編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

3.「SNS×マニアックメディア」で発信力を確保する――オリジナルコンテンツをつくる―― / 四角大輔

旅するように生きるために不可欠な、「お金の魔力からの解放」、「2つのスキルの会得」ときて、次に必要なのは、いよいよ「発信力」だろう。

最初にSNSのフォロワー数の話から。2017年3月現在、ぼくの「Twitter」のフォロワー数は約1・8万人、「Facebook」は1・6万人。「Instagram」は6000人。ナオさんはもっと多く、それぞれ3万人、2・8万人、1・1万。

個人的な感覚だと、5000人を超えたあたりから大きな反応を得られるようになり、1万人超くらいから「セルフメディア」と呼べるような影響力を手にできるようになった。

ナオさんが前章で言っていたように、今はモバイルテクノロジーと、大好きなことやライフスタイルを掛け合わせてコンテンツ化し、ビジネスに変えていくことが可能だ。

テクノロジーがここまで発展していなかった時代は、マニアックな人は単なる「オタクな人」で終わってしまって、その人が発信するコンテンツに市場価値はなかった。

しかし、今はマニアックであればあるほど、ブランドとコンテンツの価値が高まる時代。自分が本当にやりたいことを狭く掘り下げて、SNSやメディアで発信していると、徐々にそれがオンリーワン・コンテンツとなり、興味を持ってくれる人が現れる。

これは、インターネット登場前の世界では起こり得なかったことだ。

ぼくだって、SNSを始めて最初からいきなり何千人ものフォロワーがついたわけではない。しかし、フォロワーを自分につける具体的な方法は存在する。それは、「マニアックメディア × SNS」という掛け算だ。

マニアックメディアは、抱えるユーザー数は少ないが「濃いファン」を持っている、というのが特徴。こういった、わずか数千人から1万人程度のユーザーしかいないようなメディアからフォロワーをつくりはじめることが、実はとても有効なのだ。

ぼく自身を例にすると、ずっとやり続けていたフライフィッシングの専門誌で、会社員時代から細々と原稿を書いていた。おそらく当時、その専門誌の発行数は数千部ほど。

次は、アウトドアや登山といった、もう少し大きなマーケットを持つカテゴリーに進出したいと考え、発売されている専門誌すべてを毎月購入して、細部まで読み込んだ。ニュージーランド移住後には、アウトドア関連の仕事もしたい、と思っていたからだ。

とはいえ、これらもまだまだマニアックな世界の雑誌のため、発行部数は1万から2万部程度と決して多くはない。

移住する3年前から、これらの雑誌を徹底的に研究して企画書をつくっては、各出版社に持ち込み、「こんな記事を書かせてください」、「こんなテーマの連載をやらせてください」と、何回も何回もプレゼンし続けた。

あとにも先にも「個人の営業活動」をしたのはこのときだけだったが、今思えば、これこそが、ぼくの人生を決める重要なチャレンジだった、と言える。

ある日ついに、そんなぼくをおもしろがってくれる編集者に出会え、そのアウトドア雑誌で取り上げてくれた。最初は小さな記事だったが、何度かその雑誌に出るように。

すると、その一連の記事を見た他社のある編集長が「新たに登山専門誌を発行することになったので出てみないか」と、声を掛けてくれたのだ。

そこからぼくは、その登山雑誌にひんぱんに出るようになり、のちに連載を持たせてもらうようになり、ついには何度も表紙を飾るまでになった。

同時に、ほかのアウトドアや登山、釣りや冒険を扱う複数の専門誌にも出させてもらうようになり、フライフィッシング専門誌やアウトドア雑誌でも連載を持たせてもらうなど、その狭いジャンル限定だが、徐々にぼくは知名度を上げていくことになる。

これはまさに、レコード会社プロデューサー時代に、無名のミュージシャンをブレイクスルーさせていった手法とまったく同じなのだ。

このように、自分が本当にやりたいこと、好きなことを、本気で突き詰めた結果、最初に取り上げられるのは、必然的に専門誌のようなマニアックなメディアになる。

映画や漫画によく描かれる、「いきなりメジャーなメディアに大抜擢」というような奇跡は、残念ながら、圧倒的に恵まれた才能を持つ一部の人間にかぎられる。これは、ぼくが音楽アーティストのプロデュースに従事していた10年間で学んだことだ。

