こんにちは、TABIPPO編集部です。2020年9月14日(月)から2020年10月12日(月)まで「#私たちは旅をやめられない」コンテストを実施しています。
応募媒体は「note」。指定の#タグと共に、自由な表現で “海外への旅” への思いを投稿いただくコンテストです。
同時に、クリエイターによる作品とコンテストの受賞作を掲載する特集もスタート。様々な表現での、それぞれの思いをぜひご覧ください。
今回はTABIPPO社員の編集者、中 美砂希の作品をご紹介します。
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きっと「世界 絶景」で検索をかけていたのだろう。
今から約10年前。深夜のネットサーフィンで私の動きをぴたりと止めたのは、今ではあまりにも有名になったボリビア・ウユニ塩湖の写真だった。
見渡す限りの360度が鏡張りとなり、天と地がどちらなのか区別がつかないほど。同じ景色のものはひとつとなく、さまざまなカラーをしていた。
「この場所に、絶対に行く。」
世界一周に興味を持ったのは大学生の頃。ある本がきっかけとなりいつか宝くじが当たれば行こう。それぐらいの淡い期待がずっと頭の片隅に残ることになる。
そのまま時は過ぎ去り20代後半に差し掛かった時、私の心は揺れ動いていた。
けれど、悩みがちな性格が心にブレーキをかけてくる。
さまざまな心配や不安が次から次へと押し寄せてきて、なかなか決断できずにいた。少しずつ悩みや不安を取り除いていた時、わたしに決定的な後押しをしてくれたのが、ネットサーフィンで見つけたウユニ塩湖の写真だった。
退職届を早すぎるであろう1年前提出して、30歳になったふしめの年に世界一周の旅に出発した。
ウユニ塩湖は、写真を見すぎて感動がなかったという旅人もいるけれど、ここはいまだに自分の中で不動の絶景ランキング1位。
ペルーから一緒に旅をしていた人とボリビアに入国。拠点となるラパスの街は標高が約3,600mのため、階段を何段か登るだけで息切れする。高山病で軽い頭痛がしたものの、「こ、これが高山病なのか!」と少し興奮し、嬉しい気持ちにさえもなった。
ラパスのバスターミナルを夜に出発し、ウユニ塩湖がある村へ向かう。ボロボロのバスに乗り道中はガタガタ道、炭酸が抜けたインカコーラをたまに飲み、うたた寝を繰り返して早朝にウユニの村に到着した。
ツアーは主にサンライズ、日中、サンセットの3種類が用意されていた。
ウユニ塩湖までは距離があり1時間ほどだっただろうか。村から車を走らせる。運転手のおじさんは、カーナビが付いていないのに感覚で覚えているのか塩湖の上をひたすら飛ばして走っていく。
薄っすらと水がはっている光景に胸が高まりながらも、まだまだこんなもんじゃないはずと期待で胸を踊らせていた。
そして、やっと夢にまで見た光景を自分の目で見ることができた。
見渡す限りに広がる鏡張りの世界。もう、いろんなWEBメディアや書籍にテキストがあふれすぎてて表現の仕様がないのだけれど。
人間、本当に感動した時は単純な言葉しか出てこないんだ。「やばい、綺麗」、そんな陳腐な言葉しか。
それでも、全身で感動していたことは溢れてきた涙が教えてくれた。景色を見て涙したのはこれがはじめてだった。
きっとそれは、やっと出会えた最高の景色にただ感動したこともあるし、あのとき世界一周に旅立つと決断してよかったねって、もう一人の自分が囁いてくれたんだと思う。
考えすぎる性格だから、旅に出ようと決断してからも悩んで考えて、でも答えは出なくて。
世界をみたい気持ちだけで日本を飛び出してきた自分に、よくやった!って褒めてくれてたんだと思う。ずっと張り詰めていたものがぷつんと切れたような感じがした。
2020年9月6日。世界一周から帰国してあれから6年経ったと、Facebookの通知が知らせてくれた。
今はもうWiFiがさくさく動いているのだろか。
シャワーはどの宿もお湯が出るようになったのだろうか。
ツアー会社は増えたのだろうか。
新型コロナウイルスの影響はどうなのだろうか。
世界一周の旅を振り返った時、いつだってはじめに頭に浮かび上がるのはウユニ塩湖のことだ。
いつ訪れても同じ光景を見せてはくれないウユニ塩湖。一番好きな時間は太陽が沈むときだった。空はピンク色から紫色に変わり、大空が一気にロマンチックな雰囲気に早変わりする。
こんな景色を人生のパートナーと一緒に今度はみることができたらどんなに幸せだろう。地球の裏側にまた足を運び、大好きな場所で感動を共有し合いたい。
そして、富士山と同じくらいの標高の場所で子供みたいにはしゃぐんだ。
All photos by Misaki Naka
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