こんにちは。写真家のしふぉんです。
先日、北海道の道東エリアで開催された「道東トラベルウィーク 2023冬」の知床エリアに参加してきました。弟子屈町(てしかがちょう)〜川湯温泉の、延泊含め4泊5日で体験した道東の魅力をお届けします。
・参考:余白あふれる道東で、大自然を遊び尽くす旅を。道東トラベルウィーク2023冬を実施します|TABIPPO.NET
旅の終わりをえがく流氷ウォーク
知床エリアの目玉コンテンツであった「流氷ウォーク」。
約1,000km離れたロシアにあるアムール川から、淡水がオホーツク海へ流れ出すことがきっかけとなり、流氷が作り出されオホーツク海沿岸へと流れ着く。
その動向は不規則で、一面に広がる流氷が次の日には消えてしまうということも。当日まで見られるか分からないという高揚感が、見ることのできた時の喜びを倍増してくれるのだ。
流氷の上を歩くとなると寒いのではないかと思うかもしれないが、実際は防水性と保温性を兼ね備えたドライスーツを着て歩くので、直接外気に触れる顔以外はまったく寒くなかった。
実は、昨年もウトロにて流氷ウォークに参加したのだが、今年はより流氷を堪能することができた。
というのも、昨年の参加時は流氷の状態がしっかりしており、海に落ちるということなく歩いて楽しんでいたのだが、今年は薄い流氷が多かったり、流氷の隙間も多くみんなズブズブと落ちながら楽しむことができたからだ。
しまいには、手をつないでジャンプしてみんなで流氷に穴を開け落ちてみる。顔まで海水に浸かるとしょっぱい、けどとにかく楽しい。
その時の参加者やガイドさん、流氷の状態によっても内容が変わるのが醍醐味であり、何度でも体験したいコンテンツだと感じた。
地球温暖化の影響で年々減っていて、いつか見られなくなるかもしれないと言われている流氷。ツアーガイドさんの話では、体感できるくらい年々流氷が薄くなってきているとのこと。興味ある方には早いうちに体験して欲しい。
心をとかし、あたためてくれる宿
ウトロ滞在の2泊でお世話になったのが、「KIKI知床 ナチュラルリゾート」。
2023年1月に全面リニューアルされた大浴場には「クロウナ」「ネウナ」「ウィスキングサウナ」「イグルーサウナ」という4つものサウナが設置されている。サウナーにはたまらない施設なのではないだろうか。
せっかくなのでそれぞれ軽くご紹介。
クロウナは “穴蔵” をイメージして作られた、サウナとしては珍しい真っ暗なサウナ。ストーブにやかん型のアロマポットがあったのが印象的であった。
ネウナは名前の通り寝て入るサウナ。通常サウナではマナー違反とされる横になるという行為が、ここでは推奨されている。
ウィスキングサウナは、白樺の若い枝葉を束ねたサウナの道具「ヴィヒタ」を使ってセルフウィスキングを楽しむことのできるサウナ。ウィスキングとは、ヴィヒタで肌に刺激を与えるフィンランド式サウナの楽しみ方。血行促進に繋がり、マッサージのような効果が期待されるとか。
イグルーサウナは国内にまだ数えるほどしかない、エストニア生まれのサウナ。木でできたかまくら型のサウナで屋外に設置されている。
また、水風呂もただの水風呂ではなく、ボタンを押すと頭から水を被ることのできる仕掛けがある。
もちろん魅力はサウナを含む大浴場だけではない。広々としていて寛ぐことのできるロビーにシアターラウンジ、広い客室でも、ゆっくりと旅の疲れを癒すことができた。
朝は豪華な朝食ビュッフェから始まる。和食から洋食までバリエーションは豊富で、とくに知床産の鮭を利用したお茶漬け「あっぺ飯」はぜひ食べてほしい一品だ。
ウトロの早朝散歩
2日目の朝、個人的に行ったウトロ散歩。朝は苦手だけど旅先でせっかくならと行うのが、薄明の空〜日の出を楽しむ早朝散歩。
ウトロは知床半島の西側に位置するため、日の出を見ることはできないのだが、日の出直前に西側に現れるピンク色の空「ビーナスベルト」を流氷とともに狙うことに。
この日の日の出は5:50頃。しかし、寝坊してホテルを出たのは6:00過ぎであった。KIKI知床 ナチュラルリゾートは、ウトロ港から高台に上がっていったところにあるため、坂を下り15分ほど歩かなければならない。
すでに日の出を迎えているようで、少しずつ知床連山の向こう側の空が少しずつ明るくなってきているようだった。
坂を下るとウトロ唯一のセブンイレブン。そして隣には道民に愛されるコンビニエンスストア「セイコーマート」が並ぶ。さらにウトロ漁港の方へ進んでいく。
