Q. 住民票を抜くと税金はどうなるの?

前田

住民票を抜くと税金が安くなる!という話を聞きましたが、本当ですか?

先ほどもお伝えした通り、住民票と所得税は関係ありませんが、住民税とは関係します。個人にかかる税金には、大きく所得税と住民税があります。

住民票にかかわるのは住民税。住民票を抜いたからといって、すなわち「非居住者」にはならないので、所得税はかかりますが、住民税はかかりません。

河野先生

前田

なるほど!誤解していました。ちなみに、住民票は、抜きたければ抜いていいんですか?住民税の節約になると思うんですが。
抜いてもかまいません。ただし、国民健康保険などといった住民サービスは受けられなくなりますよ。そうしたデメリットを勘案したうえで、問題ないようであれば、ご自身で判断していただければよろしいかと思います。

河野先生

前田

住民税についてもう少し教えてください。税金の徴収は、前年の情報を基準にして行われますよね。

「大企業でバリバリ稼いだ人がフリーランスになって、昨年分の税金を払わなくちゃいけなくて大変!」なんて話をよく聞きます。その事態は、住民票を抜いておけば防げるということでしょうか。

そうですね。住民税は、「来年の1月1日にそこに住民票があるかどうか」で判断されます。住民票を抜いておき、帰国したタイミングで再び入れれば、住民税を取られることはありません。

ただしこれは、住民税の話ですよ!所得税はどうしてもかかってきます。

河野先生

Q. 海外から日本に納税する方法ってあるの?

前田

「居住者」は、海外にいても日本に税金を払う。これは理解できました。では、海外にいながら日本に税金を払う方法を教えてください。
実は、方法は何通りかあります。所得税は口座振替を登録しておくこともできますし、e-taxで申告をすれば、クレジットカードやオンラインバンキングで納税することもできます。住民税も口座振替、オンラインバンキングは可能です。

河野先生

前田

なるほど、これで海外からの納税の不安はなくなりました。

Q. 海外の企業からの仕事を受けた場合、納税先は日本?海外?

前田

「居住者」がアメリカの企業から仕事を受けたら、日本に税金を納めればいいんですか?

その通り、ただし、自動的にアメリカの企業に源泉徴収されている可能性はあります。一方、日本でも申告する必要がありますので、二重課税になってしまいます。

アメリカで源泉徴収されている場合には、二重課税を避けるため、日本の申告時に、一定の税額の控除がとれます。これは知っておいた方がいいでしょう。

河野先生

Q. 結局、どうすればいいの?

前田

つまり、1年以上帰国せず「非居住者」になり、住民票も抜く。こうすることが、最大の節税になると思っていいんでしょうか?
日本の「居住者」を対象とした高い税率の税金を避けるなら、それが一つの節税の形になりえます。ただ、その場合、どこかに拠点を設けるなら、その国の居住者となり、税金を納めるのが望ましい形だと思います。「どこかに税金を納める」というのが世界のルールですからね。

河野先生

前田

税金を納める先が日本か、別の国かということですね。疑問がすっきり解消されました!河野先生、ありがとうございました!

All photos by Shigeki Naganuma
Direction & Interview by Rui Maeda

ライター
yui ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。

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