こんにちは、ドイツ在住トラベルライターのYuです。
ドイツの有名な伝統行事といえばクリスマス。冬季はクリスマスマーケットめあてにドイツへ旅する方も多いのではないでしょうか。
しかし、ドイツにはまだ知られていない伝統行事がたくさん。私も実際に住んでみるまで知らなかった行事が多くあり、毎回文化の違いを楽しんでます。
そこで今回は、ドイツ人が愛してやまない“知られざる”伝統行事をご紹介。
旅行する時期のイベントを知っていると、さらに旅の楽しみもアップしますし、文化への造詣も深まります。ぜひ旅のご参考にしてみてくださいね。
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州によって祝日や伝統行事が異なるドイツ
ドイツの正式国名は「ドイツ連邦共和国」で、それぞれ自治権のある16州で国が構成されています。そのため州ごとに政治体制や教育制度などの決定権があり、祝日も州ごとに異なるという一面が。(クリスマスや元旦などドイツ全土で共通の祝日もあります)
そして、ドイツの祝日は基本的に日付が毎年変わります。
たとえば「〇月の第2日曜日」というような決め方や、イースターにいたっては「春分の日後の、満月直後の日曜日」というようになかなか難解なものまで。(そしてこの春分の日も毎年変わるという……!)
ドイツでは日曜日・祝日はお店がすべて閉まってしまうので、ドイツ旅行時には事前に祝日をチェックしておきましょう!
また州やエリアによっても、伝統行事が異なります。各地それぞれに伝統文化がある日本と同じですね♪
ドイツを旅する時期に何かの祝日にあたると、お店は閉まりますがお祭りや伝統行事を楽しむことができるチャンス。ぜひドイツの伝統や風習を楽しんでみてくださいね!
どれも独特!ドイツならではの伝統を楽しもう
ドイツ国内でもっとも多数派である宗教はキリスト教。祝日もキリスト教関連のものが半数以上を占めます。
たとえばクリスマスやカーニバル、イースターはキリスト教関連の祝日でもとても重要な日。この時期になると街中がデコレーションされ、ワクワク感が伝わってきます。
ひとえにキリスト教といっても宗派によって祝う日が異なり、一般的にカトリック信者の多い南部ではカトリック関連、中部~北部ではプロテスタント関連の伝統が祝われます。
東西に分断されていたドイツが統一されたのは、1990年10月3日。「ドイツ統一記念日」は、現代ドイツを象徴する祝日です。
地域限定で祝われる日の代表と言えば、「マイバウム」。
私の住んでいるドイツ西部や南部では盛大に祝われていますが、他エリアではその習慣はほとんどないのだそう。
さて、ここからは日本ではあまり馴染みがないけれど、ドイツ人に愛される“知られざる祝日”にフォーカスしてご紹介していきます。
ランタンが幻想的な、聖マルティン祭(St.Martinstag)
まずご紹介するのは、毎年11月11日に開催される「聖マルティン祭」。
ドイツでもっとも愛される聖人「聖マルティン」の伝説に基づいた祭りで、ドイツ各地で行われています。(※地域によっては、別日に行われているところもあるので要注意)
10月になると幼稚園や小学校では聖マルティンの歌を覚えたり、ランタンを手作りしたり、伝説を勉強したり……と聖マルティン一色になります。
まずこのお祭りについて知るには聖マルティン伝説を理解する必要があります。
元はローマ帝国の騎士だったマルティン。ある極寒の日に馬に乗って城門まで行くと、破れた服を着た乞食に助けを求められます。哀れに思ったマルティンでしたが、手持ちのものは何もない。
そこで自分が着ているマントを剣で2つに切り分け与えました。その後も生涯をかけて困っている人々を助け続けたと伝えられており、この慈悲深い行動が今でも愛されている理由なんです。
聖マルティン祭の日には、夕方ごろからランタンを持った子どもたちを中心に大勢の人々が街を歩きます。
この行列の先頭にいるのは、松明を掲げ騎乗した騎士(=聖マルティン)。そしてそのゴール地点には、大きな焚火が待ち構えています。
そこで振舞われるのは、巨大な聖マルティンプレッツェル!
通常の塩気のあるプレッツェルと違い、フワフワ食感のパン生地にはたっぷりの砂糖がまぶされていてとってもおいしいんです。
地域によっては「ヴェックマン(Weckmann)」という人間の形をしたパンのところもあります。10~11月にドイツ旅行をするときには、ぜひパン屋さんで期間限定の味をお楽しみください♪
クリスマスの終わりを告げる「三王来朝」(Heilige Drei Könige)
「ドイツのクリスマスシーズンが終わるのは1月6日」という事はご存じでしょうか?ドイツ人家庭では、この日までクリスマスツリーを飾る伝統があります。
この1月6日、「三王来朝」または「公現祭(東方の三博士の来訪記念日)」と訳されるのですが、正直この名前からではどんな日なのかよく分かりませんよね。
これもキリスト教関連の伝統で、東方から三人の賢者が星に導かれてやってきて赤ん坊のキリストを見つけたという伝説に基づいています。
三王来朝は、3人の賢者に扮した地元の子どもたちが各家庭を訪問し歌を歌ってくれる伝統があります。
これは、寄付金や保存食品を集めて困っている人々に分け与えるという、三王来朝に行われる慈善活動のひとつ。訪問した家の玄関ドアには、このようなステッカーが貼られます。
ドイツの街でこの暗号のようなステッカーを見かけたら「この家には、今年も子ども賢者たちが来たんだなぁ」と微笑ましい光景を想像してみてはいかがでしょうか♪
また、バイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州、ザクセン=アンハルト州では祝日となるので、旅行時はご注意くださいね。