ゾッとした怖さを感じるシュタージ博物館
次はシュタージ博物館を紹介します。「シュタージ」とは東ドイツで暗躍した秘密警察のこと。正式メンバーの約9万人以外に非公式協力者もいました。
つまり、街の中は秘密警察とその協力者だらけ。うっかり政府批判したら、密告されました。シュタージ博物館は元シュタージ本部の建物を使っています。
シュタージは西ドイツにも入り込んでいました。右側の人物は西ドイツのブラント首相(当時)です。耳元で囁いているのはブラントの「秘書」ですが、実は「シュタージ」のメンバーでした。つまり、西ドイツの情報はシュタージを経由して東ドイツに筒抜けの状態だったのです!
シュタージはこのように旅行者に「変装」して西側諸国に潜入しました。今から見ると怪しさしか感じられないファッションですが。
高速道路のパーキングエリアを堂々と「盗撮」しているシュタージです。これは東西ドイツの境にあるパーキングエリアの上を監視しています。西ドイツ・東ドイツの人間が接触していないかをチェックするためです。
さてこれらの監視や密告で少しでも「反体制的」とみなされると、さらに監視は厳しくなりました。一見すると単なるじょうろに見えますが、監視カメラ付きじょうろです。
取っ手の部分に監視カメラがあります。また「反体制的な」グループを見つけると、メンバーとして「シュタージ」が入り込みました。そしてグループ内を混乱させたり、そこでの話を密告したりしました。
決定的な「証拠」が見つかると、厳しい取り調べが待っています。場合によっては「シュタージ」に協力を迫る場合も。「シュタージ」の指示に従わせるために拷問はせずに、あらゆる精神的プレッシャーを与え続けました。
シュタージの厳しさを感じられる映画が『善き人のためのソナタ』です。主人公は現役バリバリのシュタージの局員。あるとき、反体制と思われる劇作家と同棲相手の舞台女優を監視するように命じられます。
最初は任務に従いますが、少しずつ心を揺れ動かされることになります。
・名称:シュタージ博物館(Stasimuseum)
・住所:Ruschestrasse 103 Haus1, 10365 Berlin
・地図:
・アクセス:Uバーン5号線「Magdalenenstrasse」から徒歩約5分
・営業時間:10:00~18:00(月曜日~金曜日)、11:00~18:00(土曜日・日曜日)
・定休日:なし
・電話番号:(030)5536854
・料金:大人6ユーロ
・所要時間:90分
・オススメの時期:いつでも
・公式サイトURL:http://www.stasimuseum.de
All photos by Nitta Hiroshi
もっと伝えたいドイツがある
ファンが多い人気の旅先、ドイツ。2021年6月6日からは、日本から観光目的でのドイツ渡航が認められて、胸が高まるばかり。
有名な観光地へは足を運んだけれど、大好きだからこそもっと深くドイツを知って訪れたくなる。文化、食、建築、自然など、知られざる魅力あふれるドイツを、旅好きライターがお届けする特集がスタートします。あたらしい発見、ユニークな体験がきっとみつかるはず。