モバイルボヘミアンという言葉を知っていますか?旅人の最終進化系と称される本田直之さんと四角大輔さんが書籍「モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには」で定義した新しい生き方です。
この記事では、本書籍の内容を抜粋して連載しています。
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会社員だった2人はどうやって、場所にも、時間にも、会社にも、だれにも縛られない自由なライフスタイルを手にしたのか。
10年近く、まるで兄弟のように深い交流を続けてきた、『レバレッジシリーズ』や『ノマドライフ』著者・本田直之と、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』著者・四角大輔の2人が、20代の頃から20年以上の歳月をかけ、実験し続けてきた「生き方」と「考え方」をまとめた、まさに集大成となる一冊。
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この生き方はだれでも実現できるが、だれしもに向いているわけではない
ここからは、モバイルボヘミアンの生き方に向いている人、向いていない人について考えてみたい。 ぼくは、「この生き方に必要なハウツー」を知ることより、まずあなたが「この生き方に向いているかどうか」を掘り下げる方がいいと思っている。向いていないと感じる人が、無理にこの生き方を実践する必要はないからだ。
ぼくたちは、モバイルボヘミアンの生き方を万人にすすめる気はない。ぼくは約6年、ダイスケは15年近く会社員をやってみて、2人とも「会社員には向いてない」ということがよくわかった。
ただこれは、決して会社員という働き方を否定しているわけでも、フリーランスでいることや、国境を越えて移動し続けるライフスタイルが最良だ、と言っているわけでもない。
「できる、できない」の前に大切なことは、「自分はなにがしたいか」とあなたの心に問い続けること。「自分は本当はなにが好きか、なにが向いているのか」を知るために行動し、いろいろな挑戦をし続けること。管理される方が楽で、会社勤めが向いている人もたくさんいる。
一方、組織に属してさまざまな制約に縛られてしまうと力が発揮できない人もいる。自分が本来いるべき場所に身を置いて、夢中になれることや、好きなことや得意なことにできるかぎり多くの時間と労力を投資すべきなのに。
みな必死になって「そうでない場所」で「そうではないこと」に人生の大半の時間を費やしてしまっている。
「こうじゃなかったはずだ」とわかっているのに、それを変える挑戦もせず、ずっと「間違った居場所」で生きている人があまりにも多すぎるのだ。
「どうなるかはわからないけれどチャンスもあるし、テクノロジーの後押しもあるから、どんどん実験してみよう」と思える人は、このチャレンジを楽しめるはずだ。
「人生は壮大な実験」だ。
先駆者がいないからこそ、自分が実験台となって、望むままに行動する。答えがないからこそ、実験自体を楽しむことができる。自由でチャレンジングな思考を持てるかどうかが、モバイルボヘミアンとして生きるうえで重要なことだ。
また、今のあなたの職種も向き・不向きとはまったく関係ない。向き、不向きは人間性で決まるものだし、STEP1でも述べたように、これからの時代は1つの職業にとらわれること自体が時代遅れの価値観なのだ。
[Reminder] 最初に知るべきは「ノウハウ」より「自分に向いているかどうか」
1.○「クリエイティブ」に考えられる人 ×「自由」が苦手な人 / 本田直之
まず、なによりも大切なことは、自分の働き方や生き方に対して、常識に縛られない自由で柔軟な発想を持つこと。つまり、クリエイティブに考える習慣を持つ、ということだ。
長い通勤時間がわずらわしいのなら、週1回オフィスに行かなくても仕事ができるやり方をゼロベースで考え、会社に交渉してみる。営業は得意だが事務作業が苦手なら、アウトソースできるウェブサービスはないかを調べて、実際に試してみる。
1つひとつは小さなことかもしれないが、既存の常識や違和感を鵜呑みにしたり、あきらめたりするのではなく「どうやったらできるのか?」、「今までとは違うやり方はないか?」と考え続けることが、クリエイティブに生きるということ。
