編集部
Asuna エディター

元小学校教諭。大学在学中に「海外ひとり旅」にハマる。現在はTABIPPOの編集部に所属。会社員をしながらフリーランス編集者・ライターとして、取材・美容・食・コラム記事に従事。旅三昧の日々から一変、今は2歳の我が子を愛でる日々を堪能中。2024年より、千葉県印西市にて「Café en.」を開業。夫婦でカフェを経営している。

ーいろんなところに行って、いろんな人に会って、いろんなことを学んで。いいことも大変なことも経験して。一度きりの人生が一冊の本になるとしたら、いろんな出来事があったほうが楽しい物語になると思うんです。

群馬県藤岡市にて、飲食店「IL MONDO」を経営する山口昂良さんは、「世界を学ぼう」という理念を全国に届け、新たな文化を創るために、アパレル・レザーの販売をスタートさせました。

コンセプトに「冒険のパートナー」と掲げたアイテムが背負うのは「皆と共に日本を変えたい」という強い思い。

父として、いち社会人として、「IL MONDO」経営者として山口さんが届けたい熱い気持ちの全貌に迫ります。

山口昂良
教員を目指し大学進学を機に上京。世界一周経験者との出会いで人生が変わる。大学卒業後に飲食店、テーマパークキャスト等の勤務を経て、2017年に新婚旅行での世界一周に出発。2020年、「世界を学ぼう」の理念を掲げ、地元群馬県藤岡市にて飲食店「IL MONDO」を開業。現在その理念を全国に届けるため、クラウドファンディングに挑戦中。

身近な人の“挑戦”が教えてくれたこと

遠く離れた“誰か”の挑戦と、身近な人の挑戦。より心に響くのはどちらでしょうか。

「IL MONDO」のオーナーである山口さんは、現在3児の父。奥さんとは元バイト先で出会ったのだそう。子どもの頃から野球一筋だった山口さんは「就活」という人生の岐路に立たされたとき、地元もバイト先も同じである今の奥さんが、日本一周をしながら就活をしていることを知りました。

山口さんご家族
「え、この子めっちゃ旅してるじゃん」

自分にとって「地元の人間」という身近な存在の人が、今までの自分が知らないような経験をしていることに素直に興味をもったことがきっかけで、その後交際に発展したのだそう。

「世界一周って意外とバックパッカーで行けるらしいよ、いつか行ってみたいね」


山口さんにとって“こんな選択肢もあるんだ”と気づかせてくれたのが、今の奥さん。お二人はその後、新婚旅行で世界一周を果たします。

世界一周へ決意を固めた理由

いつか世界一周に行きたいと話していたところ、東京都・高円寺にあるCafe&Bar「Smile Earth」にて決意を固めた二人。そのバーに集う人たちは、世界一周経験者や、世界一周を夢見る旅好きの人ばかり。多種多様な考え方、一度きりの人生を思い切り楽しむ姿が印象的だったといいます。


そうして徐々に“いつか”の目標が現実味を帯びてきたころ。山口さんはあることに気がつきました。


「世界一周に実際に出て『行かなきゃよかった』って人、一人もいなかったな」

当時から「あれ、やっておけばよかった」というような後悔をすることが、本当に苦手な性分だという山口さん。


どうせ行きたい国がたくさんあるなら一気に行っちゃおう!と強く心に決めました。当時就職していたお二人は、勤め先を退職。これにも大きな勇気が必要だったといいます。

自分の目で見て知った、はじめてのこと

9ヶ月で33カ国を訪れた、世界一周の旅

お二人は日本を出発してからまずはフィリピン・セブ島にて1ヶ月の語学留学をしました。その後、東南アジア7カ国、すこし移動して中東、ヨーロッパ、南米、アメリカ大陸……という西回りのルートで世界一周をしてきたのだそう。




もっとも印象に残った国をうかがうと、ヨルダンとの回答が。その理由としては、一番旅先で“非日常感”と“日常が覆るほどの学び”を得たからなのだそう。


イスラム圏の国の印象はかねてより危険なイメージがあったけれど、実際に訪れてみると住んでいる人々がとても親切だったこと。既存の情報とのギャップに圧倒されたといいます。また、モスクがあったり、礼拝の時間があったりするのも、日本では味わうことのできない文化ゆえ、新鮮だったのだとか。


