東欧にある唯一のラテン系の国、それがルーマニアです。ルーマニア人は周辺諸国の人々と比べると、とてもフランク。道を歩いていると、気さくに声をかけてくれることも珍しくありません。
ルーマニアの魅力は田舎にあると言われますが、短期間の旅行であれば、地方に行くのも大変です。そこで、今回は気軽に同国を楽しめる3都市を紹介します。
ヨーロッパでも少しアクセスしにくいルーマニア
「そもそもルーマニアってどこ?」という人はヨーロッパの地図を広げてみましょう。ルーマニアは東ヨーロッパにあります。面積は約23.8万平方キロメートル、だいたい本州と同じ大きさです。
人口は約2,000万人でラテン系のルーマニア人が暮らしています。
Photo by Nitta Hiroshi
ルーマニアは周辺諸国から少しアクセスしにくい国です。たとえば、隣国のハンガリーの首都ブダペストからルーマニアの首都ブカレストへは列車で約16時間かかります。
ブルガリアの首都ソフィアからも約9時間40分の道のり。セルビアの首都ベオグラードからは直通列車すらありません。
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結局のところ、隣国から首都へ行くにはコスパ的に飛行機が最も便利なルーマニア。日本人旅行者が訪れないのも無理はありません。しかし、首都を目指すのではなく、地方都市を目指すとグッと行きやすくなります。
欧州文化都市の認定が決まっているティミショアラ
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最初に紹介するのはルーマニア西端にあるティミショアラです。ブダペストからは列車で約6時間30分、ベオグラードからはミニバスで約5時間~6時間です。
ただし、ティミショアラ駅から中心地へは路面電車での移動が必要なため、深夜に着いた際はご注意を。
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同国の宗教はルーマニア正教のため、西欧・中欧のカトリック・プロテスタントとは異なったテイストの教会が見られます。こちらは街の中心部にある三成聖者大聖堂という教会。
建設されたのは意外と新しく1937年~1940年のことです。
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ティミショアラは1989年に起きたルーマニア革命で有名な街です。当時のルーマニアには社会主義政権の独裁者、チャウシェスクが君臨していました。彼はティミショアラに住むハンガリー系住民を弾圧。その結果、ハンガリー系住民を中心にチャウシェスク政権打倒を目指して大規模なデモが発生しました。
ティミショアラで起きたデモは全国に波及し、チェウシェスクはクリスマスに妻と共に銃殺されました。銃殺のニュースは世界に大きな衝撃を与えました。
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ティミショアラにはルーマニア革命を後世に伝えるために1989年革命記念博物館があります。ここには大規模デモの写真や社会主義時代に使われた肖像画やポスターが展示されています。
学芸員に聞くと「チャウシェスクが北朝鮮を訪れた後に性格が変わった」ということ。意外なところでアジアとつながっていたわけです。
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さて、ティミショアラは2021年に欧州文化都市になることが決まっています。EUから欧州文化都市に指定されると、1年間にわたって様々な行事が開催されます。このタイミングで訪れるのもいいでしょう。
ルーマニアで1番美しい街、シビウ
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ティミショアラのホステルでルーマニア人に「あなたの国で1番美しい街はどこ?」と尋ねました。すると「シビウ」と返ってきました。シビウは国土のほぼ真ん中に位置する都市です。
シビウのポイントは国際空港があること。ドイツ、オーストリア、イギリス、スペインなどから航空機が乗り入れています。たとえば、ドイツ・ミュンヘンからですと約1時間40分のフライトです。
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もともと、シビウがあるルーマニア中央部はトランシルヴァニア地方と言われ、ドイツ系住民が植民しました。そのため旧市街はドイツとよく似ており、ホステルではドイツ人カップルと過ごしました。
彼らとシビウにあるバーに行きましたが、置かれていたビールはすべてドイツビールでした。
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とは言っても、ドイツと比べると素朴な雰囲気が漂います。プロテストント教会の前では定期市が行われていました。売り子さんに聞くとルーマニア産のおすすめはチーズとハチミツとのこと。
実際にハチミツを購入しましたが、甘くて濃厚。アツアツのトーストとの相性は抜群でした。
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訪れた季節は11月だったので、紅葉も美しかったです。シビウには大学があるため、学生が椅子に座ってのんびりと紅葉を眺めていました。