編集部
Asuna エディター

元小学校教諭。大学在学中に「海外ひとり旅」にハマる。現在はTABIPPOの編集部に所属。ほかにも取材・美容・食・コラムライターとして活動しつつ、個人でFamily photographerとして、お宮参り・七五三・前撮りなどを撮影している。週末は夫と旅三昧の日々で、長野〜福島県は庭。東北が大好きで、地方に行きつけの店を作るのが趣味。

花背の自然を守り続けるということ

photo by Asuna Igari
わたしが初めて花背を訪れた時の川の水は、痛いほど冷たかったのに、今年の夏は痛く感じませんでした。「自然を守る」という言葉は色々な場面で目にします。

慶子さんは、インタビューの中で「自然」に対するご自身の考え方を話してくださいました。

移住をすると決めたから

花背のように小さな町や集落は、昔からの地域の結びつきがとても強いのだそう。オーストラリアに移住する前は花背とは関わりがなかったため、急にオーストラリアから来た夫婦が花背に宿を構えることに、きっとよく思わない人もいたと思うのよね、と話す慶子さん。

photo by Tatsuya Igari
田舎に移住するからこそ、慶子さんが大切にしたことを3つ話してくださいました。

・ただそこに住む、スローライフを楽しむのではなく、その村山地の歴史、変遷、文化、暮らし、昔から大切にしていることや考え方を勉強させていただく、自ら知っていこうとする姿勢でいること

・その村や町を大切にし、今後も存続させていくために、自分には何ができるのか、どのように貢献するのかを考えて実現しようとする姿勢でいること

・外からきたものだからこそ気づく、言える意見を持ち、昔からの住民に伝え、これからのビジョンをすり合わせていこうとすること

photo by Asuna Igari
ずっとその村や町に住んでいると、わかってはいても仕方がないと思ってしまう自然や環境の変化に対する慣れを、「それではダメだと思う」と言えることは、外から来たわたしにしかできない役割だと話す慶子さん。

その考え方は、今までのキャリアや自信によってできたものではなく、彼女自身の人柄なんだと感じました。

どのようにして自然を守っていくのか

photo by Asuna Igari
「若い力が必要だ」といわれる、いわゆる田舎である花背。けれど、何でも、誰でも受け入れていると、反対に自然が壊されてしまう危険性があると慶子さんは話します。

いろいろな川で勝手に魚釣りがされて、花背で獲れる魚の量がもっと減ってしまうかもしれない。人の土地である山にたくさんの人が入り、荒らされてしまうかもしれない。

そのような危険性も考えた上で、まずは「人を呼び込む」だけでなく「守る」という選択肢を重視したいと考えているのだそう。

守ってきた自然の変化とともに、人の暮らしは変わっていくのかもしれない。でも目指していることは、「花背の自然を守り続けたい」という目標だ。

「だからこそ、今までと同じではなく、新しい風を吹き込んで皆で考えていかなければいけない。わたしはその風の役割なんだ」と力を込めて話してくださいました。

自分ではない誰かと向き合うということ

photo by Asuna Igari
「自分ではない」ということは、今まで生きてきた環境・価値観・考え方すべてに「違い」があることだと思います。もちろん、価値観が近い人や、目指すものが同じ人に出会うことはできるはず。でも、どこかで意見が分かれてしまうこともあるでしょう。

そんなとき、よく聞く言葉は”妥協”。この言葉はときどき、プラスの意味なのかマイナスの意味なのかわからなくなるときがあります。

慶子さんは、わたしが今まで”妥協”なのだと思っていたことを”意見のすり合わせ”と表現されていました。

「自分以外の人の価値観を目にしたときに、みんなと違うから距離を置いたり、敬遠したりするのではなく、感動できたらいい。こんな考え方もあるんだ!と思考の転換が必要なのよ。人はそれぞれ違う価値観を持っているというのに、”期待外れだった”なんて思ってしまうのは、お門違い。当たり前のことだと思うの」

最後にそう語ってくださった慶子さんの瞳はキラキラしていて、眩しいほどに格好いいと思いました。

■詳細情報
・名称:Hanase HIghland Inn
・住所:京都府京都市花脊原地町120
・地図:
・アクセス:叡山電鉄「鞍馬駅」から京都バス32系統(広河原行き)「原地中の町」下車徒歩3分
・チェックイン:PM3:00
・チェックアウト:AM11:00
・電話番号:075−746−0152
・料金:プランによって異なるので公式ホームページの「PACKAGES」をご覧ください
・オススメの時期:初夏〜秋
・公式サイトURL:https://www.hanasehighlandinn.com
(現在は英語版のホームページしか作成されていないそうです)

自然の美しさを感じに行こう

photo by Asuna Igari
京都の奥座敷といわれる山奥に、昔からずっとそこにあり続ける自然。そしてその自然を守り続けてきた「花背」というひとつの町、そこで暮らす人々。

わたしが幼い頃から愛してきた自然が、これからもずっと、今までよりもっと愛され続けますように。みなさんもぜひ、大自然に囲まれた花背を訪れてみてください。京都の故郷である花背の自然に触れて、「何もないことの美しさ」を感じてみてはいかがでしょうか。

日々の忙しさに追われて忘れかけていた大切なことに、きっと自然が気づかせてくれるはずです。

【特集】NEXT JAPAN TRAVEL – あたらしい旅、だいすきな場所。-


TABIPPO.NETでは、新しいスタイルでの国内旅行について特集しています。他の記事もぜひチェックしてみてください!
特集を見る

編集部
Asuna エディター

元小学校教諭。大学在学中に「海外ひとり旅」にハマる。現在はTABIPPOの編集部に所属。ほかにも取材・美容・食・コラムライターとして活動しつつ、個人でFamily photographerとして、お宮参り・七五三・前撮りなどを撮影している。週末は夫と旅三昧の日々で、長野〜福島県は庭。東北が大好きで、地方に行きつけの店を作るのが趣味。

RELATED

関連記事