だれもが知っているようなビッグアーティストの、ほとんどの初出演は、ある音楽ジャンルに特化した深夜のラジオ番組や、音楽専門誌といったマニアックメディアなのだ。

最初にその売り込みをするのはプロデューサーであるぼくの仕事だった。

仮に、最初からいきなり、何十万という多くのユーザーを抱えるメジャーなメディアに出たとしても、見過ごされてしまうか、一発屋で終わる可能性がとても高い。

なぜなら、そういった大きなメディアが抱えているのは、移り気が激しく、情報をさらっとしか見ない「受け身のファン」がほとんどだからだ。

しかし、マニアックメディアには、読者や視聴者の数は少ないものの、隅々までしっかり目を通してくれる、熱量の高いアクティブユーザーが多くいるため、必ずなにかの反応をしてくれる。

こうやってマニアックメディアへの小さな出演を重ねながら、フォロワーをコツコツと増やしていく手法を「コアファンの構築」と呼び、音楽アーティストのプロデュースにおいても、自身のブランディングにおいても、とても重要視していた。

メディア出演というのは「ただ出るだけ」では意味がない。あなたの発信を受け取ったユーザーからの「反応」を引き出して、口コミを誘発して初めて意味を成すのだ。

 

ここで大事になってくるのは、必ず掛け算としてSNSを活用することだ。

ぼくは当時、まだ日本に出はじめたばかりの「Twitter」をうまく利用していた。

同じ専門誌に出ていたほかのライターや出演者たちは、まだほとんどSNSを活用できていなかったため、その界隈ではぼくよりすでに何倍も有名な人たちよりも、より早く、より多くのフォロワーを増やしていくことができた。

出演した専門誌の発売タイミングはもちろん、記事になる前の取材現場や、執筆している過程などをひんぱんに「Twitter」で発信していると、その読者や、その世界に興味のある人たちがリツイートしてくれたり、コメントを返してくれた。今では当たり前のことだが、当時、釣りやアウトドア界でそういう使い方をする人は少なかった。

専門誌の読者の中には、流行や新しいことに敏感で、それを人に伝えたがるような、今で言う「マイクロ・インフルエンサー」が多かった。

そのころぼくが出ていた複数の専門誌の出版部数を合計すると、4万部ほどだったと思う。言葉を換えると「4万人の高感度の人たち」が読んでくれているわけで、その読者4万人の中で「特に敏感な数百人」がフォローしてくれたら成功だった。

そして、小さな発信力を持つ彼らを起点にぼくのフォロワーはさらに広がっていった。

こうして、1つの専門ジャンルの中でSNSのフォロワー数がトップクラスという立ち位置を確保できるようになると、次のステップが見えてくる

その密度の高いフォロワーや、その中に多く存在するマイクロ・インフルエンサーたちの拡散力を期待して、もっとメジャーなメディア、たとえばファッションやカルチャー誌、ビジネスメディアから声が掛かるようになっていったのだ。

 

どんなジャンルにも必ずマニアックメディアは存在する。

ぜひあなたも、これまで夢中になって取り組んできた大好きな世界の専門メディアを客観的な目線で細かく研究することから始めてみてほしい。

そのうえで、「どうすればそこに出られるか」という綿密な戦略を立て、企画書をつくってプレゼン行脚するなど、あきらめずに行動し続けてもらいたい。

とはいえ、小さいメディアだとしても、専門誌などは、実はとても敷居が高い。

だからこそ、レコード会社プロデューサー時代のぼくがデビュー前の音楽アーティストのために、あるいは、ぼく自身のために行なった「売り込み」が、このタイミングだけは必要になってくるのだ。

ぼくは個人でも、プロデューサーとしても、「営業活動は基本やらない」という方針を貫いているが、この「デビュー前の無名時代」には必須と考えている。

ここ一番で、おそれずにその挑戦ができる者しか、チャンスは手にできない。そうやって、マニアックメディア × SNSで培った「オリジナルコンテンツ」はのちに、多くの化学反応を生み出し、すばらしい出会いをもたらすことになるのだ。

[Reminder] 無名の個人が世の中に出る方法は「専門メディアへの売り込み」と「SNSによる発信」

 

4.好きの徹底追求と発信で「個人ブランド」を確立する――アーティストのように生きる―― / 四角大輔

\こちらの内容はぜひKindle版でご覧ください/

モバイルボヘミアン

 

\ほかの章も読みたい方はコチラ/

 

編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

RELATED

関連記事