ライター
とぐちみか フリーライター

2017年3月までTABIPPOインターンとしてメディア事業部のライター/編集者、その後プロダクト事業部ではPR/制作を担当。生活史、人類学、路面電車、古道具、犬、旅、犬をこよなく愛してます。

いま、あなたが「サラリーマン」であるならば、「サラリーマン」になった理由について答えられるでしょうか。おそらく、多くの人が答えられないかもしれません。なぜなら「その道を選ぶのが当たり前」だと思っているからです。

ほとんどの人が「当たり前のように高校や大学を卒業して、何も考えずに就職し、なんとなくサラリーマンになっている」かもしれない日本。約3ヶ月間の週末だけで世界一周を遂げたリーマントラベラーの東松さんも、そのひとりでした。

 

しかし、今や「サラリーマンこそ最強の職業だ」と語る東松さん。なぜ、その言葉と出会うことになったのでしょうか。

今回は、6月12日発売の『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(著:東松 寛文 / 河出書房新社)の出版を記念して、TABIPPO.NET編集長を務める前田塁との対談企画を実施。著書を出版するに至ったきっかけやタイトルに込めた想い、そして今後の展望などについて伺いました。

 

対談者プロフィール

東松寛文
平日は激務の広告代理店に勤務する傍ら、週末で世界中を旅するサラリーマン。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇。「週末だけで世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選出される。TVや雑誌等のメディアにも多数出演し、CLASSY.等でも連載中。

 

前田塁
世界一周中に出会った友人と旅人を増やす会社を起業して4期目。40ヶ国訪問、世界二周して、ワークライフカオスに生きてます。Webメディアの運用と開発が得意なハイブリッド型編集長で、次の夢は宇宙飛行士です。

 

3ヶ月間の週末と貯金の使い方を変えただけで、人生が変わった

前田塁(以下、前田):この度は『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(著:東松 寛文)のご出版、おめでとうございます!まずは、今回東松さんが本を出版するに至ったきっかけについて教えてください。

東松寛文(以下、東松):ありがとうございます!

今回出版を決めた理由は、僕のようなサラリーマンでも目の前にある「貯金」と「週末」の使い方を変えるだけで人生は変えられる、ということを多くの方々に知ってほしいと思ったからです。

僕は2016年に3ヶ月間の週末だけで世界一周を達成して以来、人生が大きく変わりました。

リーマントラベラーとして様々なメディアにも取り上げていただいたり、女性ファッション誌でコラム連載が始まったりと社畜寸前だった当時の僕には考えられないほど、様々な奇跡が起きたんです。

 

前田:今はいろんなメディアに引っ張りだこの東松さんですが、旅に出会う前はどんな生活を送っていたのでしょうか?

東松:旅に出る前の僕は、当たり前のように高校や大学を卒業して、当たり前のように就職し、仕事のために週末を消費する生活を送るような、どこにでもいるサラリーマンでした。

その中でふと旅の魅力に出会い、旅に生きたすぎるあまり休み方を変えたら働き方も自ずと変わり、働き方が変わると生き方まで変わったんです。

 

前田:その人生を変えた一歩というのが、「貯金と週末の使い方を変えたこと」だったんですね。

東松:最近は、「サラリーマン」を捨て、独立や起業する人も増えました。その中には成功して有名になった方もいます。でも、みんながみんな成功するとは限りません。サラリーマンとしての安定した生活を捨ててまで、自分のやりたいことや実力を信じるのは怖い。

でも一方で、これから技術が発展して人工知能に仕事が代替されうる時代になっていくなかで、会社ありきの自分ではなく、個人としての自分の付加価値を高めなければと思っている人も多いはずです。

そんな「悩めるサラリーマン」たちに向けた1つの解として、僕のような「自分のやりたいことをとことん週末と貯金を使って突き詰める」という生き方を伝えていきたいな、と思ったんです。

 

「サラリーマン1.0」=サラリーマンという道をなんとなく選んだ状態

前田:本のタイトルに「サラリーマン2.0」とありますが、そもそも「サラリーマン1.0」ってどんな状態ですか?

