ライター
増戸 聡司 転職トラベラー

【旅歴】 ピースボートで2度の世界一周(北半球航路と南半球航路)と、バックパックでの世界一周で、現在、世界3周して73ヶ国を訪問している転職トラベラー。 元ライザップのトレーナーであり、元警察官。 【その他】 「筋肉番付」の腕立て全国二位、UltimateBeastmaster日本代表(Netflix主催の「SASUKEのような番組」)、大学生アームレスリング全国大会優勝、マラソン3時間14分、エキストラ出演「HERO2」や「寄生獣」

ピースボートとバックパックでの世界一周の違い

それぞれにメリット、デメリットがあるので、各自の個性やスタイル、旅歴、費用、時間などで判断して選択すると良いと思います。ここでは、費用、自由度、時間、楽しさ、安全度と手軽さ、の項目に分けて解説していきます。

費用

photo by 増戸 聡司

私の3度の世界一周での費用を公開するので参考にしてみてください。初めて乗ったピースボート71回クルーズの費用は、約140万円(87日間)でした。

そして2度目の南半球周りの78回クルーズが約180万円(102日間)でした。前回との差は、そもそもの基本料金が前回よりも高かった(前回が99万円、今回が129万円)のと、南米で「離脱」(船から一旦降りて自力で好きなところに行き、先の寄港地で船と合流すること)をして、マチュピチュやウユニ塩湖、ナスカの地上絵などを見たからです。

そしてバックパックでの世界3周目の費用は、約153万円でした。期間はちょうど200日でした。私の場合は、ピースボートでオプショナルツアーをあまりとらずに自由行動ばかりしていたので、平均的な人よりも5万円以上は安く済んだと思います。

バックパックの方は宿代や食費は節約しましたが、観光やアトラクションは充分に楽しみ、また北欧やアメリカなど物価が高い地域にも行ったので、平均的なバックパッカーよりもやや高い費用だったかなと思います。というわけで、基本的にはピースボートの方が費用は高い傾向があります。

しかしピースボートにはボランティアスタッフ制度があり、乗船前にポスター貼りなどの活動をすることによって基本料金を無料にまですることが可能です。しっかりと活動する人だと、2ヶ月で100万円以上の基本料金を無料にしている人もいるくらいです。

更に最近は、ピースボートとTABIPPOのコラボ企画で、破格の70万円で船に乗れるというTRAVELERS BOATプログラムというものもあります。どちらも年齢制限などがありますが、これらの方法を活用するとバックパックよりも安く世界一周することが可能です。

自由度

ピースボートの旅では約3分の2は船の中の生活なので、当然ですがバックパックの方が自由度が高いです。しかしピースボートでも、前述した「離脱」をすることによって、自由度が格段に高まります。

これは船を降りた次の港や、更にもっと先の港で船に合流するまで、一旦船を離れて自由行動をするというものです。私が初めて乗った71回クルーズでは多くの人が交通の便が良いヨーロッパで離脱をしていました。

また、2度目に乗った南回りクルーズでは、私も含め南米で離脱をする人が何人もいました。

時間

前述の通り、ピースボートの旅では船の中の生活が長いので、実際に観光に充てられる時間は当然ながらバックパックの方が長くとることが出来ます。

しかし私がそうだったように、ルートをあらかじめ決めておかないスタイルだと、次の行先の宿情報や観光情報、行き方などを毎回調べるのに結構な時間がかかってしまいます。

もし世界一周航空券を使い、あらかじめ行先が決まっていれば、日本にいる間に色々と調べておけるので、これは世界一周航空券のメリットの一つでもありますね。

そして人によってはバックパックだと時間に余裕があると思い、宿で何もせずにゆっくりし過ぎることもあります。いわゆる「沈没」(旅人用語で、ひとつの場所に特に何もせずに長期間滞在すること)ですね。沈没は、ある意味では贅沢な時間の使い方で、日本人には苦手なことでもありますけどね。

また船旅の場合は、自動的に次の寄港地に連れていってくれるので、移動中の時間も有効活用することができます。特に水先案内人と呼ばれる、その国に関する専門家のレクチャーを事前に受けることが出来ることがとても良かったです。

