アメリカの有名新聞社であるニューヨーク・タイムズの「世界の旅先52選」というリストをご存じでしょうか?これは同紙が独自に調査し、毎年発表している「2019年の今年行くべき52か所の旅先」の一覧で、日本の瀬戸内の島々が7位に選ばれたことで話題になりました。また、2020年は五輪イヤー(予定だった)ということで東京が9位に選出されています。
実は、この名誉あるリストに直近6年間で2度もランクインした旅先が、チリの「エルキ渓谷」。まだ日本ではほとんど知られていないませんが、2015年の同リストでは、なんと第5位に輝いた素晴らしい景勝地です。今回は、なぜ「エルキ渓谷」が「行くべき旅先」なのか、その魅力をたっぷりとご紹介します。
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エルキ渓谷とは?
photo by グワカモレ
エルキ渓谷(Valle de Elqui、バジェ・デ・エルキ)は、首都サンティアゴから北へ約400キロメートル、アンデス山脈のふもとに位置する美しい渓谷地帯です。温暖な気候を活かした果樹栽培が盛んで、特にピスコ(ブドウの蒸留酒)の産地として知られています。
また、いくつもの著名な天文台があり、天体観測が楽しめる「星の渓谷」としてチリ国内はもちろん、世界中の旅人を惹きつけています。
とにかく過ごしやすい!年間320日以上が晴天
photo by グワカモレ
エルキ渓谷は、チリ北部に広がるアタカマ砂漠の南に位置し、年間320日以上が晴天という、まさに「晴れの谷」。海岸からも約50kmほどしか離れておらず、太平洋を流れる冷たいフンボルト海流の影響を受けて、年間平均最高気温が23度、年間平均最低気温が8度。暑くなりすぎず、過ごしやすい気候が特徴です。
ベストシーズンは、南半球の初夏にあたる11月と12月、もしくは初秋の3月と4月。真夏の1月2月でも月間平均最高気温は28度とそこまで高くはありませんが、日中は痛いほどの日差しが降り注ぐので、「暑いの大歓迎!」という方以外はできれば避けるのが無難です。
おとぎ話のような村々をサイクリングで気軽に周れる
photo by グワカモレ
渓谷内にはいくつもの小さな村が点在していて、それらを結ぶ大きな幹線道路があり、車やバスで移動できます。さらに、その幹線道路のすぐ脇に地元の人や馬が近距離移動に使う細い小道が渓谷の各所に伸びていて、渓谷内を自転車で簡単に周遊することも可能。
小道からの眺めは言葉で表せないほどの絶景が広がっています。山の斜面にどこまでも広がる緑の果樹園、雄大なアルプス山脈、そして、抜けるように青い空。まるで、おとぎ話にでてくる田舎の村を、自転車で駆ける少年少女のような気持ちになれること、間違いありません!
自転車の貸し出しをしているホテルやホステルも多いので、まずは宿泊先に確認を。もし、貸し出しをしていない場合は、エルキ渓谷で最大の町ビクーニャ(Vicuña)の「Turismo Elki Magic」というツアー会社でレンタルできます。
・名称: Turismo Elki Magic(トゥリスモ・エルキ・マジック)
・住所:San Martín 472, Vicuña, Coquimbo
・地図:
・アクセス:ビクーニャバスターミナル徒歩5分
・営業時間:9:00~19:00(ただし14:30~16:00はシエスタ休憩)
・電話番号: +56 9 6877 2015
・料金:1日自転車レンタル6,000ペソ(約800円)
・公式サイトURL:https://www.elkimagic.com/
著名な天文台で天体観測ができる
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チリで天体観測と言えば「アタカマ砂漠」が有名ですが、アタカマに負けず劣らず美しい星空が見られるエルキ渓谷にも、「ママユカ天文台(Observatorio Mamalluca)」をはじめとする、さまざまな天文台が集まっています。各天文台では毎晩ツアーが行われており、専門員の説明を聞きながら、望遠鏡で天体観測を楽しめます。
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また、「星空ツーリズム」が発展しているエルキ渓谷では、天文台以外にも「天体観測専門のツアー会社」が多数存在しています。ギター演奏つきの天体観測など、各社趣向を凝らしたツアーが開催されているので、好みに合わせてチョイスしてみてください。
・名称:ママユカ天文台(Observatorio Mamalluca)
・住所:San Martín 275, Vicuña, Coquimbo(事務所)
・地図:
・アクセス:ビクーニャ市中心のアルマス広場(Plaza de Armas)徒歩1分
・電話番号:+56 9 8259 9313
・料金:7,000ペソ(約1,000円)
・公式サイトURL:https://www.observatoriomamalluca.com/
蒸留所で本場の美味しいピスコが飲める
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「ピスコ」というお酒をご存じでしょうか?ピスコは、ペルーとチリの一部の地域でしか作られていないブドウの蒸留酒で、アルコール度数はなんと約40度!ライム果汁・砂糖・卵白を加えて作る「ピスコサワー」というカクテルが人気です。
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ブドウの栽培が盛んなエルキ渓谷には「カペル」や「ミストラル」など、チリの有名なピスコの蒸留所が集まっていて、蒸留所では見学ツアーやテイスティングを楽しめます。ピスコを使ったさまざまなカクテルも味わえるので、酔っぱらわないように気をつけながら楽しんで!
