ライター
mai 薬剤師/トラベルライター

海外・国内ノマドワーカー。 働き方・生き方を考え直して薬剤師→フリーランスへ。 海外10カ国、国内では沖縄から北海道など様々な土地で派遣薬剤師・ライター・ブロガー・ディレクター等を行う。大好きな旅をしながら働いています。

海外旅行をしている時に「空気が悪いな」「咳が出る、目が痛い」と感じたことはありませんか?もしかしたらその症状、大気汚染物質「PM2.5」が影響しているかもしれません。

年々広がっている大気汚染。特に、これから発展途上国に行く人や今症状に困っている人に向けて、起こりうる症状やおすすめの対策法について薬剤師が紹介します。事前に知識を得て、快適な海外生活を過ごしましょう!

大気汚染「PM2.5」って何?

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微小粒子物質PM2.5のPMは、「Particulate(微粒子)Matter(物質)」の略。大気中に浮遊する2.5μm(2.5mmの千分の一)以下の、とても小さな粒子です。例えるなら髪の毛の1/30程度。その小ささゆえ、気管や肺の奥まで入りやすく、呼吸器系疾患(気管支炎や喉の痛みなど)や循環器系疾患(不整脈や心不全など)など、人体へのさまざまな影響が心配されています。

2014年冬、中国・北京にて記録的なスモッグが報道され、PM2.5が大きな話題に。深刻かつ広範囲だったため、健康被害や高速道路閉鎖、航空便欠航など、さまざまな影響が出ました。

日本では、西日本にて環境基準を超える濃度の観測や九州の観測所にて粒子状物質の濃度上昇が観測され、中国からの飛来が問題視されていました。現在は中国にてPM2.5抑制対策が行われており、日本での濃度低下に繋がっています。

 

PM2.5が発生する理由と時期

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PM2.5 が発生する理由は、大きく2種類挙げられます。一つは工場や自動車、航空機、船舶などの排気ガスから出てくる「人為起源」、もう一つは土壌や火山からの「自然起源」です。

例えば、海外では伝統的に農地を焼き払う「野焼き」が行われている地域もあり、原因の一つとなっています。

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PM2.5は、冬〜春(3月〜5月)にかけて濃度が上昇しやすく、夏〜秋にかけて安定すると観測されています。日本国内での生成に加えて春先の偏西風により、中国から飛来することも濃度上昇の原因と考えられています。

 

大気汚染指数が高い国1〜5位

PM2.5やオゾンの測定値に基づき、アメリカの環境保護庁にて大気汚染指数(AQI)が定められています。ここでは、大気汚染指数(AQI)が高い国について、2020年2月20日現在のランキングを元に紹介していきます。

詳しいデータについては、世界100カ国12,000の監視ステーションで計測しているWorld Air Quality Indexを参照しています。

 

1位:中国

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大気汚染で真っ白になった北京の風景、テレビなどで見た方も多いかと思います。2017年頃、首都北京では「深刻汚染」「重度汚染」と呼ばれる日々が続き、PM2.5の濃度は日本基準の約7倍もの数値が出ていました。

現在は、市による大規模な大気汚染対策や工事や建設作業の禁止、石炭から電気や天然ガスへの切り替えが行われたことにより、PM2.5の濃度は減少傾向にあります。とはいえ、未だ濃度が高い地域もあるため、排ガスの削減や石炭の使用削減などの対策を継続しています。

 

2位:メキシコ

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2019年、PM2.5の濃度が世界保健機構(WHO)が定める安全指針の6倍以上になったため、メキシコシティや近隣のメキシコ州、イダルゴ州の一部に対して緊急速報が発令されました。

大気汚染の原因として、渋滞による自動車の排ガスや森林火災、石油産業などが挙げられます。ハイブリッド車や電気自動車は走行規制の対象外とするなど、対策が行われています。

 

3位:イラン

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2019年、イランの首都テヘランにて世界保健機関(WHO)による推奨値の6倍のPM2.5が観測されました。原因は主に車や石油精製施設、発電所からの排ガスと言われています。

冬になると風がなくなり、有害なスモッグが上空にとどまってしまうことも。テヘラン州ではトラックの運転禁止、大気汚染物対策の制度設備や人材育成などの対策が行われています。

 

4位:インド

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2016年にインド政府が定めた基準の12倍、世界保健機関(WHO)による推奨値の70倍ものPM2.5が観測された、インドの首都ニューデリー。人体に及ぼす影響は、1日にタバコを2箱以上吸うのに等しかったと言われています。

2019年の観測では、なんと測定不能の数値を叩き出しました。焼き畑やわら焼き、ディーゼル車の排ガスやヒンドゥー教の祝祭「ディワリ(Diwali)」前後に上げられる、大量の花火が原因とされています。

現在、車の通行規制や休校、高性能のマスクを使用するなどの対策は行われていますが、経済成長真っ只中のインドでは規制が中々難しいとされています。

 

5位:イスラエル

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今や世界的企業の開発拠点となっているイスラエル。交通渋滞が多いことによる排気ガスの増加や、汚染された空気を持つ砂嵐の影響によって、大気汚染が悪化しています。

イスラエルの人口第2位の都市テルアビブでは、2025年以降「汚染自動車」の走行禁止を検討。2030年以降は、ガソリンとディーゼル車の輸入禁止を計画するなどの対策がとられています。

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