その土地のことをよく知ったうえで観光をすると、旅がより充実したものになります。

photo by 増戸 聡司

こちらはイースター島に着く前に現地出身のゲストがイースター島の話をしているところです。船旅では確かに1つの国での滞在時間は短いですが、基本的に港から観光地への距離の方が空港からの距離よりもずっと近くて、効率よく観光することが出来ます。

そしてよく「船の中の生活って退屈なんでしょ?」などと質問されることがありますが、船の中では常に様々なイベントが行われていて、これがまた楽しいので、逆に忙しいこともよくありました。

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こちらはピースボートの毎回のクルーズで行われている洋上運動会の一コマです。500人以上もの参加者が4チームに分かれて様々な種目を競います。

楽しさ

個人差はあると思いますが、私の場合は一人行動よりも複数人で行動する方が好きなので、総合的に見るとピースボートの方が楽しかったと思いました。

特に、一緒に行動した友達と船に戻ってから思い出を語りながら飲み食いをしたり、帰国後にも同じ船に乗った仲間と思い出を共有したり再び一緒に旅が出来たりということが船旅の醍醐味だと思います。

photo by 増戸 聡司

こちらはピースボートで大勢の船仲間とタヒチのモーレア島に行った時の写真です。

これに対しバックパックだと観光中や移動中など、一人で寂しい時間が結構多くありました。アジア圏やアラブ圏では街の人からよく声をかけられるのでそうでもないのですが、特にヨーロッパでは現地の人から近づいてくることがほぼ皆無なので、交流するためには積極性や戦略が必要だと思いました。

そしてバックパックでは、語学力とコミュニケーション力のレベルによって、楽しさが大幅に違ってきます。外国人旅行者や各地のローカルの人とすぐに仲良くなれるくらいの語学力やコミュニケーション力、ツールがあれば、バックパックの一人旅でも最高に楽しめると思います。

ツールとは、主なものは音楽、ダンス、スポーツなどです。他にも何らかの一芸があると良いと思います。私の場合はアームレスリングを長年やっていたので、世界各地で現地の人とアームレスリング対決をしたことが良いコミュニケーションのきっかけになりました。

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こちらはエジプトのピラミッドの前でアラブ商人とラクダの背中の上でアームレスリングをしているところです。

特に一芸のようなものがない人は、いかに日本人宿を上手く活用するかがポイントだと思います。私はヨーロッパでは日本人宿に全く泊まらなかったので、日本人と会ったり一緒に行動したりということは時々しかありませんでした。日本人宿は、平均的な安宿よりも値段が高いですが、もっと頻繁に泊まれば良かったなと後から思いました。

逆に日本人宿に泊まったインドやヨルダン、イスラエル、メキシコ、キューバ、そして日本人8人でのアメリカ横断では、より楽しかった傾向が強かったです。

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このキャンピングカーをレンタルしてアメリカ横断をしました。

確かにバックパックの旅で出会い仲良くなった人達もいますが、ピースボートでの出会いの方が濃く、また出会う人数もずっと多かったです。

安全度と手軽さ

バックパックでどこに行くかによりますが、基本的にはピースボートの方が安全度は高いと言えます。船ではもし行先で政情不安などが起きると、別の行先に変更されます。女性でバックパックの1人旅は親に反対されたけど、ピースボートだと許可が降りたという話も何度か聞いたことがあります。

photo by 増戸 聡司

こちらはバックパックでの世界一周中に行ったエベレストトレッキングの時の写真です。

ピースボートの旅では寄港地に着いた時に必要最低限の荷物だけを持って観光が出来るので、重い荷物を持ち運ぶ必要がなくとても楽でした。

バックパックでは時々あったように、一度宿について荷物を置いてから観光に行く、というような手間もありません。そしてどのような宿に泊まるかや、夜行バスでの宿泊や空港泊をどのくらいするかにもよりますが、基本的には船旅の方が体調管理もずっと楽でした。
 

