治安も良く、人も優しく、外国人観光客も多く訪れるミャンマー。今回は、そんな朗らかなイメージの仏教国・ミャンマーの小さな村で開催される「タウンビョン精霊祭」についてご紹介します。
「ミャンマー全土からオカマさん達が大集合する」という事前情報だけで向かった、謎のお祭り。これを読めばあなたもきっとタウンビョン精霊祭に行きたくなるはず!
ミャンマーのマニアックなお祭り「タウンビョン精霊祭」とは
photo by SHIHO
「タウンビョン精霊祭」とは、ミャンマー全土に根付く土着信仰「ナッ信仰」のお祭りです。
「ナッ」という言葉単体で、精霊や死霊、祖先の霊などの「神様」を表しますが、ここでは分かりやすいように「ナッ神」と表記させて頂きます。
ナッ神信仰は、ミャンマーに仏教が広まる以前からある神道のようなものですが、ナッ神は人々の守護霊でありながらも、お祈りやお供えを怠ったりすると厄災をもたらすという、ちょっと怖い神様でもあります。
ミャンマーでは時折、このナッ神を祀る祭祀が開催されるのですが、中でもマンダレー郊外のタウンビョン村で行われる「タウンビョン精霊祭」は、国内から何万人もの信者が集まるビッグ・イベントです。
そして、この祭祀には、ナッ神を憑依させるという「ナッカドー」と呼ばれる霊媒師が沢山集まるのですが、霊媒師はなぜかオカマさんが多いとのこと。
「タウンビョン精霊祭はオカマがいっぱい集まって来るオカマ祭りだよ!」と現地の人に教えてもらいました。精霊祭にオカマ。全く通じ合わないようなフレーズが出てきましたが、そんなお祭りを詳しくご紹介します。
祭り会場にはお菓子に帽子、美味しい朝食屋台に、手動の人力観覧車!
photo by SHIHO
タウンビョン村のお祭り会場では、様々な屋台が軒を連ねています。
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様々なお菓子が沢山量り売りされているのですが、どれもパサパサしていて甘く、もれなく口の水分を全部持っていかれます。
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この紙で作られたカラフルな帽子は、小さい子供が被っているのをよく見かけました。
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何軒か食事が出来る屋台もあります。
上の写真は、ミャンマーでは朝食としてよく食べられる揚げパンとミルクティー。練乳をたっぷり入れた紅茶に、揚げパンを浸して食べるのがミャンマー流の食べ方です。
人混みを掻き分け、奥へ進むと、移動式遊園地がありました。乗り物は数個でそれほど規模は大きくはありません。
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この観覧車は、よく見ると……
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人力です!
制御装置のようなものは一切無く、リーダー格の男性が吹く笛の音を合図に、数人の男性がダーッ!と観覧車をよじ登って行き、その重量で観覧車が動き出すという、何ともアナログな方法。
しかも、動き始めは景色を楽しむどころか、若干酔ってしまうほどの勢いで回ります。止め方は自然の流れで、勢いが無くなったら止まるという仕組みなので、何周もします。
観覧車自体が小さいので景色を見ることができても、かなり低い位置です。
photo by SHIHO
移動式遊園地なので、お祭りの際に必ずあるとは限りませんが、もしあれば是非チャレンジしてみて下さい。
夜の遊園地はカラフルな電飾でピッカピカ!日中は暑いため、遊園地は夜の方が賑わっていました。
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タウンビョン精霊祭のメインイベントはお金をバラ撒くこと!
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タウンビョン精霊祭ののメインとなるイベントは、「とにかくお金をバラ撒く」ことです!
ナッ神が祀られている祭壇のような場所の前には、フェンスが設けられ、その中で賑やかな音楽の中、霊媒師「ナッカドー」が踊りながらお菓子や「お札」をバラ撒きます。
お札をバラ撒くのは、霊媒師から受け取ったお金は、縁起がいいものとされているからだそうです。
お札に群がる人々 photo by SHIHO
お札と言っても、ミャンマーには硬貨が無いので、バラ撒いているお札は日本円で5円~20円程度の小額紙幣ですが、フェンスの中にいる人も外にいる人も、霊媒師がお札をバラ撒く度に身を乗り出して、必死の形相で奪い合っています。
登場した霊媒師は事前情報通り、全員オカマさんでした!
