ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

国内の音楽フェス情報サイト「Festival Life」を運営し、自身も年に30〜40ほどの国内外のフェスに参加するという津田昌太朗さん。4月24日には、いろは出版より『THE WORLD FESTIVAL GUIDE 海外の音楽フェス完全ガイド』を出版予定です。

今回はそんな津田さんに、シーンやテーマごとにおすすめのフェスを紹介していただきました!

津田昌太朗さん

1986年兵庫県生まれ。大学卒業後、広告代理店に入社。「グラストンベリー」がきっかけで会社を辞めイギリスに移住し、海外フェスを横断する「Festival Junkie」プロジェクトを立ち上げる。現在は、日本国内の音楽フェス情報サイト「Festival Life」、海外フェス情報サイト「feslavit」を運営しながら、雑誌連載やラジオ番組のパーソナリティなど、フェスカルチャーをさまざまな角度から発信し続けている。ワタナベエンターテインメント所属。Instagramアカウントはこちら

 
――フェス文化というとヨーロッパのイメージが強いですが、アジアはいかがですか?

 
今回の書籍にもアジアのコーナーが予定より多くなったくらい、今アジアのフェスがおもしろいですよ!海外フェスデビューには、ぜひアジアのフェスをおすすめしたいです。意外といいフェスが揃っているし、安い・近い・滞在期間が短い「安・近・短」が可能だから。

 
――アジアで一番おすすめのフェスを教えてください。

デビューにおすすめなのが、先ほども話した香港の「Clockenflap」(クロッケンフラップ)ですが、12月にタイ・パタヤで開催される「Wonderfruit」(ワンダーフルーツ)が去年行った中ではおすすめですね。比較的歴史の浅いフェスながら、インスタ映えするアーティーな出し物が多いところがおすすめポイント。

火で文字を書くアトラクションがあったり、廃車になったバスを飾って撮影スポットになっていたり、夜になると会場全体がライトアップされたり。インスタグラマーもたくさんやってくる、アジアの中でもとりわけヒップなフェスですね。港からバスで20分ほどと、ちょっと中心地から離れているところも非日常感があっていい。

いろいろと実験的なこともやっていて、去年、最終日の夜に電気が全部消えたことがあって……。「停電か、アジアらしいな」なんて思っていたんだけど、50人くらいの少女が出てきて、何千人もの参加者を並べて座らせ始めたんです。

最後にわかったのは、単なる停電ではなく、サプライズ的な観客参加型イベントだったということ。しかもオチは「みんなで寝転んで星を見ましょう」だった。ほぼ告知なしで電気を落とすなんて日本なら苦情が殺到するかもしれないですが(笑)。

 
――アジアとヨーロッパ以外なら、どこがおすすめですか。

オーストラリアのフェスがおすすめです。というのも、オーストラリアは日本と季節が真逆。日本では冬の間はフェスがないけど、オーストラリアに行けば半袖短パンで楽しめますよ!

去年行ったのは、年末年始にオーストラリア国内の4箇所で行われる「Falls Festival」(フォールズ・フェスティバル)。北半球ではフェスがオフシーズンなので、世界中から人気アーティストが集ってくるのも嬉しいところ。年末年始の休みにあわせて参加してみるのもいいかも!


写真提供:津田さん

 

――2019年に注目しているフェスはありますか?

2019年のフェスシーンには一大トピックがあるんです。それは、1969年に開催され、現在の野外音楽フェスの原型になった「Woodstock Music and Art Festival」(ウッドストック)の50周年にあたる年だということ。

50周年を記念して、2つのフェスが開催されます。ひとつは、1969年にウッドストックを主催したマイケル・ラングらによるフェス「Woodstock 50」。こちらは、Jay-Z、The Killers、Chance the Rapperといった現在の音楽シーン、フェスシーンを代表するアーティストが多く参加予定で、もうひとつの「Bethel Woods Music and Culture Festival」は、レジェンド級のアーティストが多くそろえたフェスです。どちらも行きたいですが、日程がかぶっていて悩ましいですね……。

 
――今までで一番すごかったフェスは?

僕の永遠のベストは、イングランドの「Glastonbury Festival」(グラストンベリー)。このフェスであまりにも大きな衝撃を受けて、当時勤めていた会社を辞めて、そのまま渡英しました。


写真提供:津田さん

 

その年のヘッドライナーとして出演したローリング・ストーンズが「Factory Girl」という有名な楽曲を演奏したんですが、ミック・ジャガーが歌詞をグラストンベリーver.に替えて歌ったんです。「このフェスは、ローリング・ストーンズに歌詞を変えさせるほどの存在なんだ」と衝撃を受け、他にも会場や参加者が生み出す独特の雰囲気に圧倒されて「このカルチャーをもっと知りたい!」と思ったことが、今の仕事を始めたきっかけです。

グラストンベリーにはその後何度も行っていますが、毎回発見があり、前回以上に楽しませてくれます。

 
――おすすめをもう一つ挙げるなら?

初心者にも参加しやすいという点で選ぶと、アメリカの「Coachella」(コーチェラ)もおすすめです。

ビヨンセがフェス限定でデスティニーズ・チャイルドを復活させて、翌年にはNetflixでそのドキュメンタリーが公開になったり、レディー・ガガが新曲「The Cure」をステージで歌って、そのタイミングからSpotifyが配信開始になったりと、コーチェラがアーティストにとって重要なプロモーションの場として機能していていたりもするので、毎年いろんな仕掛けがあって楽しいですね。

ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

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