ライター
SHIHO トラベルライター

旅と猫をこよなく愛し、訪問国は70ヶ国以上。猫が多い町では観光せずに猫を追いかけ回しがち。未承認国家や小国、奇祭や廃墟などマニアックな場所を好むため、写真映えする女子旅にやや憧れを抱いている。

世界四大廃墟のひとつ「旧ブルガリア共産党本部」とは

photo by Shutterstock

ブルガリアの首都・ソフィアから200kmほど離れた場所に位置する、ブズルジャ山の山頂に、かつてこの国に存在していたブルガリア共産党の本部となっていた建物が、廃墟となって残っています。

この建物は、旧ソ連時代の1981年に完成し、以後約10年に渡って共産主義のトップが集まる首脳会談などに使用されていました。

ソ連の崩壊と共にブルガリア共産党が解散した後は、博物館や記念碑として、地元の人々が訪れる場所となっていましたが、1990年代に経済難などの理由から警備員を解雇。

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警備員がいなくなると同時に、壁の装飾に使用された金属類や、天井に使われた高価な銅は盗まれてしまい、さらに風化による劣化で廃墟となってしまいました。

現在建物の内部には入れませんが、当時の権力を誇示するかのような巨大でUFOを思わせる一風変わった外観は、廃墟マニアや建築家、観光客に人気のスポットとなり、近隣の町から出るツアーもあります。

 

旧ブルガリア共産党本部へは絶対にツアーで

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共産党本部は、田舎のさらに山の頂上にあります。

この建物の保護を目的とした団体のホームページによると、「シプカ」と「カザンラク」という町からからバスが出るとのことで、実際にシプカに行きましたが時刻表等の情報が一切ありませんでした。

私が訪れた当時はあまりこの地の情報が無かったため、シプカから徒歩とヒッチハイクで行ったのですが、オフシーズンということもあり、人通りも無く非常に危険だと感じました。絶対にツアーで行きましょう!

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シプカの町の中心から、共産党本部のある山頂までは約20kmあり、山頂へ向かう車はほとんどありませんでした。

シプカは観光案内所も無い非常に小さな町の上に、オフシーズンだったせいか、ツアーは観光されていませんでした。ツアーは後ほど紹介する「ヴェリコ・タルノヴォ」という町から出ています。

 

霧の中に浮かび上がる巨大なUFO!

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何とか無事山頂に着いたものの、見渡す限り霧に覆われて真っ白!2,3メートル先が何にも見えません。一人でしたし、この時点で非常に怖くて引き返そうか迷ったのですが、ブルガリア旅行の最大の目的がここへ来ることだったので、そろそろと足を進ませます。

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ゆっくりと歩いて行くと、正面に崩れたゲートのようなものが見えました。この先に建物があることは分かるのですが、とにかく怖かったため、ゲートの外で霧が晴れるのを待つこと数分。

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風が霧を取り払い、その隙間からついに姿を現した旧ブルガリア共産党本部。立ち込める霧が建物の土台を隠し、本当に宙に浮かぶ巨大なUFOのよう。ぼや~っと現れたその姿もまたSF映画さながらで、今まさに動き出すのじゃないかと感じるほどでした。

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建物に近付くにつれ霧が晴れてきたのですが、晴れたら晴れたでその巨大さがあらわとなり、押しつぶされそうになるかのような圧迫感がとにかく怖い……。と思うと同時に、この世のものとは思えないような、異質な絶景に鳥肌が立ちました。

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やっとの思いで正面玄関に到着。

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入り口は入れないように、頑丈な鉄柵で塞がれています。

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この円盤型のドームは直径約42メートル、ドームに併設された塔は高さ約70メートルもあります。

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塔の尖端は霧に覆われて見えませんでしたが、かつてはシプカ峠を一望できる展望台として、多くの人を集めていたそう。現在は警備員が常駐し、建物内部には入れませんが、入れる時期に撮られた写真がこちらです。

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天井にデザインされた共産党のシンボルマークである「鎌と槌(つち)」。

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マークの周囲を囲んでいる文字は、1848年に共産主義のリーダー・マルクスとエンゲルスによって書かれた書籍「共産党宣言」の一文で「万国のプロレタリアート(労働者)よ団結せよ」という意味です。

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帰りに山道を下っていると、霧の晴れ間から共産党本部を遠くから見ることができました。塔の先にデザインされた星もまた、共産党のシンボルマークなのです。

ちなみに晴れた日だともっと明るいので、それほど怖さは感じません。

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訪れるなら冬以外がいいかもしれませんが、私のようないかにも廃墟らしい少し陰気な光景を見たいのであれば、人を集めてみんなであえて冬に行くのもいいかもしれませんね。

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天候が悪いというだけで、これほど恐怖心を抱かせる光景も凄いと思います。

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旅と猫をこよなく愛し、訪問国は70ヶ国以上。猫が多い町では観光せずに猫を追いかけ回しがち。未承認国家や小国、奇祭や廃墟などマニアックな場所を好むため、写真映えする女子旅にやや憧れを抱いている。

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