ライター
橋場 泰樹 海外旅行情報サイト『トラベラーズカフェ ワールドギャラリー』代表

海外旅行情報サイト『トラベラーズカフェ ワールドギャラリー』代表。海外渡航回数は120回以上、旅の総延長距離は世界67周以上の実績を持つ旅のプロフェッショナル。世界5大陸 56ヶ国・570都市以上にも渡り旅を続け、旅行写真家、海外旅行評論家としての顔も持つ。過去に大手旅行会社で添乗員として活躍し、一味違った旅を演出するなどツアー満足度 優良表彰を多数受賞。バックパッカーから豪華客船まで幅広い旅に精通する。

バックパッカーの旅で誰もが憧れる陸路による国境越えですが、最初はやはり不安なもの。そこで、実際僕がカンボジアからラオスへ抜けた時の様子をレポートします。どんな感じで国境を渡るのか、これから旅をする方の参考にして頂ければと思います。

 

シェムリアップを出発!

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今日のカンボジア・ラオス国境を抜けるルートがこちら。グーグルマップでは6時間3分で着くと言っていますが、絶対に無理だと思います。道が悪い&国境でどのくらい時間を食うかが予想できないので…。

そこで、今日の目的地はメコン川の中州にあるデット島。ナーカサンというメコン川の村から船で渡ります。1日がかりの大移動。

ちなみに今回のコースは日本人バックパッカーにはまだメジャーではないようで、どんなに検索してもほとんど情報が出てきませんでした。ただ、逆コースの情報がほんの少し出てきたので、詳細は不明だけど国境越えはできるだろうと判断して今回のコースに挑みます!さて、何時に着けるんだろう?

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photo by Yasuki Hashiba

中型バンの車に総勢10名、満員御礼で荷物の半分は大型バックパック。その10人のうち半分がガタイの良い欧米人パッカーだから窮屈ってもんじゃありません。足元なんてLCCより狭くて身動きできないし、おまけにエアコン無しの蒸し風呂状態とかどんな罰ゲームかと思うほど…。

この状態で何時間走り続けるんだ? と一瞬頭をよぎりましたが、耐えるしかないんだし考えてもしょうがない。景色を楽しむことにしようと前向きに。

車は定刻から15分遅れ、8:15に出発。

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photo by Yasuki Hashiba

2時間ほど走った所で1回目の休憩。ここまでは道路の状態も良くで順調。でも、あまりの暑さでエンジンは悲鳴を上げている様子だったので、ボンネットを開けて水を直接エンジンにかけて冷やしてました。

とりあえずまだリエルが余ってるので、アイスコーヒーを飲んでホッと一息。20分ほど休憩をして車は出発しました。

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photo by Yasuki Hashiba

シェムリアップを出発して4時間半以上が経ち只今12:50、メコン川に到達!

それにしても随分と新しくて立派な橋だね。気になったので後で調べてみたら中国の援助で2014年に完成した橋なんだそう。開通してまだ2年、どうりで綺麗なわけです。

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photo by Yasuki Hashiba

12:58 車は食堂のような場所に到着。「ここはどこだ?」と思った矢先、英語を話せないドライバーが一言「バスチェンジ!」。全員下車して荷物を下ろされます。そして次のバスが何時出発なのか、何も言わずにドライバーは去ってしまいました。

とりあえずここにいる人はバックパッカーと食堂のスタッフだけという状況。いつ出発するか知ってる人は誰もいない&聞ける人もいないので、食事しながら時間を潰すことにします。

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photo by Yasuki Hashiba

食事中も続々と車がやってきてはバックパッカーが降りてくるから、周囲はバックパックだらけ。ほぼ欧米人パッカーで埋め尽くされ、アジア人は数名だけで日本人は僕1人だけ。

どうやらここが各方面に行く乗換えポイントになっているようです。

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photo by Yasuki Hashiba

バックパッカーで賑やかになってきた頃、どこからかチケットの束を持った兄ちゃんが現れて、デット島に行く人は島に渡るボートチケットをここで買うように言われました。3ドル払ってチケット購入。兄ちゃんに出発時間を聞くと「ちょっと待て」と言われましたが、気付くと兄ちゃんはどこかに去ってしまいました。え、いつ出発するの?

こういう何もわからない状況では変に動かずにその場でジッと待つのが鉄則。そして周りの状況を常に見て、周りの音をしっかり耳で聞いてること。

そして待つこと1時間、「ラオス!」という叫び声が聞こえてきました!今度の車は小型のマイクロバス。この車に15人詰め込まれたうえにエアコン無しのサウナ状態。まだ罰ゲームは続くのか…。そして14:22に出発しました。

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photo by Yasuki Hashiba

国境に近づくにつれて、道路が急に荒れてきます。舗装された道路が途中から砂利道になったり、陥没してたり隆起していたり。車内はガッタンボッコン、上下左右にゆれまくりの状態が2時間…。

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photo by Yasuki Hashiba

さらに国境が近づいてくると、道はもう悲惨な状態。アスファルトが粉々に割れて大きな陥没は当たり前です。爆撃でもされたの?と思ってしまうほど。陥没や隆起を避けながらマイクロバスは走るので、時速15~30kmといったところです。

 

カンボジア・ラオス国境に到着!