お札をバラ撒く霊媒師達 photo by SHIHO
ちなみに霊媒師がバラ撒くお金は、信者が喜捨したものです。
しかし、お札が空を舞っているわ、フェンスから遠くにいる人は、片手に草を持って踊っている人いるわで、その光景はなかなかのカオス。
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普段穏やかなミャンマー人しか知らなかった私が「え、ミャンマーってこんなだったけ……?」と困惑してしまったほどなのですが、俗っぽいのになぜだか一緒に陶酔してしまうような、そんな雰囲気もあるから不思議です。
当時のカオスぶりな動画があるので是非どうぞ。
この「霊媒師が踊りながらお金をバラ撒く」というのは、メインとなっている寺院の他、タウンビョン村のいたる所で行われているので、行かれる方はぜひ会場の外にも足を運んでみて下さい。
大体が屋外に設けられた祭壇のような場所で行われているので、誰でも観ることができます。
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タバコをぷかぷか吸いながら、時に激しく、時にしなやかに踊る霊媒師(オカマさん)。踊っている最中の霊媒師は、一応ナッ神が憑依しているらしいです。
これが「ナッ神」だ!札束バラ撒き祭りにいざ参戦
このお祭り自体、アイドルのコンサート並みにたくさんの人が参加しているのですが、御神体である「ナッ神」周辺は特に人だかりが凄く、なかなか近くで見ることができませんでした。
偶然仲良くなったミャンマー人の家族に連れられ、ようやく見ることができた二体のナッ神は、花や食べ物等多くの供物に囲まれ、黄金色に輝いていました。
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ナッ神を見た後は、いよいよフェンスの中に入ってお金バラ撒き祭りに参戦です!ジャンジャカジャンジャカ、かなりけたたましい音楽と共に、霊媒師(オカマさん)が登場。
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霊媒師は何人も入れ替わり登場するのですが、皆一様に白塗りに真っ赤な口紅とかなり濃い化粧をしていて、非常にインパクトが強いです。
霊媒師はオカマさんが 「多い」と聞いていたのですが、私がタウンビョン村で見たナッカドーは 「全員」オカマさんでした。
霊媒師は、ナッ神が鎮座する祭壇の前で何やら儀式のようなものを行い、いよいよ私達の眼の前に。そして、札束の入った金色の壺から、勢いよくお札をバラ撒く霊媒師。
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初めこそ「いやいや、10円前後のお金くらい、地元の人にお譲りしよう」と思っていた私ですが、本能って怖いですね。しっかり地元民に混じってお札の奪い合いをしてしまいました。
まぁ、ここまで来てお祭りに参加しないのも申し訳ないですから……。
夜通し続くミュージックショー。一体いつ終わるの?
お金バラ撒きタイムは夜から行われ、昼の境内はダンスフロアと化しています。
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みんな音楽に合わせて手足をピン!と伸縮させる、何とも独特なダンスです。
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大型テント中にある特設ステージでは、夜10時頃から音楽ライブ等も開催されていました。
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ミャンマーのアイドルや、演歌歌手、お笑い芸人まで、次々と登場。
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オカマさん達の寸劇のようなものもあります。
タウンビョン村に集まるのはオカマさんの霊媒師だけではなく、一般のオカマさん達も集まります。人が多い日中はあまり目立ちませんでしたが、夜になると沢山のオカマさんとすれ違いました。
ちなみに、夜10時頃から始まったこの音楽ライブは、深夜3時になっても終わる気配を見せず。私は途中でギブアップしたのですが、どうやら朝まで行われていたそうです。
別会場で行われているお金バラ撒き祭りも夜を徹してドンチャンやっているにも関わらず、みんな朝は起きるのが早いので、ミャンマー人の体力が計り知れません。
お祭り期間中は地元の人と寺院で3泊。お世話になった一家とのお別れ
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タウンビョン村は、田んぼや畑が広がる小さな田舎の村なので、ゲストハウスやホテルはありません。
しかし、ミャンマー全土から多くの信者が集まるため、お寺の境内には地元の人が自分達で持ち寄ったゴザやビニールシートが敷かれ、宿泊専用スペースになっていました。
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私はお祭り期間中、バガンから来たという女性だけのミャンマー人家族と一緒に、寺院の境内で3日間寝食を共にしました。宿泊専用スペースと言っても「ここで寝ていいですよ」と許可しているだけなので、当然布団などの設備などは一切無く、床は大理石のような素材で固く冷たいです。
寝る時にはミャンマー人家族がシーツを貸してくれ、昼寝をしていると、仲良くなった女性がうちわで仰いでくれたりもしました。一緒にご飯を食べたり、踊りに行ったり、とにかく3日間非常にお世話になったのです。
英語も通じず、ミャンマー語も話せない私に、そのミャンマー人家族はとても親切にしてくれ、言葉は全く通じないのに、お別れの時にはお互い号泣してしまいました。
バスに乗り込む家族を見送る時、踊り好きのひいおばあちゃんが、泣きながらも手を振り踊りながらさよならを言ってくれたのが、今でも忘れられません。小さな村だからこそ出会えた、大きな奇跡だったかのように思えます。
タウンビョン精霊祭概要(期間・アクセスなど)
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お祭り期間中はマンダレーからタウンビョン村まで、バス一本で行けるので、行き方はそれほど難しくありません。バス乗り場は、地元の人に聞けばみんな知っているでしょう。
基本的に治安のいい場所ですが、人が多いのでスリや置き引き、女性の方は痴漢にも注意しましょう。
・名称:タウンビョン精霊祭
・開催場所:ミャンマー,タウンビョン村
・アクセス:マンダレー市内から、ピックアップ(バス)で約50分。村近くは渋滞する。
・開催時期:8月の満月の日前後
・開催期間:5日前後。満月の日の数日前に始まり、満月の日が近付くと人も減っていく。
・入場料:無料
・持ち物:日焼け止め、虫よけ(蚊やハエが多い)、マスクかバンダナ(砂埃がすごい)、宿泊するなら寝袋や、水浴び用のロンジーや濡れてもいいワンピース等
ミャンマー人とも仲良くなれる!タウンビョン精霊祭
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美しい寺院や自然など、観光名所の多いミャンマー。もっとミャンマーのことを知りたい、地域に密着したお祭りに行きたいという方にはこの「タウンビョン精霊祭」は特ににおすすめです。外国人観光客はほとんどいないので、ここにいるだけで人気者になれます!
ミャンマーは奥ゆかしい人が多いので、あまりガツガツ来る人は少ないですが、自分から飛び込めばすぐに仲良くなれること間違いなし。
濃い化粧を施したオカマさん達、空を舞う札束、それに群がる人々。タウンビョン精霊祭に行って、いつもとちょっと違うミャンマーの人々と出会ってみませんか?