山口さんからの旅の話で一貫していたのが「自分の目で見て確かめる、知る、学ぶことのおもしろさは何にも変え難い経験だ」ということ。百聞は一見にしかずということわざの通りですけどね!と笑って話してくれました。

「この世界をこのままもってきちゃえ!」

イタリア・ヴェネツィアに訪れたときのこと。山口さんたちは、地域の伝統的な民衆酒場「バーカロ」に出会いました。



バーカロとは、気軽に立ち飲みをしながらその場に居合わせた人や店主、常連客同士で楽しく過ごせる酒場のこと。国籍や老若男女問わず、誰でも仲良くなれる幸せな空気感に感動を覚えたといいます。


山口さんは、このバーカロに魅了され「この世界をこのまま日本にもってきちゃえ!」と考えました。そして、扉を開けば現地に訪れたかのような世界観を再現すべく、開店の準備を進め、2020年に「IL MONDO」はオープンしました。

IL MONDO 店構え
IL MONDO 店内内装

群馬県・藤岡市に店をかまえた理由

山口さんの地元、群馬県・藤岡市。居酒屋やレストランなどはあっても、気軽にみんなが集まれるようなサードプレイスはありませんでした。そこで、ヴェネツィアでみつけたバーカロをここにつくってしまおう!と考えたのが発端だったのだそう。

IL MONDO 店内内装
IL MONDO メニュー例
「ここに来れば誰かに会える」「一歩踏み出すきっかけに出会える」「誰とでも仲良くなれて楽しい時間を過ごせる」そんな居場所をつくりたかったのです。

山口さんは「色んな人に出会って、人生を変えてもらった。だから今度は地元の若い子たちにもその素晴らしさを知ってもらいたい。もっと早く世界に興味をもったり、何かに挑戦することの良さを知る機会を与えてあげたい」と話します。

IL MONDO 店内内装
実際に「IL MONDO」に来たお客さん同士が結婚されたり、やったことない挑戦の一歩を踏み出す姿も何度もみてきたそうで、本来の目的だから嬉しいと語ってくれました。

「世界を学ぶ」こと

一度地元から離れ、さらに日本からも離れたからこそわかること。それは”日本の大人は学ぶ機会や姿勢が著しく少ない”ということ。

日本の政治や、経済、世界情勢など疑問に思うことを素直に学んでいくことが大事なのではないだろうか。


「常識なんてない。そして世の中は知らないことで溢れている」

山口さんご自身が、今まで多くに人に出会ったり、世界一周の経験で痛感したことなのだそう。

飲食店を営むうえでは、今の自分にできる最大限の料理や空間は提供していても、外に目を向ければもっと美味しかったり、おもしろいお店はたくさんあったり。自分のいる地域では公開されていない情報が、他の地域では地元の人が誰でも見られるよう公開することが当たり前だったり。

「まだ見ぬ世界」に自ら足を運び、自分の目で見て学ぶことで、「今までの自分の世界」と比較することができ、自分自身が成長するために、社会をより良くするためにはどうすればいいかを考える「きっかけ」が生まれる。

逆を言えば「今までの自分の世界」しか知らなければ現状維持でとどまってしまうどころか、色々とめまぐるしく変わる今の世の中においてはどんどん取り残されてしまう危機にある。

勉強していない大人が、子どもたちに「勉強しなさい」といっても何も伝わらない。だからこそ、大人も学び続ける必要があると思うんです。

そう山口さんは強く語ります。

今まで知らなかった外の世界に目を向けることで、身の回りにある小さな幸せに気付くことができます。様々な価値観に触れることで、当たり前だと思っていたことが急に愛おしく感じるようになります。「世界を学ぶ」という前向きな気持ちは、自分自身を好きになる大切な要素だと、私は思います。
(原文ママ ※https://camp-fire.jp/projects/865957/view

小さな挑戦でも良いから、やったことをないことを試すことで「できた!わかった!」という自信に繋がる。その積み重ねが大事で、どんどん経験して欲しいと語る山口さん。どんな経験でも、それは成功・失敗関係なく“行動”のあとにモチベーションがくるからなのだそう。