東松:「サラリーマン1.0」は「何も考えずにサラリーマンという生き方を選んだことに、気づいていない状態」だと思っています。

積極的にサラリーマンを選んだのではなく、なんとなくサラリーマンになり、なんとなく仕事をこなして生きている。そして、そのことに疑問を感じていない状態。でも、これってほとんどの人が当てはまっていることだと思うんです。

多くの日本人が義務教育を受け、成長を重ねていくと当たり前のように就職していく中で、むしろ疑問を感じる方が難しい。

実際、僕も就職したとき何も考えずに「サラリーマン」という道を選んでいましたし。

 

前田:就職をする/しないの選択というよりも、もはや「どの会社に就職するか」っていう選択しか頭の中にないですよね。

東松:そうなんです。ただ、何も考えずにサラリーマンになっている場合って、積極的にその道を選んだわけじゃないから「仕事をやらされている」っていう受け身の感情を生み出しやすいと思っていて。

仕方なく仕事するから、やる気は出ないし、生産性は上がらない。それでも仕事は終わらないから疲ればかり溜まって、休日は寝溜めするだけ。僕もそうだったように、会社や仕事を軸に自分の時間の使い方を決めてしまっているサラリーマンって多いと思います。

 

「サラリーマン2.0」=積極的にサラリーマンという生き方を選び、自分らしい生活を送っている状態

前田:せっかくの自分の人生なのに会社が判断軸になってるって、本当にもったいないですよね。

東松:そんな受け身の「サラリーマン1.0」から抜け出したのが、今回のタイトルにある「サラリーマン2.0」です。

自分のやりたいことが明確になっていて、積極的にサラリーマンという生き方を選んでいる状態。自分のやりたいことを軸に、自分の人生や仕事、会社を考えた選択ができるような。

前田:そんな「サラリーマン2.0」になるためには、何が必要なんでしょうか?

東松:週末や貯金の使い方を「決めること」ですね。

前田:決めること、ですか。

東松:いま日本では「働き方改革」が注目を浴びていますが、実際「働き方を変える」ってルールや制度に委ねられてしまうもの。会社が変わらない限り、自分も変えられないんです。

だったら、いま与えられているものの使い方をまずは見直してみる。それから、自分の人生のためにどう使うか決めて、行動することが、僕たちサラリーマンの人生を変えられる1つの方法だと思うんです。

 

前田:とある有名な実業家の方の「人生にはポチり力が必要だ」という言葉を聞いたことがあります。最後のボタンを、押すか押さないかの1秒で人生は変わる、と。

東松:僕の場合、5年前にアメリカのプロバスケットボールリーグのNBAチケットをポチったことから人生が変わりましたね。もう何も考えずに、ノリと直感だけでボタンを押していました。

当時は忙しい時期だったので、休みをもらえるかなんてわからない状況でしたが、1枚あたり数十ドルだったので、もしも行けなくても損はするけど死にはしない。だったら、まずはチケットを手に入れて、そこからどうやって上司を説得するか考えていけばいいや、と。その初めての一人海外旅行から、リーマントラベラー生活が始まりました。

 

前田:サラリーマンにとって、問題は「時間」ですよね。時間がないからできないって思ってしまう人も多いと思います。

東松:できない理由を並べる前に、まずは「やる」って決めてそこから方法を見つけ出していけばいいんです。

きっと多くの人は、本当にやりたいって心から決めたことに対して、普段では考えられないくらいの熱量を発揮できるものだと思うから。

僕が「週末だけで世界一周」をしたいと思い立ったときも、今まで歩いてきた社会のレールからはみ出る気がして不安だったのですが、その不安を払拭するために、20日間で120人もの知り合いに声かけてプレゼンしました。そのときの熱量は、当時だからこそ生まれたものだと思っています。

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とぐちみか フリーライター

2017年3月までTABIPPOインターンとしてメディア事業部のライター/編集者、その後プロダクト事業部ではPR/制作を担当。生活史、人類学、路面電車、古道具、犬、旅、犬をこよなく愛してます。

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