ヴィーガンフレンドリーで製造されている上に、ブドウを育てるための「ベストな土」を研究して、品種ごとに土を使い分けるこだわりっぷり。

オーストラリア・ハンターバレー

オーストラリア・ハンターバレー

Vinden wineriesでは、宿泊やウェディングも可能だそう。ハンターバレーで、うっとりするようなワイン体験がしたかったら、迷わずVinden wineriesへ。

オーストラリア・ハンターバレーオーストラリア・ハンターバレーオーストラリア・ハンターバレー

■「Vinden wineries」詳細情報
・住所:138 Gillards Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.vindenwines.com.au

Activity

ハンターバレーでは、ワイナリー巡りやテイスティングのほかにも、様々な楽しみ方ができます。たとえば……!

[1]丘の上で風に吹かれながら、「Audrey Wilkinson」でワイナリーピクニック

オーストラリア・ハンターバレー

ハンターバレーで最初にブドウが植えられたという160年以上の歴史を持つワイナリー「Audrey Wilkinson」では、「Brokenback Ranges」山脈の麓の丘の上で、ピクニックができます。

もちろんピクニックのお供は、ワインと、ワインに合うランチ・おつまみたち。なんという贅沢〜……!

オーストラリア・ハンターバレー

ワイナリーの敷地内にはヘリポートもあり、私たちのピクニック中も何機もシドニーからのヘリコプターが着地していました。シドニーからランチピクニックのためにハンターバレーにやってくる週末、いつか過ごしてみたいなぁ。

■「Audrey Wilkinson」詳細情報
・住所:750 De Beyers Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://audreywilkinson.com.au

[2]ボタニカルなカラフルウォッカ・テイスティング「Pokolbin Distillery」

オーストラリア・ハンターバレー

ハンターバレー内のウォッカ工房「Pokolbin Distillery」では、作りたてのウォッカ飲み比べ体験も。

到着時はすでにワインをたくさんいただいた後だったので、アルコール度数40度のウォッカをおいしくいただけるかな?と最初はちょっと不安だったのですが、一口飲んだ瞬間、そんな心配は杞憂だったと気がつきました。

ベーシックなドライウォッカは口当たりなめらかで香りよく、アルコール度数が高いお酒特有の喉が焼ける感じがまったくなく、むしろ「もっと飲みたい!」と思わせる上質な美味しさ。

オーストラリア・ハンターバレー

それだけでも幸福度が高いのに、Pokolbin Distilleryは、ドライウォッカをベースに、ボタニカル素材にこだわって作った多種多様なフレーバーウォッカまで作っていました。

そして、このフレーバーウォッカが本当に可愛くて美味しくて、まるでデザートをいただいているみたい!

その上、作り手は元アルバイトだったというJordanという女性が、素材探しから調合、完成までの一連の流れを担当していると聞いて、お酒好きな私たちは意気投合。あやちゃんと二人で、スタッフとお店の虜になってしまいました(笑)。

オーストラリア・ハンターバレー

Pokolbin Distilleryのことだけで記事1本書きたいくらい、最高の工房でした。ウォッカの概念が変わったほど。ハンターバレー、こんな出会いまであるなんて……。

■「Pokolbin Distillery」詳細情報
・住所: 2198 Broke Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.pokolbindistillery.com.au

[3]お土産探しならぜひここに!アート・チョコレート工房「Cocoa Nib」でカフェタイム

オーストラリア・ハンターバレー

ハンターバレーを語る上で、「Cocoa Nib」も忘れてはいけません。

ハンターバレー生まれ、ハンターバレー育ちの店主・Aymeeさんが、洋菓子店や有名レストランで働きつつも、忘れられなかったチョコレートへの情熱を、ここハンターバレーで形にしたお店がこちら。

オーストラリア・ハンターバレー

1粒6時間かけて作られるという「Chocolate Bonbon」は、見た目が美しいことはもちろんですが、中身は素材が何層にも重なっており、もはやアートと呼んでもいいほどの完成度の高さ。

オーストラリア・ハンターバレー

「Chocolate Bonbon」のほか、ホットチョコレートドリンクや、各種タルトなども楽しめます。カフェ利用はもちろん、お土産探しにも!

オーストラリア・ハンターバレー

■「Cocoa Nib」詳細情報
・住所:989 Hermitage Rd, Pokolbin, NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.cocoanib.com.au

Food / Lunch

ハンターバレーでは、ワインと一緒にいただく美味しい食事も目玉の一つ(そろそろお気づきかと思いますが、ハンターバレー、素敵なコンテンツが豊富すぎて、体験している私たちも嬉しさで眩暈がしそうでした!笑)。

[1]受賞歴多数の名門レストラン「Bistro Molines」

オーストラリア・ハンターバレー

「Bistro Molines」は、ハンターバレーのダイニングシーンの牽引役・Robert Molines氏が運営する、丘の上の素敵な一軒家レストラン。

オーストラリア・ハンターバレー

レストラン「Sydney Morning Herald」社が主催するフードアワードの常連受賞レストランで、美味しい料理をハンターバレーの景色とともにいただけます。

