photo by Tomoya Yamauchi
ちょうどこの時期は、松の実が取れる季節でした。トナカイに乗って山の高地まで行き、松ぼっくりを集め、中の実を取り出します。実を集めて販売することで現金収入を得ているようです。
私も「その仕事一緒に手伝わせて下さい!」と、一緒にトナカイに乗ってその仕事を手伝ってきました。初めての乗馬ならぬ乗トナカイです。トナカイの乗り心地はロバのような、馬よりも安定した感じで、操り方は馬と同じでした。
松の実の集め方は極めてシンプル。長い木の棒で枝を揺らして松ぼっくりを落とす。落ちてきた松ぼっくりを袋に詰める。斧で松ぼっくりをつぶして実を取り出します。
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実を取り出すとき、松脂がついて手がネバネバになって洗い落とすのが大変でした。最後にふるいにかけて、松の実と皮の部分を分けます。一緒に仕事をすると、彼らの一員になれたようで嬉しく、彼らとの距離も一気に近づきました。
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子どもたちは遊ぶのが大好き。大自然の中で走り回ったり、トナカイをからかって遊んだり、元気いっぱいです。こんな風に普段から人間に慣れているからでしょうか?トナカイたちは非常に大人しく、彼らは手づかみでトナカイを捕まえたりしていました。
そんなかわいい2人のおちびちゃん達ももうすぐ小学校にいく年頃。ツァガヌールで学ぶために、彼らは学校の寮に住みながら勉強するそうです。
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彼らの遊牧生活に欠かせないのが、「タイガ」の豊かな自然。山の上流から流れてきている川の水はそのまま飲めるため、飲料水や調理用に使います。
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トナカイの主なエサは草のほかにコケだそうで、周囲を歩き回っていると地面にはたくさんのコケが生えていました。またトナカイをつないで樹皮を食べさせている姿も。
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ツァータンの人々は、トナカイの食糧を求めて年に何回も移動を繰り返すそうです。コケは生長が遅く、一年に数センチしかのびないため、何度も移動の必要があるのだとか。
代々受け継がれてきた伝統的な暮らしに感銘を受けますが、今では40家族ほどしかトナカイを放牧する伝統的な暮らしを継続していないようです。
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環境保全のための政策により、野生動物の狩猟が禁止され、立ち入り禁止になった放牧地もあるとのこと。これまでの自給自足の暮らしも難しくなり、時代の流れと共に彼らの暮らし方も変わっていかざるをえない運命にあるのかもしれません。
簡単には出会えないツァータンの人々 許可証を取得しツアーで
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私の場合は幸運にも個人旅行でツァータンに出会うことができましたが、通常はツアーに参加、あるいは旅行会社の助けが必要になります。その理由は3つあります。
第1の理由:ツァータンはタイガの森の中を移動し続けながら移動しているので、彼らがどこに滞在しているか知ることが、非常に難しいということ。
第2の理由:私の経験ですが、ツァータンが滞在している地域までは湿地を越えなければならないため、徒歩で越えることは非常に厳しく、馬が必要なこと。
第3の理由:ツァガヌールの地域はロシアとの国境に近いため、許可証がなければ滞在できません。そしてこの許可証をとるためには、旅行会社やガイドの署名が必要で個人での取得は簡単ではないのです。
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個人でツァータンに出会う旅をするとすれば、まず彼らの現在の滞在先を知るために、地元民のガイドが必要でしょう。そして馬を借りる必要があります。そして許可証をツァガヌールにある軍施設で取得と、少し難易度が高くなります。
一番簡単な方法は、モロンやウランバートルから個人ツアーを手配することでしょう。2泊3日からホーストレッキングでツァータンを訪れるツアーを手配している旅行会社もいくつかあります。
おわりに
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数日間の滞在後、仲良くなった彼らと別れを告げ、また同じ道を辿ってツァガヌールに帰りました。彼らと共に過ごせた時間は一生の思い出です。
モンゴルを離れた今では連絡を取ることも難しいですが、いつかまた彼らと出会えることを願っています。おちびちゃん達はどのような将来を選ぶのでしょうか。