こんにちは、私は写真家の横田裕市です。今回私がご紹介するのは、TABIPPOから招待いただいた「知床でクマ活シャチ活ツアー」の体験レポートです。
まずは知床の西側、斜里町へ
ツアーの1日目は北海道の女満別空港から始まりました。私たちの案内人は元知床羅臼町地域おこし協力隊で、知床の自然に魅了された佐脇星さんです。
まずは、彼女と参加者たちと共にマイクロバスで知床へと向かいました。知床は世界自然遺産に登録されており、ヒグマや海の王者シャチを間近で観察できる日本でも珍しい野生動物の生息地として知られています。
知床ごはん”tomomi”でランチ
知床へ向かう途中、私たちは網走市にあるオホーツク流氷館に立ち寄りました。展望台からは網走と知床半島の壮大な景色が一望でき、その後は斜里町に位置するHOTEL BOTHへと向かいました。
このホテルは知床の一部に位置し、レストラン「知床ごはん”tomomi”」では地元の食材を使った美味しい料理を楽しみました。梅雨の時期でありながらも、この日は非常に良い天気で、これからのツアーに期待が膨らみました。
その後、私たちは「天に続く道」と呼ばれる場所を訪れ、記念写真を撮影しました。その名の通り、直線に伸びる道がまるで天に続いているかのような壮大な風景は、年に2回だけ道の先に太陽が沈む絶景が見られることで知られ、人気の撮影スポットとなっています。
1日目は、本来ならヒグマクルーズに参加する予定でしたが、海の状況が良くなかったため、残念ながらヒグマクルーズは中止に。
北海道でのアクティビティは幅広い自然体験が用意されており、天候やその日の状況によって内容が変化します。それはそれでまた、自然と向き合う旅行の醍醐味でしょう。
ヒグマクルーズの代わりに知床五湖へ
私たちは、ヒグマクルーズの代わりに知床五湖を訪れることにしました。
知床五湖とは、五つの小さな湖からなる自然景観エリアです。湖と呼ばれていますが、それぞれは実際には「池」程度の水深と大きさしかありません。これらは羅臼岳の麓の原生林に囲まれた地域に点在し、知床国立公園でも特に原始的な自然が残る地域として知られています。
この未開の自然環境は、鳥類やキツネなどの小中型哺乳類、そしてエゾシカやヒグマなどの大型哺乳類の貴重な生息地となっています。そのため、野生動物との遭遇率も非常に高いのです。
知床五湖には、高架木道や展望台、地上遊歩道が設けられています。高架木道は通年利用可能で、ヒグマを始めとする野生動物から安全に隔離され、自然を満喫することができます。
一方、地上遊歩道は季節によってガイドの同伴が必要となるなど、利用条件が異なります。
私たちは高架木道と展望台を訪れ、知床五湖の壮大な景観を堪能しました。
クマ活|事前レクチャーに参加
私たちは斜里に滞在中はホテル「KIKI知床ナチュラルリゾート」に宿泊。ここは素晴らしい温泉サウナと高品質なビュッフェを提供するホテルで、知床に位置していることを今回初めて知りました。
その夜は、「北こぶし知床 ホテル&リゾート」で「クマ活」の事前レクチャーに参加しました。
知床では、人間とヒグマが密接な関係を築いています。お互いの領域を尊重し共存する方法を模索・啓蒙する活動として「クマ活」が行われているのです。
村上晴花さんは先述の2つのホテルを経営する「北こぶしリゾート」の社員であり、創業60周年事業の一環としてCSR活動「クマ活」のリーダーを務めています。
レクチャーは村上さんの挨拶から始まり、そこで私たちはヒグマの生態や、知床の人々とクマとの関係について深く学びました。
知床がヒグマの密集地域であることを初めて知った私たちは、その知識をさらに深めるためにヒグマの毛皮や骨、手形、さらにはヒグマが食べたものの標本などを実際に見て触る機会を得ることができました。
そして、知床のもう一つの魅力、海に沈む美しい夕暮れを体験。皆でプユニ岬を訪れ、空と海が夕焼け色に染まる壮大な光景を堪能しました。
クマ活|草刈りで団結力を発揮!