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photo by Yasuki Hashiba

16時ちょうど、やっと国境に到着!長かった!

カンボジア側のイミグレーション(出入国管理局)の前で全員降ろされ、荷物を持ってラオス側の国境まで歩いて行けと言われました。ラオス側の国境で再びマイクロバスに乗るということを簡単に説明されます。ちなみに、向こうに見える三角の建物がラオス側の国境です。

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photo by Yasuki Hashiba

カンボジア側のイミグレーション。

ここでカンボジアの出国手続きのため、パスポートを渡して出国スタンプを押してもらったら出国完了。必要なのはパスポートだけでそれ以外は書類も何も必要なし。基本的にどの国も陸路による国境越え(出国)はこんな感じです。

公的には出国でお金は掛からないことになっていますが、何故かここでは2ドル請求されます。払わないとスタンプを押してくれないんだからどうにもなりません…。

赤いバックパックの女の子なんか、パスポートを受け取ると「高い出国スタンプね!」って出国審査官に捨て台詞を吐いていましたが、言いたくもなります。

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photo by Yasuki Hashiba

無事に出国スタンプを押してもらいました!これでカンボジアの旅は終わり。ここから緩衝地帯を歩いてラオス側のイミグレーションに向かいます!ラオスはもう目の前です。

 

緩衝地帯を歩く!

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photo by Yasuki Hashiba

緩衝地帯の真ん中あたりまで歩いて後ろを振り返ると、まだカンボジアの出国手続きをしてるバックパッカーが多数。
日本は島国ですから歩いて国境を越えることはもちろんですが、緩衝地帯を歩くという経験はなかなか出来るものではないので「国境を歩いて越えた!」という満足度は結構高いです。

ヨーロッパなら陸路での国境越えは当たりまえですが、先進国には緩衝地帯なんてありませんからね。

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photo by Yasuki Hashiba

ラオス側のイミグレーションに到着。ここでラオスの入国審査です。パスポートを提示して入国税2ドルを払い、審査官からの質問に答えればOK。ビザや入国カードも不要です(14日間までの滞在の場合)。この国境では荷物検査もセキュリティーチェックもありません。

ちなみに飛行機で到着の時は、入国で何も質問をされずにスタンプを押してくれることが多いですよね。陸路での入国の場合は、質問されることが多いです。

 

質問内容はどの国でも大体決まってて、「滞在目的」「滞在日数」「目的地」など。今回の僕の場合はこの3点に加えて宿泊予約をしているかを聞かれました。そのため正直に「今日の宿は決まってないけど、ルアンパバーンのホテルは予約してます」って伝えました。

そして、「14日間の滞在を認めます」と入国スタンプを押したパスポートが返ってきました。よし!ラオス入国!!

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photo by Yasuki Hashiba

ちなみに、ラオス入国に関して14日間までの滞在の場合はビザなしでOKというのは日本人だからであって、他国の人はアライバルビザ(国境で取得するビザのこと)を取得する必要があります。

というわけで、欧米人パッカーはこのようにイミグレーションに備え付けてある申請用紙に記載し、申請料を払ってビザを取得していました。ただ、これは陸路に限らず飛行機で入国する場合も、アライバルビザや入国カードが必要な国も。陸路でも飛行機でも同じです。

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photo by Yasuki Hashiba

人や物の流れが少ない国境なので、とても静かでのんびりした雰囲気。売店なども何もありません。もし国境に両替所があり、次にどこで両替できるか確実な情報が無いのなら、1日滞在する必要最低限の通貨を変えておきましょう。

今回は国境に両替所が無く、次にどこで両替できるかも全く分からない状況なので、次に到着する町ですぐにでも両替に関する情報を得ようと思います。入国したところでその国の通貨が無いのでは滞在できませんから最優先です。

 

陸路での国境越えの注意点

ビザ情報
ビザが必要なのか不要なのか?必要な場合は国境で取得(アライバルビザ)できるのか?料金とどの通貨で支払うのかをなるべく早めに確認しておきましょう。

 

滞在日数
ラオスはビザなしで最大14日間の滞在できますが、滞在許可日数を最終決定するのは入国審査官。つまり、必ず14日間の滞在を許可されるわけではないので、何日間の滞在許可が出たのか必ず確認しましょう。

 

ライター
橋場 泰樹 海外旅行情報サイト『トラベラーズカフェ ワールドギャラリー』代表

海外旅行情報サイト『トラベラーズカフェ ワールドギャラリー』代表。海外渡航回数は120回以上、旅の総延長距離は世界67周以上の実績を持つ旅のプロフェッショナル。世界5大陸 56ヶ国・570都市以上にも渡り旅を続け、旅行写真家、海外旅行評論家としての顔も持つ。過去に大手旅行会社で添乗員として活躍し、一味違った旅を演出するなどツアー満足度 優良表彰を多数受賞。バックパッカーから豪華客船まで幅広い旅に精通する。

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