・名称:Centro Turistico Capel(セントロ・トゥリスティコ・カペル)
・住所: Puente Peralillo s/n, Vicuña, Coquimbo
・地図:
・アクセス:ビクーニャから自転車で10分
・営業時間: 10:00~18:00
・定休日: なし
・電話番号:+56 51 2554337
・公式サイトURL:https://www.centroturisticocapel.cl/
果樹園直送の新鮮なフルーツが味わえる
photo by グワカモレ
エレキ渓谷では、温暖な気候を活かした果樹栽培が盛んで、パパイヤ、ブドウ、オレンジ、桃、イチジクなどの新鮮なフルーツを味わえます。
photo by Oasis Diaguita
ビクーニャの街中にはフルーツジュース屋がいくつかありますが、筆者のおすすめはビクーニャから自転車で30分ほどの「ディアギータス(Diaguitas)」という小さな村にあるカフェ「Oasis Diaguita」のフルーツジュース。オーナー自慢の果樹園でとれた新鮮な果物だけを使ったジュースは、濃厚で衝撃的な美味しさです!
・名称:Oasis Diaguita(オアシス・ディアギータ)
・住所:La Esperanza #299, Diaguitas, Vicuña
・地図:
・アクセス:ビクーニャから自転車で30分
・電話番号:+569 6100 9587
・料金: フルーツジュース2,000ペソ(約260円)
・公式サイトURL:http://www.oasisdiaguita.cl/
美味しい太陽光料理が食べられる
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「晴れの谷」エルキ渓谷の中でも、特に太陽光に恵まれているのが、南向きの山の斜面に位置する小さな村「バジェ セカ(Valle Seca)」。この村の自慢は、降り注ぐ太陽光を活用したソーラー発電と、ソーラークッカーで作る「太陽光料理」。
photo by グワカモレ
筆者は太陽光料理専門店「Delicias del Sol」で、地元の特産のヤギ肉を注文。一口食べた瞬間にビックリ!太陽光でじっくりと時間をかけて調理するので、お肉も野菜もとろけるように柔らかく、味が素材の奥までしっかりとしみ込んでいて、感動の美味しさでした。
・名称: Delicias del Sol(デリシアス・デル・ソル)
・住所: Villaseca Vicuña, Coquimbo
・地図:
・アクセス:ビクーニャから自転車で20分
・営業時間:12:00~18:30
・定休日:なし
・電話番号: +569 3230 3382
・料金:昼食セット10,000ペソ(約1,300円)メイン、サラダ、パン、デザート、飲み物付き
エルキ渓谷へのアクセスと宿泊先
photo by グワカモレ
エルキ渓谷の最寄りの都市は、コキンボ州の州都ラ・セレーナ市(La Serena)です。首都サンティアゴからバスで約6~7時間、飛行機で約1時間。アタカマ砂漠の都市カラマからはバス約14~15時間、飛行機で1時間半程度でアクセスできます。
また、ラ・セレーナからエルキ渓谷の中心地ビクーニャへはバスで1時間程度。そこからさらに、渓谷の奥の村「ピスコ・エルキ(Pisco Elqui)」までは30分程度。ラ・セレーナのターミナルからバスが30分に1本程度出ています。
エルキ渓谷内には、ホステルからカバーニャと呼ばれるロッジタイプのホテルまで多種多様な宿泊施設がありますが、ラ・セレーナ市内に宿泊し、そこから日帰りで訪れることも可能です。ピスコ蒸留所や天文台を周るツアーも多く出ています。
photo by Hostel Antawara de Elqui
ただし、この渓谷の美しさを120%堪能するには、エルキ渓谷内に最低でも1~2泊するのがおすすめです!筆者はビクーニャ市内中心部のホステル「Hostel Antawara de Elqui」に宿泊。市内中心部の便利な位置にありながら、プールや美しい庭もあり、朝食付き一泊10,000ペソ~(約1,300円)とコスパ良し◎ 。星空観察ツアーやレンタサイクルも手配してくれました。
・名称:Hostel Antawara de Elqui(ホステル・アンタワラ・デ・エルキ)
・住所: Freire 384, Vicuña, Coquimbo
・地図:
・アクセス:ビクーニャバスターミナル徒歩8分
・電話番号: +569 3291 1380
・料金: ドミトリー部屋、朝食付き一泊10,000ペソ(約1,300円)
・公式サイトURL:https://www.booking.com/hotel/cl/hostel-antawara-de-elqui.es.html
この世の楽園エルキ渓谷で最高に豊かな時間を
photo by グワカモレ
ニューヨーク・タイムズの行くべき旅先に選ばれるのも納得の絶景を誇るエルキ渓谷。美しい景色と澄み切った青空だけでも、すでに楽園にいるような気分なのに、さらに美味しいフルーツやピスコ、そして、満天の星空まで楽しめるとなれば、ここは本当に現実だろうか?と疑うほどの最高に豊かな気持ちになるはずです。
ぜひこの世の楽園エルキ渓谷を皆さんの「行きたい旅先リスト」に加えてみてはいかがでしょうか?