ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

国内の音楽フェス情報サイト「Festival Life」を運営し、年に30〜40ほどの国内外のフェスに参加するという津田昌太朗さん。4月24日、いろは出版より『THE WORLD FESTIVAL GUIDE 海外の音楽フェス完全ガイド』を出版されました。

今回は、TABIPPO.NET編集長・前田塁との対談という形で、「旅好きのための海外フェスの楽しみ方」をテーマにお話をうかがいました。

津田昌太朗さん

1986年兵庫県生まれ。大学卒業後、広告代理店に入社。「グラストンベリー」がきっかけで会社を辞めイギリスに移住し、海外フェスを横断する「Festival Junkie」プロジェクトを立ち上げる。現在は、日本国内の音楽フェス情報サイト「Festival Life」、海外フェス情報サイト「feslavit」を運営しながら、雑誌連載やラジオ番組のパーソナリティなど、フェスカルチャーをさまざまな角度から発信し続けている。ワタナベエンターテインメント所属。Instagramアカウントはこちら

 

前田塁

1987年、大阪府生まれの三重県育ち。株式会社TABIPPOでWebメディア「TABIPPO.NET」の運用と開発が得意な編集長やってます。慶應義塾大学卒、ニューヨーク交換留学、大阪ガス、オプト勤務を経てTABIPPOを創業しました。

52ヶ国訪問、世界二周して、ワークライフカオスに生きてます。最近はWebメディアの仕事以外にも、コンサルやったり、ラジオのパーソナリティーしてますが、次の夢は宇宙飛行士です。

Twitter:@NY_ruisu
ブログ:Work Life Chaos

 

訪問する国に3つの目的をつくる

前田 塁(以下、前田):ご出版、おめでとうございます!今回の書籍は海外フェスをまとめた本だと聞いていますが、具体的にはどんな本ですか?

津田昌太朗さん(以下、津田):海外フェスをがっつり紹介した本になっています。会場や食事、チケットの取り方などといった一般的な情報を網羅しつつ、それぞれのフェスの楽しみ方も紹介しながら、「このフェスに行ったらついでにこの街の音楽スポットも旅してみよう」など、音楽好きのために、オリジナルの旅プランを提案しています。

前田:フェスと旅、両方を好きな津田さんだからこそ書けた本ですよね!フェス好きにも旅好きにもうれしい一冊です。

津田:そんな一冊に仕上がっていると思います。海外フェスはもちろん楽しいけど、旅の目的がフェスだけだとちょっともったいない。フェス+αとして、街で人と触れ合ったり、いろんなスポットをまわったりすることが人生を豊かにすると思っています。

日本の「SUMMER SONIC」のように、1日だけ参加しても楽しいような都市型フェスも、世界中にたくさんあります。だから、数日間の滞在の間に1日だけフェスの予定を入れてみるのもアリかなと。

前田:フェスを観光地のひとつとして、旅程に組み込むんですね。

津田:そうですね。行く国に3つくらい目的があるといいと思っていて。たとえば「行ってみたいお店がある」「食事がおいしい」「有名なフェスがある」みたいな。

前田:3つ目的があると、かなり強い動機になりますよね。フェスを旅のハイライトとして位置づけるのもいいかも。

僕は今月からしばらく東欧を回る予定なんですが、ちょうどその時期にウィーンでONE OK ROCKのライブがあるんですよ。日本だとなかなかチケットが取れない人気バンドですが、今回のライブはまだ席があったので、せっかくだから行ってみることにしました。ライブに照準を当てて旅程を組んでいければなと。

津田:おお、僕が理想とする旅の仕方!

 

会社員にはアジアのフェスがおすすめ

前田:津田さんは海外のフェスと日本のフェス、両方に行かれていますよね。そんな津田さんにとって、海外のフェスと日本のフェスの違いはどこにありますか?

津田:日本でも海外でも100以上のフェスに参加してきたけれど、日本のフェスは独自の進化をしていてとても面白い。特にファッションは日本独特で、日本人らしい準備の良さにはやはり驚かされることが多い。逆に海外フェスはいろんな意味で適当で、「この人、雨が降ったらどうするんだろう」って格好の人の方が普通で、格好以外も羽目の外し方が見ていて気持ちいい人が多い(笑)。

あと以前住んでいたイギリスは、特にフェスという文化が生活に根付いている感じがあるかな。夏が短くて冬が長いイギリスの気候が背景にあると思うだけど、イギリス人は、夏に野外で遊ぶことの喜びをかみしめている。夏に野外で遊ぶ――その究極系がフェスなんだと思うんです。

日本人は、アーティストをちゃんと「見て」聞いている。一方の海外フェスだと、羽目を外して大きい声で歌っていたり、演奏中でも大きい声で喋ったり、お酒を飲んだりしながら楽しんでいる人が多い。どっちが良い悪いはないけれど、明らかにライブのときの雰囲気は違いますね。

前田:そう聞くと、海外のフェスもすごく楽しそう!とはいえ、普通に働いていると、なかなか数日かけてイギリスのフェスに行くことってできないですよね。そんな人には、どこのフェスがおすすめですか?

津田:アジアで開催されているフェスなら週末だけでも参加できるのでおすすめです。特におすすめしたいのが、11月に香港で開催される「Clockenflap」(クロッケンフラップ)。香港だから日本から3~4時間で行けるうえ、都心のど真ん中の公園で開催されるというアクセスの良さがポイントです。


Clockenflap Music and Arts Festival
photo by Chris Lusher

前田:たしかに香港だと、有給休暇を取らなくても十分楽しめそう。

津田:しかも香港って、セントラルの駅からエアポートチェックインできる。電車の駅で飛行機に載せる荷物を預けた後にフェスを楽しんで、夜は街で遊び、手ぶらで空港に向かえばいい。滞在は1~2日でも十分。

前田:それは便利!出演するのは、地元のアーティストばかりですか?

津田:日本人のアーティストも出演します。日本人アーティストを海外フェスで見ると、新しい魅力に気づけるんです。言葉が通じず、さほど知名度もない海外で、どう戦っているのか――そんな一面を覗けるのも、海外フェスならではの楽しみ方だと思っています。

前田:なるほど、通っぽい楽しみ方ですね。

津田さん、僕にも何かひとつフェスをおすすめしてもらっていいですか?実は僕、まだ一度もフェスに行ったことがなくて。今まで50か国以上を旅していますし、海外留学の経験もありますが、フェスは素人で……。

津田:前田さん、冬にアイスランドを旅されていましたよね?申し訳ないけど、もう一回アイスランドに行ってもらおうかな(笑)。

前田:えっ!世界一周中とこの前の冬、もう2回もアイスランドに行ってるんですが。

津田:11月に「Iceland Airwaves」(アイスランド・エアウェイブス)っていうフェスがあって、これが楽しいからぜひ行ってほしい!首都・レイキャビクの街にあるレコード屋やブティックが全部バーとかライブ会場になるんです。ブティックのショーウィンドウなんかで演奏するから、街を歩いていると常に3パターンくらいの音が聞こえる状態。あと6月の夏至のタイミングで「シークレット・ソルスティス」というフェスもやっていて、これは白夜の中でライブが楽しめます。

前田:へえ、そんなにすごいフェスがあるなんて知らなかった!レイキャビクの家って蛇口から温泉が出るから、Airbnbすれば、フェスで疲れた体を癒やせますしね(笑)。

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西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

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