ライター
さとり 外に出るオタク

京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

ホノルルマラソンやシェムリアップマラソンなど、観光地で行われる「国際マラソン大会」は有名ですが、マラソンより気軽に参加でき、その土地をじっくり楽しめる「ウォーキング」の国際大会があるのはご存じでしょうか?

今回は、世界各国で開催されている「国際ウォーキング大会」の概要と、実際にインドネシアで行われた「ジョグジャ国際ヘリテージウォーク」の様子をご紹介します。

国際ウォーキング大会は、世界各地で開催されているイベント


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「国際ウォーキング大会」は、IML(International Marching League)という国際ウォーキング協会が認証し、世界各国で行われているウォーキングイベントです。大会によっては「マーチング」という名称を使われていることもあります。

この大会は世界各地で開催されており、日本でも埼玉の東松山市で「日本スリーデーマーチ」という大会が毎年秋に行われています。

まずは、この「国際ウォーキング大会」に私が実際に参加して感じた魅力を紹介します。

ツアーでは絶対いかないローカルな場所を体験できる


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このウォーキング大会の1番の魅力は、普通の観光では行かないようなローカルな場所に行けることです。なぜなら、大会のコースはそれぞれの土地・大会コンセプトに沿ってオリジナルにアレンジされているから。

例えば、「住民との交流」が大会のコンセプトであれば、一般家庭の庭を横断するコースになっていたり、「自然」がコンセプトであれば、私有地の畑や森の獣道がコースに入っていたりします。

一緒に歩くと気持ちが通じる。ノンバーバルな国際交流

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このウォーキングイベントは、規模によっては20カ国以上の国から参加者が集まります。それだけいろんな国籍の人が集まるので、基本的に言葉は通じません。

ただ不思議なことに、全員で同じ場所からスタートし、同じ場所で休憩し、時々挨拶を交わしたりしているうちに、言葉が通じなくても不思議な連帯感が生まれてくるんです。

「国際交流に興味はあるけど、英語に自信がない……」という人にとっても、歩くことを通して自然と交流できてしまうこの大会は、かなりおすすめ。

続いて、2019年11月16〜17日に行われたウォーキングイベント「ジョグジャヘリテージウォーク」に参加した、実際の様子をご紹介します。

東南アジア唯一の国際ウォーキングイベント、ジョグジャインターナショナルヘリテージウォーク


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「ジョグジャ(インターナショナル)ヘリテージウォーク」は、インドネシアの古都であるジョグジャカルタで毎年11月頃開催されている、2日間の国際ウォーキング大会です。東南アジアで国際ウォーキング大会が行われているのは、ここ「ジョグジャ」のみで、コースに「世界遺産」が含まれているのが大きな特徴です。

2019年に行われた第11回大会の参加国は22カ国、3,000名(うち外国人250名)。一番参加者が多いのはフランスで59名。日本人は50名が参加しました。

1日目は世界遺産プランバナン寺院遺跡群コース


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1日目のコースは、世界遺産・プランバナン寺院遺跡群の周辺を巡るコース。発掘最中の遺跡と田園風景が眺められます。

プランバナン寺院遺跡は、西暦856年にヒンドゥー王朝によって建てられた、高さ47メートルの石造寺院です。大きさだけでなく、美しさ・緻密さ・歴史的価値を評価され、1991年にユネスコ世界遺産に登録されました。

プランバナン遺跡自体も素晴らしいですが、遺跡周辺には9世紀台に栄えた王朝の遺跡が点在し、ウォーキングのコースにはいくつかの寺院が含まれ、ウォーキングの途中で中に入って観光することもできます。

■詳細情報
・名称:プランバナン寺院遺跡群(Candi Prambanan)
・住所:Jl. Raya Solo – Yogyakarta No.16, Kranggan, Bokoharjo, Kec. Prambanan, Kabupaten Sleman, Daerah Istimewa Yogyakarta 55571
・地図:
・アクセス:バスで市内から約30分
・営業時間:6:00〜18:00(入場は17:00まで)
・料金:25ドル (イベント参加者は無料)
・所要時間:1〜2時間
・公式サイトURL:http://borobudurpark.com/en/temple/prambanan-2/

出発は朝6時。地元住民のエールで送り出し


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ウォーキングの出発は朝6時、プランバナン遺跡からスタートします。かなり朝早い時間ですが、それは暑い日中のウォーキングを避けるためです。


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スタート直後は、このように伝統パフォーマンスで応援&送り出してくれます。

現地住民の生活風景をみながらのんびり歩く


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プランバナン遺跡の敷地内から出て、しばらくコースの標識に従って歩くと、農作業用のあぜ道に入ります。ここでは住民の「いつもどおり」の生活風景を感じられます。この日は偶然、「青い花のドリンク」を売る女性を発見。

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試飲させていただいたところ、味は「草」という感じ。話を聞くと、この花は「Butterfly Pea(蝶豆花)」というインドネシアの雑草で、ご飯と一緒に炊くことで「青いご飯」が作れるそうです。


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インドネシア・マレーシア料理には「ナシビル(インドネシア語で「ナシ=ご飯」「ビル=青」)」と呼ばれる青いご飯料理があるのですが、原料を見たことはなかったので「こんなところで売ってるなんて!」と驚きました。

休憩所ではローカルフルーツを提供

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コース中にある休憩所では、地元で採れたフルーツが提供されています。この時期はマンゴーの季節で、完熟マンゴーが食べ放題!

とれたてマンゴーは完熟でもリンゴのようにカリッとした食感が残り、日本のマンゴーとは別物でとても美味しいです。

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休憩所ではこのように、その場でフルーツ(ランブータン)を採ってもらっている光景も見られました。

まさに今発掘作業中。地下に埋まったマイナー遺跡見学も


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しばらくコースに沿って歩くと、現在発掘中で修復中の遺跡「ケドゥラン遺跡」に辿り着きました。

この遺跡も世界遺産のプランバナン遺跡同様、9世紀に作られたものとされていますが、1993年に地下から発掘されたばかりで、まだ詳しいことは解明されていません。

この日もまさに発掘の最中で、下をのぞくとおじさんたちがのんびり修復している様子が見えました。「まさに今!掘り出している!」という遺跡を訪れる経験は滅多にないので、これもイベント参加ならではの体験ですね。

気になったところで自由に足を止めながら、のんびり歩く


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このようにかわいい民家の写真をとったり、買い食いしたりしながらマイペースに歩いて、10時ごろにゴールしました。

かかった時間は10kmコースで約4時間ほど。普段運動しない私でも、ある程度の元気を残したままゴールできました。

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京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

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