花之江河から500mほどで「黒味岳分岐(黒味分かれ)」に差し掛かります。
低木帯を分け入った先から、本格的な岩登りになっていきます。
急登の大岩などの要所に命綱のロープが吊るされています。
とはいえ、花崗岩は滑りにくいため、表面さえ湿っていなければ、ロープにしがみつくことなく比較的登りやすい印象です。
いくつもの難所を越え、黒味岳分岐からおよそ700m、とうとう黒味岳山頂(標高1831m)に到着。
途中の眺望もすばらしいのですが、やはり山頂から眺める360度大パノラマの展望は、苦労して登った甲斐ある最高のご褒美です。
北の方角に宮之浦岳、その奥に永田岳を望むことができますよ。
「ひと月に35日雨が降る」といわれる屋久島。
外界ではいつしか雨が降り始め、厚い雲に覆われた雲海の絶景を見下ろすことができました。その達成感とともに山の頂でいただくランチは格別のおいしさです。
黒味岳へのアクセスと注意点
黒味岳のスタート地点、「淀川登山口」まではバスおよび車でアクセスすることになります。
ただし、路線バスは1日に2本しか運行がなく、最寄りのバス停「紀元杉」(10:27着、14:37着)から登山口まで約1.7km(徒歩25分程度)離れています。さらに、戻りのバスは10:45発と14:55発のため、日帰りで利用するには少々ハード。
一方、レンタカーの場合は、登山口前に5~6台の駐車スペースしかなく、早朝で埋まってしまうことも。少し離れた場所に路駐できるスペースもありますが、それも限られているのでご注意を。
もっとも効率的で便利な交通手段はタクシーですが、安房からは片道およそ6000円ほどかかります。グループで割り勘にしても安くはない金額。行きはタクシーで、帰りは路線バスという組み合わせも可能ですね。
淀川登山口までには、紀元杉のほか、川上杉、ヤクスギランドなど見どころ満載です。時間が許す限り、ぜひ屋久島の魅力を味わい尽くしてくださいね。
おまけ:淀川で味わう“シシ神の森”のような風景
冒頭でも申し上げたとおり、淀川小屋の前を流れる淀川の美しさは屋久島屈指。そこにひとたび霧が立ち込めると、まるで『もののけ姫』のシシ神があらわれそうな、神秘的な水辺の風景が広がります。
白谷雲水峡とは一味違った『もののけ姫』の世界を堪能できること間違いなし!
ちなみに、淀川小屋の前には、まるでシシ神がデイダラボッチ(ダイダラボッチ)に変身するときのような、首を天高く伸ばした屋久杉があります。
屋久島に訪れた際には、ぜひ探してみてくださいね。
・名称:黒味岳
・住所:鹿児島県熊毛郡 屋久島町平内
・地図:
・アクセス:安房から車で約1時間、路線バス(屋久島交通)で「紀元杉」バス停まで約1時間+バス停から約1.7km(約30分)
・屋久島観光協会公式サイト:http://yakukan.jp/
All photos by Mayumi