オーストラリア・ハンターバレー

過度な味付けが施されているというよりも、素材の味わいを存分に生かした、必要最低限だけれど、幸せを最大化するようなソースたちが添えられたフードは、食べながら「なくなっちゃうのが悲しい……!」と思わせるものばかり。

オーストラリア・ハンターバレー

オーストラリア・ハンターバレー

大切な人と一緒に訪れてほしい、とっておきレストランです。

オーストラリア・ハンターバレー

■「Bistro Molines」詳細情報
・住所:749 Mount View Rd, Mount View NSW 2325 オーストラリア

・公式サイトURL:https://bistromolines.com.au

[2]カンガルーのお肉にトライするならここ!レストラン「Kawul」

オーストラリア・ハンターバレー

「Kawul」も、広大な敷地の中に立つ一軒家ワインレストラン。

ハンターバレー滞在中、現地のオージーと何度か会話をして、食事はどこで?と聞かれたのですが、前述のBistro MolinesとKawulのチョイスは、みんな口を揃えて「Lovely. Perfect!!」と絶賛していました。

ハンターバレー在住者も、食事に出かけたいと思うナイスなレストランたちなのだそうです。その通り、雰囲気も食事も美味しくて、最高の一言……。

オーストラリア・ハンターバレー

なお、このレストランで私は、人生で初めてカンガルーのお肉をいただきました。締まった赤身という印象で、臭みはまったくなく、カンガルーだと言われなければ気づかなかったかも。

オーストラリア・ハンターバレー

味噌とはちみつの人参ソテーも、おすすめしてもらって食べたのですが、意外な組み合わせなのにとっても美味しくて驚きました。柚子や味噌など、日本でお馴染みの食材がたくさん見かけられるオーストラリア、なんだか嬉しい!

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■「Kawul」詳細情報
・住所:151 Palmers Ln, Rothbury NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.kawul.com.au

Food / Dinner

オージービーフステーキ×ワインなら「The Cellar Restaurant」

オーストラリア・ハンターバレー

ハンターバレーの観光地の一つ「Hunter Valley Gardens」からほど近いレストラン、「The Cellar Restaurant」。このレストランでは、オーストラリアに来たからには、やっぱりいただきたいオージービーフのステーキを堪能しました。

このディナーに至るまで、ハンターバレーで何種類のワインを飲んできたんだろう……!

オーストラリア・ハンターバレー

でも、どうしてもハンターバレーでは飲みたくなってしまうんです。ということで、夜もワインをいただいてしまいました(笑)。

■「The Cellar Restaurant」詳細情報
・住所:Hunter Valley Gardens Village, Broke Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.the-cellar-restaurant.com.au

Hotel

中心部に位置する便利で素敵なホテル「Mercure Resort Hunter Valley」

オーストラリア・ハンターバレー

宿泊は、ハンターバレー巡りに最適な立地の、「Mercure Resort Hunter Valley」に。じつは先ほどオージービーフをいただいたレストラン「The Cellar Restaurant」から徒歩圏内なので、ほろ酔い気分で歩いてそのまま帰れます。至福。

部屋の目の前は森で、夜は星が綺麗に見え、遠くには動物や虫たちの鳴き声が聴こえました。そして、月と星以外の光が見えないほど、「きちんと真っ暗」になってくれるので、最近類を見ないほどぐっすりと眠れました。

この「きちんと真っ暗になってくれる」って、じつは貴重な環境なんですよね。ハンターバレーの自然の静けさに囲まれて眠る夜、プライスレス……!

■「Mercure Resort Hunter Valley」詳細情報
・住所:Cnr Broke And, McDonalds Rd, Pokolbin NSW 2320 オーストラリア

・公式サイトURL:https://www.mercurehuntervalley.com.au

まだまだ尽きないハンターバレーの魅力

オーストラリア・ハンターバレー

……と、ハンターバレーで過ごした時間のダイジェスト版のような体験例をたくさん連ねてしまいましたが、もっと長くなってしまいそうなので、この辺りでお開きとしましょうか。

ハンターバレーで過ごす時間は、車で移動しながら窓の外を眺める時間すら幸せで、ワイン畑の緑色と、広い空の青のコントラストが美しい風景は、日頃の疲れをゆっくりとほぐしてくれるようでした。

オーストラリア・ハンターバレー

シドニーから日帰りも可能なので、もしシドニーを旅することがあったら、ちょっと寄りたい旅先リストに、ハンターバレーの名前を連ねてみてくださいね。ではっ!

編集部
伊佐 知美 Somewhere&Here inc.代表、写真家、文筆家

三井住友、講談社、Wasei『灯台もと暮らし』創刊編集長として勤務の後、「場所を問わずに働く」をテーマに、29歳の時に仕事を持ち歩きながらの無期限旅行に出発。二度の世界一周、マルタ、イギリス、フィリピン3カ国の語学留学等ののち、日本に帰国。現在は東京をベースに活動。著書に『移住女子』(新潮社/日・韓)。2023年夏に第一子出産。

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