ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリなど。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

こんにちは!トラベルライターの土庄です。11月下旬に、房総半島3泊4日のワーケーションモニターツアーに参加してきました。

私自身、平日はフルタイムで働く一般的な会社員のため、ワーケーション自体は初めて。現在、たまたま本業の会社が一時的にリモートワークにシフトしていたため、時間に都合をつけて参加することができました。

元々「ワーケーション」という言葉について、昨今耳にするようになってから、どちらかといえばネガティブに捉えていた私。しかしながら実際に参加してみて目から鱗!仕事が滞ることはなく、むしろ日々の生活を豊かにする働き方だと実感することができました。

前編は、企画されたYAMAPさんとJR東日本さんに今回の企画に対しての想いをお伺いし、後編では実際にワーケーションを体験してきたプログラムについて詳しくご紹介したいと思います。

房総半島3泊4日アウトドアワーケーション!その狙いと意図とは?


今回のモニターツアーは、登山アウトドア向けサービスを展開する「YAMAP」がwithコロナ時代の新しい旅のスタイルを企画するにあたり、首都圏から近く自然豊かな房総半島をクローズアップ。

地元の「房日新聞」と、JR東日本が運営する館山市内の「ホテルファミリーオ館山」と手を組んで、ワーケーションツアーを練り上げたものです。

元々「YAMAP」は、登山者たちのインフラとなりつつある登山地図アプリを開発したベンチャー企業。登山者は入山前に山の地図をダウンロードしておき、衛星から受信するGPSシグナルと組み合わせることで、無電波状態でも自分がどこにいるかを分かるようにしたアプリです。アプリを使って山や自然の遊びを楽しむ文化を広げるために、今では自然の魅力を活かした観光コンテンツの開発にも注力しています。

それでは、今回どうしてこのようなワーケーションプランを企画したのか、関係者の方々の想い、そしてツアーに参加した私の感想も交えながらインタビュー形式でお伝えしていきたいと思います。

浦川拓也(TABIPPOコミュニティマネージャー)
「旅人採用」事業責任者。他にもTABIPPOで広報や人事制度/組織づくり、学生のマネジメントなど。1991年に滋賀県で生まれ、大阪大学在学中に初海外で世界一周の旅を経験。その後就職で上京し、2016年からTABIPPOで働き始める。趣味は登山やキャンプなどのアウトドア、漫画やボードゲームなどのインドアをバランス良く。登山好きが集まるオンラインコミュニティも運営。
利渉敏江さん(JR東日本千葉支社 企画・地域共創課 副課長/直営ホテル運営管理)
1989年JR東日本入社。Jリーグ参画に向けてサッカープロジェクト推進部署に配属となり、ジェフユナイテッド市原・千葉の設立に携わる。1991年の会社創設とともに同クラブに出向し、クラブショップの立ち上げ、広報・宣伝業務を担当。2001年JR東日本に復職後は、地方創生・地域活性化業務を担当。現在は、千葉エリアにおいて、地域行政・関係者の方々と食、文化などの地域特有のコンテンツを活かした各種施策を推進し、特に千葉の豊かな自然環境とアウトドアアクティビティを活かした”地域づくり”を目指している。
高橋勲さん(YAMAP COO/ワーケーションプログラム主催)
1981年生まれ、名古屋出身。日米の金融業界・投資ファンドを経て、YAMAPへ参画。「人と山をつなぐ」企業理念と、自然xITの可能性を信じ、CFOとして12億円の資金調達を推進。のちにCOOへと職責を変えて事業開発に注力。大手企業や官公庁、自治体などと連携し、人々が自然の魅力を感じるきっかけとなる企画やコンテンツ作りを展開している。

「YAMAP」がワーケーションプログラムを企画した背景とは?