ピースボートの方がオススメな人

箇条書きでピースボートの方がお勧めな人の特徴を列挙していきます。

・1人よりも複数人での行動の方が好きな人。
・沢山の人と出会いたい・様々な人の考えを聞きたい人。ピースボートには様々な世代の人で800人~900人ほどの乗客が乗っています。
・バックパックの旅だと語学やコミュニケーションに不安がある人。
・旅歴が浅い人。
・海が好きな人。海は世界各地で違う姿を見せてくれるし、また毎日船から見える朝日や夕日、星空はとにかくお勧めです。

photo by 増戸 聡司

・旅先のことをじっくりと学びたい人。
・社会問題を深く学びたい人。
・リスクが少なく世界一周をしたい人。
・お土産を沢山買いたい人。バックパックだと旅の前半でお土産を買うことはどうしても躊躇されてしまいます。途中で日本にお土産を郵送することも可能ですが、余分な手間と費用がかかります。
・スマホやアプリをあまり使いこなせない人。
・手軽に世界一周をしたい人。
・出来るだけ安く世界一周をしたい人(前述したボランティアスタッフ制度や、ピースボートとTABIPPOのコラボ企画のTRAVELERS BOATプログラムを活用する)。
・スエズ運河やパナマ運河、マゼラン海峡など、船旅でしか通過出来ないところへ行きたい人。

photo by 増戸 聡司

こちらはパナマ運河です。水門に水を出し入れすることにより船を1段ずつ高い場所に運んでいく貴重な光景を見ることが出来ます。
 

バックパックの方がオススメな人

こちらも箇条書きで列挙していきます。

・ピンポイントで行きたい場所が決まっている人。
・長期滞在したい場所がある人。
・1人行動でも寂しさを感じない人。
・語学力やコミュニケーション力が優れていて、現地の人や他国の旅人と仲良くなることが出来る人。
・予定を決めずに気ままに旅をしたい人。
・一つの国を隅々までじっくりとまわってみたい人
・大きな荷物を持っての移動が苦にならない人、荷物をかなり少なく出来る人。
・エベレストトレッキングなど山に行きたい人。

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標高5300mのエベレストベースキャンプなどを訪れ、トータルで10日前後はかかったので船旅の最中に行くことは不可能ではありませんが、あまり現実的ではありません。
・キャンピングカーでアメリカ横断をしてみたい人。

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私も世界3周目の最中にキャンピングカーでアメリカ横断をしましたが、2週間~1ヶ月の期間がかかるので、こちらも船旅の世界一周中に行くことはあまり現実的ではありません。
 

まとめ

photo by 増戸 聡司

もし世界一周の手段に迷っていて、まだ旅歴が浅くて時間的にも金銭的にも可能であれば、まず私のように最初にピースボートに乗って世界を大まかに見て回り、その後にバックパックで行きたいところにピンポイントで行く、というのが良いと思います。

なぜならピースボートに乗ると、旅慣れするし世界の旅の情報も入ります。そして何よりも、帰国後でも一緒に旅に行けるような友達が沢山出来る、というのが船旅の最大のメリットです。

でも既にバックパックで世界一周している人が、次にピースボートで世界一周するというのも良いと思います。船の中では自主企画といって、乗客が自由にイベントを開催することが出来るので、バックパックの経験を多くの人に伝えることはお互いにとって有益なことになるでしょう。

最近は世界一周をすることは昔と違ってかなりハードルが下がっています。そして「世界一周が人生でたった1度きりのもの」という時代も、もはや過去のものだと思います。もちろん世界一周に限らず、もっと短期間の旅を何度も繰り返すというのも良いと思います。

また私のブログには、二度のピースボートの旅もバックパックでの旅の様子も細かく書いているので、よかったら参考にしてみてください。

ライター
増戸 聡司 転職トラベラー

【旅歴】 ピースボートで2度の世界一周(北半球航路と南半球航路)と、バックパックでの世界一周で、現在、世界3周して73ヶ国を訪問している転職トラベラー。 元ライザップのトレーナーであり、元警察官。 【その他】 「筋肉番付」の腕立て全国二位、UltimateBeastmaster日本代表(Netflix主催の「SASUKEのような番組」)、大学生アームレスリング全国大会優勝、マラソン3時間14分、エキストラ出演「HERO2」や「寄生獣」

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