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小林邦宏 フリーランス商社マン

月に1回世界一周するフリーランス商社マン。1977年東京都出身。大手総合商社を経て、2005年に株式会社グリーンパックス設立。これまでに訪問した国は100カ国以上。現在も、50か国程度と取引をしている。大企業が手掛けないようなニッチなビジネスを得意とし、眠っているビジネスの種を探して日々世界を飛び回る。世界の花屋チーフバイヤーとしてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』・NHK「あさイチ」など、テレビ・ラジオ出演多数。 著書『なぜ僕はケニアのバラを輸入したのか』(幻冬舎)

こんにちは。小林邦宏です。私の自己紹介は「毎月1回世界一周をしながら働く、フリーランス商社マンの生き方とは!?」からご覧ください。

連載第一回は、ケニアを取り上げます。知られざる世界のバラの開発最前線ケニア・リフトバレー。ここで育つ素晴らしい花と旅についてお話したいと思います。

力強いバラが育つリフトバレー

みなさん、アフリカというとどんな景色を想像されるでしょうか。恐らく、ほとんどの人が想像するのがサハラ砂漠のような殺伐とした景色ではないでしょうか。

ケニアにも、もちろんそういうエリアはあります。ただ、今回のお話の舞台・リフトバレー(Rift Valley)は首都ナイロビをはじめ、緑あふれる美しいエリアなのです。


リフトバレーの景色

ここリフトバレーは赤道直下の高原地帯。強い陽射しですが、一年を通じて暑すぎず・寒すぎずのバラにとって最適な気候なので、力強い最上級のバラが生まれます。見てください、この大きさ!

そして、僕の身長を超す高さで咲き誇る力強さの半端ないバラ。

ケニアでの運転は難しいので、専属ドライバーに一任

ところで、僕の旅の相棒をご紹介したいと思います。運転手のワシントンです。

彼との付き合いはもう6-7年でしょうか。本職はサファリドライバーのワシントン。実際、マサイマラなどで動物を見つける能力はピカ一。

そして、僕の仕事でも本当に頼りになる男です。ケニアのバラ農園は基本的に地方部の郊外、時には道なき道を進むことも。そんなとき、ワシントンのとんでもない記憶力の良さに助けられます。

一度行ったところは絶対に間違えない。なので、行き先さえ言えば、あとは車内で不安なく仕事をさせてもらうことができるのです。たまに車が壊れるのが、まあ、これもケニアらしさですね!(笑)


故障トラブルも、ケニアあるある

アカシアの並木道や道端の露店がおすすめ

さて早速、旅をスタートしましょう。まずは、首都ナイロビから北へ。元々、ケニアのバラ栽培はナイバシャ(Naivasha)という町を中心に発展してきました。今でもナイバシャには、たくさんのバラ農園が存在し、幹線道路からもグリーンハウスが散見されます。

現代のケニアのバラ産業はここが始まりなのです。ナイバシャの標高は約1,900m、ここからリフトバレーをジワジワと上っていき、最終的には標高2,400m前後を目指します。

ここで、ナイバシャで早速旅の楽しみを2つ。まずは、ナイバシャから隣町ギルギル(Gilgil)へ続く美しいアカシアの並木道!

ここは、僕がケニアで最も好きな場所かもしれません。アカシアの木自体はアフリカでもよく見かけるものですが、ここケニアで見るアカシアは黄色というより黄金色とも言えるほど本当に美しい。

やはり、赤道直下の強い紫外線がそうさせるのでしょうか。この並木道を眺めるだけで、ケニアに来た甲斐があったと思わせるほどです。そして、道端の露店もちょっとしたお楽しみ。

その時その時、季節のフルーツをおやつ代わりにいただきます。このフルーツ、何だろう…。グレープフルーツのような清涼感があって美味しかったことはよく記憶しています(笑)。

日本円で30-40円程度。大らかで人生をエンジョイするケニアの人たちとの楽しい交流です。

東京ドーム25個分の巨大なソジャンミ農園!

さて、そんなわけで首都ナイロビから北へ車で4時間ちょっとの町・ンジョロ(Njoro)へ移動してみます。ここは標高は2,400m。

ここに、僕たちがお付き合いしているソジャンミ農園があります。その広さ、なんと東京ドーム25個分! そんなスケールでバラが栽培されているのです。まずはバラを見ていただくのが早いでしょう。

何とも美しい、そして世界でここでしか育っていないものもたくさん!