ちょっとでもうまくいったり、わかることが増えることで次への目標・モチベーション・選択につながる。そしてわからないことに対する「なぜ?」という問いや「やってみたい!見てみたい!」などといった自分の好奇心や感情に素直になって行動を続けることで、自分自身の肯定や成長につながり、自分のことも好きになれると思うんです。

そう笑顔で話してくれました。

「今の日本にこそ届けたい」ブランド立ち上げの真意

日本を良くしたい。まずは地元を変えたい。

その役割を自らたって出た山口さん。様々な地を巡ったのち地元に戻り感じたことは「社会」というものは誰かが変えてくれるものではなく、一人一人の行動でこそ変えていけるいうことでした。

時代が変わり、政治も変わり始めた“今”だからこそ、自分の身のまわりに興味・関心をもって自分にできることを見つけてほしいと話します。


「IL MONDO」はあくまで飲食店だからこそ、お客さんに想いを届けられる方法は限られてしまっている。より多くの人に届ける方法はないかと模索した結果、ブランドの全国展開にたどり着いたのだそう。

人生を楽しむ人がもっと増えてほしい。わからないものや知らないことを否定するのではなく、一歩を踏み出し学んでほしい。それが少しずつでも社会にも反映されていくことで幸福度も上がり、日本もよくなっていくはず。


この想いをアイテムに込めて、手に取った人に受け取ってもらえるよう、山口さんは今回の挑戦を決意しました。

また、もともと教員を目指していたが、大学を卒業してすぐ教員になった際、子どもたちに教えられることがあるのか?と疑問を持っていた山口さん。

そんななか「世界一周をして、自分の見てきた世界を子ども達に教えてあげよう!」と資金を貯めるため働くうちに、「社会人として経験することこそ子どもたちに伝えるべきことなのではないか」と思うようになりました。

事業主として飲食店を開業したのも、やりたいことを実現する過程を自分で経験することで子どもたちに伝えることができるのでは?という考えもあったといいます。

クラウドファンディングを決めたのにも、いつか後世代の人たち・今の若者が新しい事業を始めたい!となったときに立ちはだかる壁のひとつに「金銭面」があると考えられるからこそ「こんな選択肢もあるよ」と知ってもらうためでもあるのだとか。


「色んな世界を自分の目で見て確かめよう」という想いをこめられたロゴは、“目”を一番上にもってくるというこだわりのデザイン。

「夢を持てるだけで幸せなこと。まだまだ日本には挑戦できる環境がたくさんある」そう語る力強い言葉に、わたしも背中をおしてもらった気がしました。

自分の想いにシンプルに生きよう

人生は一度きり。時間は取り戻せないから、その時思ったことを優先順位の上位にあげてほしい。

世界は広い。手を差し伸べてくれる人もたくさんいる。恐れずに自分の心を信じて、一歩を踏み出してほしい。

ほんの少しの勇気が、人生を変える。やりたいことがあったら、やってみよう!そして、やった自分を褒めてあげよう!


「最後に、旅が好きな若者や、旅をしたいひとたちに伝えたいことはありますか?」という問いに対して山口さんがお話しされたこと。


自分の気持ちに向き合って、いくつもの選択を経て、今まで見たことのない世界を肌で感じてきたからこそ言える言葉たち。その大きさは問わずとも「挑戦」は自分のすぐ近くにたくさんある、そんなことを教えてもらいました。

「想いにシンプルに」

簡単なようで、難しい、でもじつは遠い世界の話ではない。「IL MONDO」は今日も新たな挑戦に立ち向かう“あなた”のために扉をあけて待っていてくれることでしょう。

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■詳細情報
・名称:IL MONDO
・住所:375-0004 群馬県藤岡市森342-4カトルセゾン1-A
・地図:
・営業時間:18:00〜23:00(LO22:00)火水木/18:00〜24:00(Food LO23:00)金土
・電話番号:02-7450-9922
・公式サイトURL:https://il-mondo.gunma.jp/

All photos by Kosuke Yamaguchi

編集部
Asuna エディター

元小学校教諭。大学在学中に「海外ひとり旅」にハマる。現在はTABIPPOの編集部に所属。会社員をしながらフリーランス編集者・ライターとして、取材・美容・食・コラム記事に従事。旅三昧の日々から一変、今は2歳の我が子を愛でる日々を堪能中。2024年より、千葉県印西市にて「Café en.」を開業。夫婦でカフェを経営している。

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