ライター
永崎 裕麻 生きる旅幸家

「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。 2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2014/2016/2017)のフィジー共和国へ07年から移住し、現在13年目。 100カ国を旅し、14カ国で留学した経験を活かし、内閣府事業に参画、教育企画の立案、ライターとして「ハフィントンポスト(日本版)」「日経doors」などで執筆、「幸せに気づくコーチング」、「40歳定年」などの活動中。 二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

こんにちは。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズの校長をしています永崎 裕麻です。

100カ国を旅して、いちばん幸せな国だと感じたフィジーに2007年から移住し、日本とフィジーを行き来するデュアルライフ(二拠点生活)をしています。

2019年より拠点を1つ追加し、現在はトリプルライフ(三拠点生活)に挑戦中。3つ目の拠点として選んだのは北欧のデンマークです。

前編に引き続き、世界幸福度ランキング(全8回)で一度もトップ3から外れたことのない唯一の国「デンマーク」の幸福の秘訣について解説していきたいと思います。

前編はこちら

デンマーク人の幸せにおける「8つの秘訣」

おさらいですが、デンマークにある「幸福研究所(The Happiness Research Institute)」によると、デンマーク人の幸せの要素は以下の8つです。

1. Trust (信頼)
2. Security (社会保障)
3. Wealth (富)
4. Freedom (自由度)
5. Work (仕事)
6. Democracy (民主主義)
7. Civil Society (市民の社会参加)
8. Balance (ワークライフバランス)

後編の本記事では、5-8について触れていきます。

5. Work (仕事)

photo by Yuma Nagasaki
前編で書いたように、デンマークのような高福祉国家では「お金」に執着する必要性が下がります。仕事を選ぶ際、給与額よりも「やりがい」や「楽しさ」が価値を持ちます。自分の好きなことをして、かつ、それが社会貢献になっているという意識が強いので、仕事への満足度は当然高くなります。

デンマーク人は「時間」をとても大切にするため、無駄を省いて合理的に仕事をします。残業もほぼやらず、労働時間も少ないです。年間の平均労働時間はOECD36カ国中、2番目に少ない1,392時間。1日8時間労働とすれば年間労働日数は174日となります。2日に1日以上は休んでいることになります。

※ちなみに日本人の平均労働時間は年間1,680時間(=210日)です。デンマーク人よりも「36日」多く働いています。

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また、デンマークはレゴ発祥の国です。レゴブロックが凸凹を利用して合体するがごとく、デンマークは人と人がそれぞれの長所・短所をうまく組み合わせて協働することが得意な国です。

6. Democracy (民主主義)

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高度な民主主義を備えた国ほど、国民の幸福度は高い傾向にあるといわれています。アメリカの経済誌「フォーブス」はデンマーク政府を「世界でもっとも良い政府」としています。

デンマークでは国民の政治への関心も高く、国政選挙の投票率は80%を下回ることがありません。日本の投票率は48.80%と半数割れ(2019年7月の参議院議員選挙)。投票が義務化されている(罰則規定がある)国を除けば、デンマークの投票率は世界一といわれています。

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その理由の1つは、子供の頃からの教育です。テストや受験のための「正解主義」とは違って、自分の意見を表現する機会が家庭でも学校でも多く与えられています。授業の中で政治や政党についてもよく学び、どの政策を支持するのかディスカッションしています。

政治に対して強い関心を示す国民から選ばれた政治家たちは、総じてリスペクトされています。政府(警察や裁判所などを含む)への信頼度は84%にも上ります。

政治が国民にとって身近なのは、世界でいちばん汚職度が低かったり、国会議員も自転車通勤をしたり、エコノミークラスに乗ったり、地方議員はボランティア(無給)だったりと、様々な理由があるのでしょう。まさに民主主義の理想郷だと感じるのは私だけでしょうか。

7. Civil Society (市民の社会参加)


デンマークのとある学校を訪問させてもらったとき、18歳くらいの子たちがこんな会話をしていました。

「今日、デモ行く?」
「行くよー」

「今日、カフェ行く?」みたいな軽い感じで。日本だと「意識高い系」と揶揄されそうな気もします。

日本財団の「18歳 意識調査」によると、「自分は責任がある社会の一員だと思う」「自分で国や社会を変えられると思う」「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」と答えた日本の若者はそれぞれ44.8%、18.3%、27.2%。