繰り返しになりますが、そして、とにかく大輪で茎も太い! 赤道直下の大地のパワーを感じずにはいられません。

そして、この力強さがお花の長持ちに繋がるのです。特に、“産地直送”の「世界の花屋」のバラならば、皆さんのお手元で10-14日間もつことも決して驚きではありません。

ソジャンミ農園を運営するのは、インド人のインダー・ネインさん(Mr.Inder Nain)。元々は紅茶栽培のプロとしてケニアに移ってきた彼ですが、その後に縁があって、ここンジョロでバラ農園を開業し、今に至っています。

インダーさんの強みは、とにかくユニークなバラを無数に持っていること。ケニアにはバラ農園が100近くあり競争も激しいわけですが、そんな中で差別化を図るべく、5年ほど前からオランダなどの世界的企業と提携し、たくさんの、“ここにしかないユニークなバラ”を育てています。

さて、そんなインダーさんの努力の甲斐あり、世界最大の花市場であるオランダ・アールスメール市場のバラのセリでは、ここソジャンミ農園のバラで人気トップ10に入る品種が多数。ヨーロッパを中心に、良質でかつユニーク・美しいバラのブランドとして有名なのです。

インダーさんが育てるバラの品種はなんと1,000種類。でも、実際のデビューするのは1年間でわずか10種類程度です。品種開発は本当にシビアです。

花だけでなく、人も育てる素晴らしい環境

ソジャンミ農園は、標高2,400m, 2,150m, 1,950mと3種類の異なる標高の農園を保有しており、標高を変えてみたり、土壌や水分量を調整してみたり。収穫したバラをベストな状態で送り出すことはもちろんのこと、一つ一つの品種を何とかデビューさせようと極限まで取り組める環境がここにはあります。

実際、農園を歩いてみましょう。印象的なのが農園で働く人々の笑顔。

実は、ケニアのバラの世界は、シリコンバレーのIT業界のようなところがあり、同業他社への引き抜きなどが日常茶飯事。でも、インダーさんの人に対するこだわりは、「引き抜きは一切せず、自社で育成する。そして、人種を問わず優秀な人材は引き上げていく」ということ。

そんな一人が、このウィンザー・アドヒアンボさん(Winzah Adhiambo)です。

元々は、グリーンハウスで収穫を担当する、言ってみれば一作業員であった彼女ですが、その真摯な姿勢が高く評価され、今では農園の包装場のマネージャーの要職へ。

シングルマザーである彼女は、ソジャンミ農園のおかげで家を建て、そしてお子さんも学校に進学できたとの話。

実際、僕もたくさんのケニアの農園を周ってきましたが、とにかく、ソジャンミ農園の素晴らしいところは、もちろんバラもそうですが、農園を支えるケニア人のスタッフのみなさんにあると言っても、過言ではありません。

どんな場所や産業でもそうですが、やっぱり、ビジネスは人で成り立っていることを改めて実感します。

ここを訪ねると、農園内のゲストハウスに1泊することがいつものコースですが、都会の喧騒から離れた静かな朝、外の景色を眺めながら静かにチャイを飲むひと時は本当に極上の時間です。

これまで数えきれないほど訪れているケニアですが、ケニアの醍醐味は郊外にあると思っています。ぜひ、いつかみなさんにも訪れてほしい場所です。

そして、もし「世界の花屋」でそんなバラたちを手に取ってもらえたら嬉しいです。きっとバラを通じてケニアへの旅気分が味わえるはずです。

次回の特集は「イスラエルの草花」の予定です。お楽しみに!

All photos by Kunihiro Kobayashi

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小林邦宏 フリーランス商社マン

月に1回世界一周するフリーランス商社マン。1977年東京都出身。大手総合商社を経て、2005年に株式会社グリーンパックス設立。これまでに訪問した国は100カ国以上。現在も、50か国程度と取引をしている。大企業が手掛けないようなニッチなビジネスを得意とし、眠っているビジネスの種を探して日々世界を飛び回る。世界の花屋チーフバイヤーとしてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』・NHK「あさイチ」など、テレビ・ラジオ出演多数。 著書『なぜ僕はケニアのバラを輸入したのか』(幻冬舎)

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