もちろん大言壮語を吐くだけだと、周囲からは「なに言ってるんだ?」と思われて、相手にされないだろう。あなた自身のベースとなるスキルや仕事で出した結果、そして挑戦につながる行動を起こしてはじめて、説得力は生まれる。
多くの人は、「新しい働き方は今の会社では実現できない」と軽々しく結論づけるはずだ。ただ、考えてみてもらいたい。
その思考自体がクリエイティブではないし、思考そのものがこれまでの常識に支配されてしまっている。会社のルールは、破ってはいけない法律ではない。これから変わり続けていくことが当たり前だと考えるべきだし、自分たちで変えていくことだってできる。
今でこそ有名になったが、シリコンバレーにある「Facebook」や「Google」の働き方やオフィスは、かなり独創的だ。両社とも働き方は自由だし、従業員としてやるべき仕事以外に「自分の好きなことをしていい時間」があったり、まるで遊び場のようなオフィスを設計していたりする。
なぜこういった会社は、過去の常識にとらわれずに独創的な発想ができるのか。答えは、創業者がそもそも別の会社で働いたことがない、ということが大きい。
「Facebook」のマーク・ザッカーバーグも、「Google」のラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンも、彼らが大学生のときにサービスをつくり、学校をやめて会社を設立した。
つまり、普通の会社を知らない。だからこそ、「会社やオフィスってこういうものだ」という決めつけがなく、「自分たちが働きやすい環境ってなんだろう?」とクリエイティブに考え続けて、学生時代から会社をつくってきた。
こういう人たちだからこそ、普通の会社とは異なるオフィス環境をつくり、まったく新しいビジネスの成果を生み出せるのだ。
そもそも、今ある会社の形態や働き方の常識は、いつの時代につくられたものなのだろうか?
何百年も前から脈々と続くような伝統ではなく、たかが十数年前につくられたやり方を当然のように受け入れて、今の時代を生きることの方が違和感でしかないはず。「絶対」ではない会社のルールに無条件に従うのではなく、変えるべくぜひ行動にしてもらいたいのだ。
たとえば、ダイスケのまわりには、大企業に勤める女性が上司に何度も交渉し、出産を機に、週に数日のリモートワークや在宅勤務が承認され、それがのちに部署のルールになった例があるという。
一方、モバイルボヘミアンに向いていないのは、自由が苦手な人だ。一見、自由というのはだれにとっても有益なものと捉えがちかもしれないが、そうではない。
「制限された自由」の中でこそ力を発揮しやすい人もいるし、「このポジションで、こういう働き方で、こういう仕事をやってください」と決めてもらった方が成果を残せる人もいる。それもまた、1つの生き方だ。
[Reminder] ルールとは 「守るもの」ではなく「変えていくもの」
2.○「実験」し続けることができる人 ×「変化」を恐れる人 / 本田直之
次に大切なことは、クリエイティブに考えたことを「実験し続ける」ということ。もし、クリエイティブなアイデアが浮かんだとしても、そのままにしてなにも行動しなければ、現状はなにも変わらないままだ。
仮にやってみた結果がうまくいかなかったとしても、それはあくまで「1つの実験の結果」として、固執しなければいいだけの話。ぼくが2007年から始めた日本とハワイの半々で生活するライフスタイルも、実験以外の何者でもなかった。
そもそもデュアルライフを送ること自体、前例がほとんどなかった。真っ白い紙に、自分の意思で絵を描くしかなかった。
ただ、最初から「もしうまくいかなかったら」といった考えはなかった。それは、急に思いついてやったわけではなく、自らこの生き方を望んで、16年かけて「準備」をしてきたからだ。
世界中のどこでも生きていけるようにビジネススクールへの留学もしたし、自分を信頼してもらえる実績として「バックスグループ」を上場させた。移住する前に何度もハワイに通ったし、そこで種を蒔き続けた。
「変化がこわい」という人がいるが、それなりの準備をしていれば、「100%うまくいかない」ことは絶対にありえない、という自信も生まれてくる。
逆に、ダイスケが述べたような「ベーシックスキル」や「専門スキル」によって裏打ちされた実績がないまま大きな挑戦をしても、うまくいくはずはない。
この本を斜め読みしただけで突っ走って、なんのスキルも手にせず、準備もせずに移住したり、新しい世界に飛び込むことは、勝ち目のないただの無謀な実験だ。
[Reminder] 実験とは 「無謀な挑戦」ではなく「成功するための準備」