編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

ピースボート第93回クルーズで、南半球を一周した金子真くん。あるアイデアをきっかけに、マダガスカルの路上で物売りをしていた子どもたちとピースフルなひとときを過ごしたようです。

 

物売りの子どもが3人ついてきた

ピースボート第93回クルーズ、3つめの寄港地はマダガスカル。エホアラという港に着岸し、一番近い街にシャトルバスで降り立ちました。

バス停で自分たちを出迎えたのは歓迎の声…ではなく、物売りの人達の押し売りでした。あちらこちらで聞こえる「ワンダラー(1$)」という声。4歳ごろの子どもからおばあさんまで幅広い年代の方が物を売りに来ます。

ふたつ前の寄港地、モーリシャスの押し売りは店を立ち去れば断れたけれど、彼らには店がないのでその場を去ってもついてきます。

彼らはタビビトノキと呼ばれる植物でできた小さな家に住み、道はゴミだらけ。道端の食べ物にハエがたかっている環境で暮らしています。

あとで知ったのですが、マダガスカルはかなりの貧困国。一日を2$以下で過ごしている人々にとって、1$のブレスレットを買ってもらうことは、大きな儲けなのでしょう。

でも、情で買うことは、優しさとは違う。彼らの一日を救うことができても、何かそれは違うように感じました。どうしたらいいのか分からずもやもやしながらその場を後に。…ところが、困ったことにバス停を離れても3人の子どもたちが後をついてきたのです。

 

物売りの子どもたちが最高のガイドに

街を出て、スーパーを探したり、海を散策しているうちに、後をついてきた3名の子どもと仲良くなっていきました。彼らはいつしか物を売ることを忘れ、様々なものを紹介してくれます。

彼らはマラガシ語しか話さないため、98%ほどは理解できません。でも、ヤギを「ウーシ」と呼ぶことは理解。ビーチはそのまま「ビーチ」と呼ぶらしく、地元のビーチを案内してくれました。

 

この子どもたちを始め、マダガスカルの人々はとても暖かく、すれ違う人が笑顔で「サラーマ」と挨拶をしてくれます。異国の土地へ来て、挨拶のよさを実感した瞬間でした。

結局「サラーマ」という挨拶とヤギやビーチという単語しかマラガシ語はわからなかったけれど、彼らの親切な気持ちと素直な笑顔と案内で、マダガスカル散策は最高のものとなりました。

 

モヤモヤから生まれたチョコレート大作戦

貧しさとは?豊かさとは?優しさとは?もやもやしながら迎えたマダガスカル二日目。正直、物売りの方々と再会した時にどう向き合えばいいのか分かりませんでした。

欲しくもないものを情で買うのは違うと思ったし、買うことで当面の生活費は賄えるとしても、それでは何も解決せずにその商売を肯定してしまうことになるのではないか?と考えていました。

 

そんなタイミングで、船の友人があることを持ちかけてきました。「スーパーで200アリアリ(およそ7円程度)のチョコレートを見つけたから、それをたくさん買おう。子どもたちと遊び、何かしてもらったら対価としてそのチョコレートをあげよう」という提案でした。

果たしてそれが正しい行動なのかどうかは分かりません。でも、現地の子どもと関わって、お互いがお金ではやりとりできないような時間を共に過ごせたら…。そう思い、彼の企画に乗ることにしました。

 

昨日出会った子どもたちと感動の再会

昨日と同じ場所でバスを降りると、マダガスカルの人々は顔を覚えていたようで、気さくに話しかけてきます。辺りを見回すと昨日仲良くなった少年と目が合いました。

昨日と同じように帽子を見せ、「1$」と言っています。こちょこちょをして話をはぐらかしながら、スーパーへ向かうとまた数名の少年がついてきました。

 

スーパーでどっさりチョコを買い、店を出ると、少年たちは店の外で待っていました。まず初めに何をして遊び、何の対価、景品としてチョコをあげるか…。じゃんけんを教えてみよう。ということになったので、スーパーの前でじゃんけんを教えたのですが、なんせ言葉も通じないし、そもそもマダガスカルにじゃんけんという文化はないようです。

子どもたちは必死に覚えようとしますが、マネをして覚えようとするとどうしても後出しのあいこにしかなりません。こちらも必死でグー・チョキ・パーの力関係を体や表情であらわしますが、後出しあいこが続きました。

 

じゃんけんはあきらめ、買ったボールでサッカーをするために海へと向かうことに。海へ向かう道、身振り手振りで自己紹介をしてお互いの名前を言い合います。再会したころは、やはり物売りばかりをしていた子どもたちもいつしか物を売ることを忘れていました。

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