ドイツの”第5の季節”はカーニバルで!(Fasching)
ドイツでは「ファッシング(Fasching)」や「ファスナハト(Fasnacht)」と呼ばれ、日本語では「謝肉祭」と訳されるカーニバル。
春の訪れを祝うカトリックの祝日で、とくに盛り上がるのはケルン・マインツ・デュッセルドルフの3都市が有名です。この都市の住民たちは、並々ならぬ情熱・労力をカーニバルにそそぎます。
古来の風習を元に現代では「イースター(復活祭)の断食期間前に、思いっきり食べて飲んで騒ごう!」という日に変容してきたのだそう。
カーニバル期間中は大規模なパレードが開催され、さまざまな趣向がこらされたフロートが街中を練り歩きます。
パレードでは観客にお菓子やお酒が大盤振る舞いされ、参加者も観客も一緒に大盛り上がりをみせます。
カーニバルの掛け声「Helau!(ヘラウ)」や「Alaaf!(アラーフ) 」を覚えておくと、カーニバル参加時に一緒に盛り上がることができますよ♪
また、カトリック圏にある学校ではカーニバル週間はコスチュームを着て登校する日があったり、さまざまな関連イベント・アクティビティが用意されていたりします。子どものころから慣れ親しむ伝統行事という一面もあるようですよ。
カーニバル期間は、基本的にイースター(復活祭)からさかのぼって、6週間前の日曜日からの3~4日間。例年2月中旬~後半になることが多く、その期間は祝日扱いとなり店が閉まるエリアも。この時期にドイツ旅行をする際はご注意くださいね。
「イースター(Ostern)」は家族団らんの日
日本語では「復活祭」と訳されるイースター。十字架にかけられて処刑されたキリストが、3日後に復活したことを祝うお祭りで、キリスト教においては重要な行事のひとつです。
毎年3月中旬~4月中旬ころのどこかの日曜日がイースターに該当することから、春らしいイメージのあるお祭りでもありますよね。
イースターに欠かせないのがイースターエッグとイースターバニー。卵はキリストの復活を表し、ウサギは多産であることから豊穣のシンボルとされています。この期間になるとお店や家は卵やウサギのデコレーションがされて、どこも可愛らしい雰囲気に。
ドイツでは「イースターバニー」が夜中に卵を隠していくという伝統があり、翌日には子どもたちが大好きな「イースター・エッグハント(卵探しのアクティビティ)」が行われます。
イースター家族が集まって団らんする日……という意味を込めて、期間中は家でごちそうを食べたり、普段教会へ行かない人もこの日だけはミサに行くというドイツ人も多いです。
期間中前後の平日も祝日となる場所が多く、その期間はすべてのお店が閉まります。この時期に旅行する際には、計画的に行動しましょう。
これを知ってたらドイツ通!「マイバウム」(Maibaum)
5月1日は「労働の日(メーデー)」で、ドイツ全土の祝日として定められています。
しかしドイツ南西部(バイエルン州やラインラント=プファルツ州、ヘッセン州など)では、5月1日といえば「マイバウムの日」!
どんなに小さな村でも祝われるほど親しまれている、春の訪れを告げる伝統行事なのです。
マイバウム(Maibaum)とは、ドイツ語で「5月の木」という意味。装飾された長い木(=マイバウム)が、街の中心地にそびえ立つのを見たことがある方もいるかもしれません。
バイエルン州ではカラフルなリボンや、それぞれの街を象徴する職業の絵などで華やかに飾られているのが特徴です。
私の住んでいるラインラント=プファルツ州の村では、素朴な飾りつけがされます。でも木の飾りは村々によって異なります。それぞれのデザインを見るのがこの時期の楽しみでもあるんです。
数日前から祭りが開催されることも多いですが、本番は5月1日。楽団のパレードに合わせて、この日のために選ばれた特別なマイバウムが街の中心地に運ばれます。それをゆっくりと立てるのを、伝統衣装に身を包んだ人々が見守ります。
マイバウムは新しい生命と成長のシンボル。地域社会の結束や繁栄を祈る儀式として、古代ゲルマン民族の時代から続いてきた伝統といわれています。
シーズン中にドイツ南西部を旅行するときには、街の中心地にあるマイバウムをぜひチェックしてみてくださいね。
大きな都市ではたくさんの屋台やステージが並び、お祭りムード満点!遭遇できたらラッキーですよ♪
伝統行事を学んで、ツウなドイツ旅行を楽しもう
クリスマスやオクトーバーフェストが脚光を浴びがちですが、ドイツにはまだまだ知られざる伝統行事があります。
季節ごとの伝統イベントが多く、地域色が豊かなのも特徴。
ドイツを旅する際にはそのシーズンの伝統行事について知っておくと、より奥深く思い出深い旅になるはずですよ♪
All photos by Yu Villegas