2日目の朝、美味しい朝食を堪能した後、地元の知床の住人や有志のメンバーやツアーの参加者など、総勢70名以上で「クマ活」の一環として草刈りを行いました。
この草刈りの目的は、ヒグマが人々の生活圏に近づいてきた際に早期に発見できるようにするため、遮蔽物となる草を刈ることにあります。
山の草を刈ることで、ヒグマを早く発見し、人間との接触を防ぐことが可能となります。これはヒグマと人間双方のための活動であり、その重要性を改めて認識しました。
草刈りの後、私たちはホテルに戻り、「梅とら」という名物フードトラックでおにぎりと味噌汁の昼食を楽しみました。このおにぎりは、知床の圓子水産とのコラボレーションによる、鮭と梅の味わい深いものでした。
午後は、参加者が海・川・森の3つのグループに分かれ、それぞれのアクティビティに参加しました。
私は知床の「森」、つまり原生林ツアーへ。そのガイドは三浦隆浩氏(通称ピエさん)で、彼は北見と知床を二拠点として生活を送り、日中は知床でガイドとして働き、夜はカフェ&バーを営むというライフスタイルを持っていました。
ピエさんの案内により、私たちは知床の原生林へと足を踏み入れました。「象の鼻」と呼ばれる景観スポットを訪れたり、滝を見たりしながら、知床の力強い原生林を体験しました。
夕食前には、「北こぶし知床 ホテル&リゾート」のサウナを満喫。
建築的に美しく、眺めが絶景のこのサウナでは、冬季には流氷の風景を楽しみながらリラックスすることができます。2年連続で「SAUNACHELIN(サウナシュラン)」入賞を果たしたこのサウナは、ばっちり“ととのう”ことができます。私からも強くおすすめします。
サウナを堪能した後の夕食は、圓子水産の海鮮BBQでした。圓子水産代表の圓子瑞樹さんは、漁師としての仕事と並行し、水産加工業も手掛けています。新鮮な海産物は、参加者全員を喜ばせ、みんなで海の幸を堪能するひとときになりました。
その日の夜は、村上晴花さんや他の知床の住人と共に、楽しい会話を交わす懇親会が設けられ、参加者全員と共に素晴らしい時間を過ごすことができました。
知床の東側、羅臼町へ
3日目からはツアー後半戦のシャチ活へ。
出発前に、クマ活の一環で町のゴミ拾い。シンプルではありますが継続が未来につながる立派な活動です。
クマ活までツアーが一区切り。ディスカッションの場が設けられ皆で知床を訪れ感じた事を共有し合いました。
その後、知床の東側に位置する羅臼町を訪れました。
羅臼昆布ヒレ刈り体験
羅臼町の特産品である羅臼昆布のヒレを切る体験をしました。大きく香り高いと評価される羅臼昆布は、最高級品が1箱あたり約70万円で市場に流通しています。
天然昆布部会長の井田一昭さんから昆布のカット方法を教わり、その卓越した話術により楽しみながら学ぶことができました。
お陰で、美しい昆布のお土産もゲット。井田さんは、カットした昆布をカップラーメンに加えるという、手軽で美味しい昆布の活用法を教えてくれました。
浜の母ちゃんと郷土料理づくり
次に訪れたのは羅臼町民体育館。その一角にある調理室を利用して地元の主婦たちが運営するサークル「Join‐Rausu美活塾」の方々と、郷土料理作りを体験しました。
このサークルは、団体客向けの限定食堂「浜の母ちゃん」の運営など、多様な活動を展開しています。地元の方々と一緒に、いかめしやホッケのすり身揚げ、味噌汁、新鮮な海の幸を使ったサラダなど、多彩な料理を作り楽しみました。
夜は地元のカフェ「Jappina cafe」を訪れ、羅臼町の方々との交流時間を持ちました。翌日のクルージングでお世話になる知床ネイチャークルーズの長谷川雄紀さんや羅臼町観光協会の新倉千夏さんがカフェに訪れてくださいました。
その後、24時間利用可能な無料の温泉「熊の湯」へ。野天風呂のような雰囲気を持つこの温泉は、とても特別な体験でした。この日、羅臼町での1泊はタイ人の元ガイドの方が営む「Bear Elephant」に宿泊しました。
日本唯一のシャチウォッチング
そして、旅行のクライマックスとなる「シャチ活」シャチウォッチングの日がやってきました。前夜にお会いした長谷川雄紀さん率いる観光船「エバーグリーン38」に乗船。肝心の海は濃霧で真っ白で、シャチを見ることができるのか不安がよぎりました。しかし、海に出てみると思いがけずシャチの群れが私たちを出迎えてくれました。
シャチの群れが早々に現れてからその場を離れるまで、私はひたすらシャッターを切り続け、十分に鑑賞と撮影を楽しむことができました。
ホタテ割り体験&オリジナル海鮮丼作り
その後、私たちは濱田商店を訪れ、ホタテ割り体験に挑みました。一つひとつ丁寧にホタテを開き、自分でカットすることで、まるで売り物のようなホタテ刺身を作りました。
その後、自分で作ったホタテを含む海鮮丼セットを堪能しました。その自分たちで盛り付けした海鮮丼は見た目も豊かで、素晴らしいひと品でした。
野生動物と共生する社会に触れる貴重な体験
3泊4日のカリキュラムを終え、楽しかったツアーも終了。知床から女満別空港へと向かい、帰路につきました。
仕事柄、日本各地の地域を訪れ各地で学びがありますが、今回は「野生動物との共生」について深く考えるきっかけとなったツアーでした。知床を訪れるまでの私の中には、ヒグマが多く住む土地という程度の漠然としたイメージしかありませんでした。
しかし、現地に足を運び、地元の人々と交流や学びの機会を経てこの地域がヒグマと共生する社会であることを深く理解することができました。ヒグマやシャチが生息する知床が、日本国内でも非常に稀有な自然環境の土地、世界自然遺産に選ばれるだけの理由をその目で見て感じ、知ることができました。
この旅を通して、知床の未来について深く考える機会を得ました。人間と野生動物の共存、そして観光や経済的側面を考慮しなければならないと感じています。
次は、冬の流氷のある白銀の知床を訪れたいです。
皆様も、ぜひこの素晴らしい知床を訪れてみてくださいね。
All photos by 横田裕市
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