浦川

それでは、色々と聞いていきたいと思うのですが、まずはYAMAP/高橋さんに。ワーケーションを企画した背景や狙い、想いは?
元々、国立国定公園を利用して、自然を楽しむ機会を創出したいというのがコンセプトにあって。標高は低いものの、南房総には良い山が多く、海沿いや田園風景の道を走るサイクリングと組み合わせたら、充実したアウトドアツアーが組めるのではないか?と着目したんです。

高橋さん

房総のマッターホルンと呼ばれる「伊予ヶ岳」。標高は低いがアドベンチャーな登山が楽しめる。

今回のワーケーションツアーの足となる「e-Bike」。上りでも失われない加速感と安定感が魅力

浦川

なるほど!今回、自然を楽しむという趣旨の他に、ワーケーションの文脈もあると思いますが、そちらについて意識したことはありますか?

単に自然で遊ぶだけでなくて、学びも同時に得られることを意識しました。仕事の延長線で、自然や環境にまつわる地域課題に触れて学ぶ。そこで得た経験や考え方が、自分の生活につながる。遊びと学びの両立、これこそがワーケーションの意義を高めるのではないか?と思っています。

高橋さん

地域環境保全についての講演。害獣であるイノシシの駆除と里山再生についてお話を聞いたあと、猪肉BBQを味わいました。

4日目に実施された沖ノ島再生プロジェクト。台風により激変してしまった沖ノ島の生態系を再生する活動に参加しました。

浦川

学びと遊びの両立、良い響きですね。では次に、このツアーの商品化をする場合、ターゲットはどのように想定していますか?
ワーケーションという試み自体、企業の協力が不可欠と思っていて。個人で長期滞在するお客さまはもちろん大事にしていきたいのですが、職場のルールや費用面のハードルが高いのも事実。まずは企業の人材開発プログラムとして定着を図っていきたいですね。

高橋さん

まずはワーケーションをしやすい職場づくりから目指す!

浦川

つまり、同じ会社の社員同士で利用するのを想定しているということですね!伊予ヶ岳のラストはロープワークがありましたが、あの場面は協力が必要だと感じました。ワーケーションを通じて社員同士が親睦を深められると素晴らしいですね。

1日目の伊予ヶ岳登山のラストは、ロープで山頂を目指す!チームで登頂する場合、声の掛け合いが大切。

ワーケーションではホテルの役割が重要!

浦川

それでは次に、利渉さんに。ワーケーションではホテルがとても重要になってくると思います。今回宿泊させていただいたファミリーオは元々、ワークを意識した設計になっているのですか?
周辺は自然豊かでバケーションの要素は十分なのですが、ワークの部分はコロナ禍で働き方が変わった昨今、意識し始めたばかりですね。まずは大々的に手を入れるのではなく、既存設備を有効活用しようと考えています。

利渉さん

浦川

いくつかスペースを分けていただいているのは有難かったです。ワークスペースが一つしかないとWeb会議も大変なので。延長コードも助かりました!

今回宿泊先となった館山の「ホテルファミリーオ」白塗りのリゾート感ある外観が特徴。

複数設けられたワークスペース。会議室はMTGで重宝しました。

延長コードは急いで15セットくらい買ってきました(笑)スマートな見た目ではないですが、ワーケーションをホテルサービスとして本格的に提供することにしたら、見た目もこだわろうかと。

利渉さん

浦川

一つあるだけで全然違いますね。馴染んでいないぶん、有り難みも感じるというか。今回のためにやってくださったんだなって!
ありがとうございます!

利渉さん

浦川

ところで朝ヨガについてはYAMAPさんの持ち込み企画ですか?

3日目に体験した朝ヨガ。一日の始まりとともにコンデションを整える

企画としてはウチなんですけど、元々ファミリーオではヨガのプログラムをよくやっていたと聞いていたので。

高橋さん

今回ヨガを担当してくれたインストラクターさんは普段からファミリーオでヨガプログラムを行って頂いています。平日はあまりお客さんがいないこともあるので一時止めてしまいましたが、今年復活し、今回実施してみました。

利渉さん

浦川

日中のアクティビティは、どちらかといえばバケーションに近いと思うんですけど。ワーケーションする身としては、朝の業務時間外とかでちょっと楽しめたり、コンデションを整えられるのは有り難いですね。隙間時間をいかに使えるかが大事になってくる気がします。
ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリなど。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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