ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

新型コロナウイルスの流行を経て、よく聞くようになった言葉の中に「マイクロツーリズム」があるでしょう。旅行が難しくなった昨今、提唱されている一つの旅のカタチです。

日本全国をフィールドとし、長期連休はほぼ自転車旅に充てていた私も、活動路線の変更を余儀なくされてしまいました。そこで約1年半、実家のある愛知県奥三河エリアを中心に、マイクロツーリズムと称してさまざまな場所へ足を運んでみることに!

すると、今までは見えてこなかった、地元の魅力をたくさん見出すことができ、郷土愛を深めつつ、充実した時間を過ごすことができました。

今回は、私が実践したマイクロツーリズムの作り方を一般化した上で、楽しみ方の具体例を紹介してみようと思います。

マイクロツーリズムとは?

photo by Yuhei Tonosho
マイクロツーリズムとは、自宅からおよそ1時間圏内の地元や近隣への短距離観光のこと。新型コロナウイルスによって打撃を受けた観光業界を救う手段の一つとして、株式会社星野リゾートの代表 星野佳路氏が提唱しました。

人の移動や三密を回避する旅スタイルとして注目が集まっている一方で、一回ポッキリの観光でなく、定期的な訪問を促す仕組み作りに触れているのもポイントです。

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次第にトレンドとなってきたワーケーションとも相性がよく、地方の観光事業を活性化する際に、重要な視点の一つとなっています。

また旅行者単位では、遠出をせずとも非日常な旅を気軽に楽しめるというメリットがあります。灯台下暗しというように、近くこそ目が届きにくいのですが、自分の地元が意外にもポテンシャルの宝庫かも!?

自分だけのマイクロツーリズムの組み立て方

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それでは、どのようにマイクロツーリズムな旅を楽しんだか?についてですが、私の中では、マイクロツーリズムは島旅に似ています。具体的には、忘れられない瞬間がある!五島列島・自転車旅で再発見した「島旅」の魅力でも書いたのですが、対象とするエリアが限定されているからこそ、より敏感にアンテナを張って、現地を見つめられるようになります。

そんな大事にしたい直感と、以下3つの軸と掛け合わせることで、より自分らしいマイクロツーリズムを見出すことができました。

明確なテーマを持つ!

photo by Yuhei Tonosho
まず取り組みやすいのが、明確なテーマを持つことではないでしょうか?普段の旅スタイルから、自分が好む要素やテーマを抽出し、その内容に基づいて、近場でサーチをかけます。

私の場合、中でも大きな位置付けだったのが「山」でした。1年で50座以上登山を行う私にとっては、山こそ飽くなき好奇心を受け入れてくれる最高のフィールドです。

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標高の高低に関係なく、近場にある目ぼしい山はすべて登る勢いで、足繁く通いました。これを通じて、マイホームである奥三河の自然の雄大さや美しさを体感でき、海外を彷彿とさせる絶景に出会えたのも最高の思い出です。

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個人的にオススメしたいツールが「YAMAP」。登山地図サービスのアプリですが、他の利用者が投稿した活動日記も閲覧できます。私は、日記の数が2000を超えるのがメジャーな山。2000以下が穴場な山として、アタリをつけていました。

四季を追いかけて、同じ場所に何度でも!

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これまでの旅においても季節の流れを大切にしてきた私。

春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山に登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される――といったように、季節感を大切にする旅スタイルが特徴です。

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この姿勢はマイクロツーリズムでも活かされました。

春には驚くほど鮮やかでバラエティーに富んだ花の絶景を味わい、美しい新緑にひたすらに心洗われ、錦絵のごとき紅葉に身惚れれば、遥か南アルプスを望む霧氷の絶景に歓喜する。

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地元はこれほどまでに四季折々の表情を有しており、まだほとんど知られていない絶景が眠っていたのか!?そんな、宝物を掘り出す感覚もたまりません。

どのジャンルもほどほどに、オールラウンダーを目指す!

photo by Yuhei Tonosho
旅先のどんな要素にも、ダイレクトに向き合える”自転車旅”というスタイルを好む私。この旅を楽しむ過程で、興味や関心の幅がどんどん広がり、どんな要素でも抵抗なく受け入れてきました。

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そのため、どんなジャンルでも、ある程度広く、ある程度深いオールラウンダーな旅人になれたと自負しています。ライターとしても突き抜けたジャンルがないため、少し悩みではあるのですが(笑)、逆に言うと、マイクロツーリズムはオールラウンドな視点が活きてきました。

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複合的なテーマを持てばもつほど、マイクロツーリズムでは広がりを作ることができます。幾度となく足を運んだ場所であっても、見方や楽しみ方を変えられることで常に新しいインプットを得られるため、とても新鮮で刺激的です。

検索ツールは、観光協会のサイトかグーグルマップ

photo by Yuhei Tonosho
旅に出る前に大事にしたいのが、情報収集です。TABIPPO読者の皆さんもそうだと思いますが、メジャーなスポットだけでは満足できないという方も多いのではないでしょうか?

そんなとき、まず役に立つのが、地域の観光協会やコンベンションビューローなどが運営する観光サイトです。メジャーどころだけでなく、穴場の情報も多く掲載されているため、スポットの選定にとても役立ちます。

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そして、一通りスポットを選定し終えれば、Googleマップでその周辺を探します。レストランやグルメスポットについてはGoogleマップに網羅されており、穴場のお店に当たる可能性が高まりまます。

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口コミや写真で、地元に愛されている鄙びた食堂や、小粋な古民家カフェを探すのがマイブーム!また、選定したスポットの近くにおもしろそうな滝があれば、そこに立ち寄るのも日課にしています。

日帰りできるエリアにあえて宿泊してみる

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近場への旅行では日帰りが前提になるかと思いますが、敢えて宿泊してみるのもおすすめ!温泉街や観光地に泊まるのでなく、むしろ「そこに宿があるから」「この宿が良さそうだから泊まる」といった選択をするようになりました。

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自分が親しんでいる活動フィールドだからこそ、泊まるということがなんだか新鮮で非日常。普段とは少し違う、その地の魅力の発見につながるかもしれません。

たとえば名古屋からアクセスしやすい三重の伊勢鳥羽エリア。普段は日帰りで訪れることが多い場所ですが、あえて伊勢湾に浮かぶ「答志島」に宿泊した体験は忘れられません。

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ふわりと染まりゆく朝の離島は情緒たっぷり。鼻腔を通り抜ける磯の香りを感じながら日の出を待つ時間は、とても贅沢でした。また本土から出ることで豪華な海鮮料理をよりリーズナブルにいただくことができます。

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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