旅する前に「信頼の貯金」を貯めておけ
前田:旅人にとって、「帰国後の生活」は気になるポイントだと思います。帰国後に再就職したり起業したりするために、旅に出る前や旅の間に準備しておくべきことはありますか?
高原:僕は、旅を「旅前」「旅中(たびなか)」「旅後」という3つのフェーズに分けています。「旅後」を考えるにあたって一番大事なのは「旅前」ですね。
前田:「旅前」には何をすればいいですか?
高原:信頼の貯金をためておくことです。お金を貯めるのではなく。
前田:リアルですね!
高原:帰国したときにどれだけの人に助けてもらえて、応援してもらえるかが物を言います。
前田:旅中は何をすればいいでしょうか?
高原:旅中は、目いっぱい旅を楽しみましょう。旅前に準備をし、旅中は仕事を忘れて楽しんで、旅後に備えるのがよいと思います。
前田:信頼の貯金はどうすれば貯まりますか?
高原:一生懸命頑張る、これに尽きますね。言い訳せず、目の前のことに取り組むこと。いろいろな人が成長の機会を与えてくれるはずですから、それに対して120%で返しておくこと。
前田:結果を出すことですね。
高原:そうです。加えて、友だちとの約束を守ること。遅刻しないこと。「約束を守る、きちんとした人だ」と認識されることが重要です。
日本人にとって、1年単位で旅に出るのはレールを外れる行為です。でも、その人個人に信頼の貯金が貯まっていれば、心配ありません。
前田:旅に出ることを躊躇する人の多くは、帰国後の生活が不安なようですね。その気持ちもよくわかります。
高原:気持ちはわかりますが、日本にはたくさん仕事があるんだから心配ありませんよ(笑)。コンビニのバイトでも、1時間働けば1,000円もらえます。それを一生懸命続ければ、やがて店長になれるかもしれない。
前田:そう考えると気が楽になりますね。
高原:それでも不安なら、手に職をつけるのが一番いいですよね。エンジニアでも、ライターでも、眼鏡職人でもいい。職人的な仕事の経験を積み、帰国しても常に仕事がある状態にしておければ安心です。
前田:まさにそうだと思います。ありがとうございました!
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text:西嶋結
photo:長沼茂希