調査対象国9カ国中、どれも圧倒的な最下位。自分が社会の一員だと感じられず、社会を変えられるとも思えず、その議論に加わろうともしない現状が浮き彫りになりました。

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2019年7月、「SDGsの達成状況」のランキングが発表されており、デンマークが世界1位です。

デンマークでは国や企業、地域社会および個人が「持続可能性」を強く意識して活動しているからです。誰しもが社会の一員として、社会を良くしていくことを当たり前のこととして行動しています。

8. Balance (ワークライフバランス)

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デンマーク人はメリハリをつけて働きます。有給休暇の取得率はほぼ100%です。エクスペディアの「有給休暇・国際比較調査 2018(19カ国)」によると、日本は取得率が50%であり、3年連続最下位です…。

デンマーク人は残業などせず、家に帰ってヒュッゲ・タイムを楽しみます。「ヒュッゲ」とはデンマーク語で、「居心地のよさ」という意味で、日本語の「まったり」や「ほっこり」に近い言葉です。ヒュッゲ・タイムとは、「気のおけない友達と集まり、あたたかい部屋でキャンドルを灯し、コーヒーを飲んだり、映画を観たりする」時間のこと。

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お金をかけなくても作り出すことができる「小さな幸せ」をデンマーク人は大切にしています。ヒュッゲという幸福観があるため、「上へ上へ」という野心のインフレを防ぐことができています。

また、デンマークでは男女の就業率がほぼ同じ。家事の分担率も、「男性:女性=3:4」と差が小さく、男女平等が進んでいます。男女の「幸福格差」もほぼなし。

日本の場合、実は男女の「幸福格差」が世界一(女性のほうが幸せ)。不思議なのは、男性のほうが社会的にはだいぶ有利なはずなのに…という点です(日本のジェンダー・ギャップは世界153カ国中121位。G7で最下位)。

世界でいちばん幸せな国の不都合な真実


前編・後編の2回にわたり、デンマーク人の幸せな理由について見てきました。「デンマーク人はなぜ幸せなのか」がテーマなので、デンマークのいい面ばかりを書き連ねています。

しかし、デンマークが地上の楽園なのかといえばそんなことはありません。世界でいちばん幸せな国の不都合な真実はたくさんあります。

たとえば、デンマークでは全成人の約5%がうつ病です。抗うつ剤の使用量も世界トップクラスです。幸せな人たちに囲まれた状態でうつになると「なぜ自分だけが?」とより不幸を感じやすくなります。その結果、自殺率が上がるという「幸福な国のパラドックス」が発生します。

デンマークでは離婚率も高いし、他の北欧諸国に比べると男女平等が進んでいません。当然、デンマークにもいろいろと課題はあります。ただ、成熟した民主主義という強力な武器があるので、国民が一丸となり、諸々の課題について合理的に撃破・解決していくのだろうと思っています。

今、私たちができること

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新型コロナウイルスへの対応の一環として、デンマークの首相(42歳女性)はオンラインで子供たち(9-17歳)からの質問に直接答えていきました。子供たちがデンマークの民主主義を担っていくからです。こんな緊急時でも「未来」を見据えています。このリーダーシップに世界が感動しました。

一方、日本はどうか。この記事を書いているまさに今、安倍政権が全世帯へマスク2枚を配布することを発表しました。ウィズコロナやアフターコロナの社会の中で、日本の民主主義が早期にアップデートされることを祈ります。

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前編でも最後にお伝えしましたが、デンマークの方法を全て模倣すればいいというわけではありません。ただ、「デンマークの幸福の秘訣を私たち個人の考え方や習慣のレベルに落とし込むこと」は個人でもできることだと思います。

家にいる時間が長くなった今、少し「幸せ」について考えてみるのはいかがでしょうか。

ライター
永崎 裕麻 生きる旅幸家

「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。 2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2014/2016/2017)のフィジー共和国へ07年から移住し、現在13年目。 100カ国を旅し、14カ国で留学した経験を活かし、内閣府事業に参画、教育企画の立案、ライターとして「ハフィントンポスト(日本版)」「日経doors」などで執筆、「幸せに気づくコーチング」、「40歳定年」などの活動中。 二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

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