ウトロ港の近くにある、高さ60メートルもの巨大ないわ「オロンコ岩」の手前までくると、開けた場所に出て、綺麗なグラデーションの空と月を見ることができた。
右奥に見える知床連山には傘雲がかかっていた。
オロンコ岩の下にはトンネルがあり、空の下層ピンクに染まった空をトンネルが切り取り、幻想的な空間が広がっていた。
トンネルを抜けた先には三角岩があり、ここが散歩の終着点であった。
雪で隠れてしまっているが、普段は駐車場として利用されているスペースのようで、三角岩の横には少し展望スペースが設けられていたため、そこで流氷とビーナスベルトを狙ってみることに。
ここまでは歩いて体を動かしていて寒さを感じなかったものの、ここは−10℃の世界。立ち止まってカメラを操作していると、普段経験しない寒さで凍えるようだった。しかし、優しい色に染まった空に流氷が覆い尽くした海、その寒さを吹き飛ばすくらい美しかった。
せっかくここまできたので、日が少し差し込むまで待機してみることに。
刻一刻と変わりゆく景色を眺めながら静寂に包まれ過ごしたこの時間は、心の余白を感じることのできる贅沢な時間であった。仲間と過ごす時間もよいが、たまには一人を楽しむ時間もよいのではないだろうか。
温泉につかる白鳥
晩秋にシベリアから白鳥が飛来する場所として有名な屈斜路湖(くっしゃろこ)。周辺には「砂湯」や「コタン温泉」、「和琴温泉」などの多くの野湯が点在している。
どの白鳥も人馴れしているのか、近寄っても全然逃げていかない。白鳥を近くで楽しむには絶好の場所だ。
砂を掘ると温泉が出てくる砂湯には足湯もあるので、のんびりと温泉につかる白鳥を眺めながら足湯を堪能してみるのもいいかもしれない。
野湯はそれぞれ少しずつ景色が違っていたり、移動中に天気が変わったりと違った表情を楽しむことができるので、数カ所周ってみるのがおすすめだ。
静寂を楽しむ朝カヌー
朝5時起きで向かったカヌーツアー。今回のカヌーツアーは漕ぐことを楽しむカヌーとは違い、ガイドさんの案内を聞きながらゆっくりとその時その場所の景色や空の色などの移り変わりを楽しむものであった。
屈斜路湖から始まり釧路川源流を進むツアーだ。釧路川は流れ出しから河口までダムも堰もない、一級河川である。カヌーイスト憧れの地なんだとか。
実際体験してみると、今まで自分が抱いていた “幻想的” という言葉に対する印象が覆された。とくに出発地点である屈斜路湖で見たブルーからピンクの淡いグラデーションと静寂、そして、そこに響く白鳥の鳴き声。夢の中にいるような不思議な感覚であった。
ここから釧路川源流へと進んでいく。
降っている途中にはカモやオジロワシとの出会いも。
ガイドさんに教えていただき、写真には収められなかったものの、世界の中でも北海道にしか生息しない鳥「シマエナガ」も発見。
体験した日は比較的暖かく、霧氷や気嵐を見ることはできなかったものの、普段東京にいては体験できない静寂を写真を撮るのも忘れて堪能していた。
次はとびきり寒い日に体験しに行きたい。
摩周ブルーに輝く湖
日本一の透明度を誇り、水位がいつも変わらない不思議なカルデラ湖である摩周湖。湖水の色は深い青色で「摩周ブルー」という愛称で親しまれており、聞いたことのある人も多いのではないだろうか。
実際に見てみると今まで水面に対して見たことのない、青の濃さであった。
この摩周ブルーは、透明度の高さと深さ(最大深度212m)により青色以外の色をほとんど反射しないためと言われている。
また、摩周湖は約7,000年前の摩周火山の噴火によって形成され周りが深い崖で囲まれており、容易に人が湖面にたどり着くことができず人間による汚染が少ないことも理由の一つとされているのだ。
摩周湖を見るには「摩周第一展望台」がおすすめである。摩周第一展望台にある摩周湖カムイテラスには売店もあるので、訪れた際には室内でゆっくりと摩周ブルーを眺めながら休憩してみてはどうだろうか。
物理的な余白、そして心理的な余白を感じることのできる道東旅
今回のテーマ「余白をえがく道東旅」を体感した5日間でした。
雑然とした東京で日々暮らしていると触れることの少ない “物理的な余白” 、そして、日々時間に追われ感じることの少ない “心理的な余白” 、この余白からゆとりを得て、自分に向き合い新たな発見を得る機会となりました。
読んでいただいた方に少しでも道東の魅力が伝わっていると嬉しいです。
All photo by しふぉん
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