旅といえば世界の絶景を見たり、たくさんの出会いがあったりと、実に様々なイメージがあるでしょう。では、「旅には一体どのような意味があるのか」、という問いを考えたことはありますか?
初めまして、塩飽 泰啓です
photo by Yasuhiro Shiwaku
初めまして、塩飽 泰啓です。現在、僕は国際基督教大学大学院修士過程に在籍し、文化人類学の観点から日本人の「世界一周」の旅人たちをテーマに研究をおこなっています。
今回、挑戦している学術系クラウドファンディングプロジェクトの紹介に際して、僕が「世界一周」の研究をすることを決めた経緯について説明させていただきます!
なんで旅の研究してるの?
photo by Yasuhiro Shiwaku
僕自身も以前、学部生のときに休学を経験し、旅人の一人として世界各地をふらふらと旅していました。その中でいろんな絶景を見たり、いろんな人に出会ったりしましたが、中でも印象的だったのが、日本人で「世界一周」している人がすごく多かったことです。
それはもうあちこちで出会うので、「こんなにたくさんの日本人が世界一周してるんだ!すげぇー!」となる訳です。でもそこでふと頭に浮かんだのが、「あれ…なんでみんな世界一周してるんだ?」という問いでした。
この問いがきっかけで、僕は大学の卒業研究のテーマを「世界一周」にしました。しかし、それでは飽き足りず、「まだまだ旅人の世界を知りたい」という想いから、卒業後は大学院に進学し、研究を継続することにしたのです。
人類学ってなに?
人類学と聞くと、「アウストラロピテクスとかの化石を彫り探してそう…あと原住民?」みたいなイメージをする方が多いと思います(笑)。
もちろん、それも人類学です。しかし、実際の人類学とはかなり幅広いフィールドを対象とし、それこそ「人」に関わることを学ぶのであれば、すべて人類学になりうるのです。
その対象は「旅人」も例外ではありません。旅する人々たちは、旅の最中にどういう行動をしているのか、旅を通してどんなことを思っているのかということを分析することで、どういった価値観を共有しているのかなどを知ることができます。こうした「旅人」など、特定のグループ内で共有されている価値観を学術的に解釈することが、人類学の目的です。
僕が人類学を選んだ理由
photo by Yasuhiro Shiwaku
実は僕、以前は哲学と宗教学を専攻していました。そもそも「人の価値観」や「他人の考え方」というものに興味を持っていたのが最初です。しかし、結局そこで学んで気付いたのは、「人の価値観」よりも「他人はこう考えてるって思いたい自分」がいることでした。