こんにちは。TABIPPOのデザイナーのさちよです。
先日新しくしたコーポレートアイデンティティ(以下CI)、「あたらしい旅をつくる」という新ミッション、経営方針のアップデートを発表しました。
パンデミックの影響などからくる時代の変化によって旅行や観光の境界線が曖昧になり、旅の捉え方が拡張される中、旅行者の心理や行動が大きく変化しています。
そこでTABIPPOは今まで掲げてきた「旅で世界を、もっと素敵に。」というビジョンは変えず、ミッションを「あたらしい旅をつくる」に変更。
そしてビジョンとミッションを実現するためのあたらしい経営戦略として「コミュニティ」「ニューノーマルトラベラー」「ブランド」という3つのキーワードを定めました。詳しくはこちらの記事から。
変更に伴い、ビジュアルアイデンティティ(以下VI)も変更することにしました。今回はコーポレートカラーとコンテンツづくりの観点から、「あたらしい旅」をどうTABIPPOとしてブランドづくりをしていくかを考えました。
「あたらしい旅」とは
TABIPPOは、現代において「あたらしい旅」の概念が必要であると考えています。
コロナの影響もあり、観光や旅行の在り方やスタイル、旅行者と地域の関係性が見直され、「サステイナブルツーリズム」、「関係人口」、「ワーケーション」、「第二のふるさと」、「アドベンチャートラベル」などの新しいキーワードが注目されています。
これらのキーワードは、地域や観光地にとって重要な考え方であり、地域や観光地は、マーケティングの方法や考え方を見直す必要性がでてきました。
今こそ、地域や観光地が「あたらしい旅」という言葉や、観光や旅行、または旅のあり方やスタイルが変わってきているという事実に、向き合うべきなのです。
そこでTABIPPOもミッションを「あたらしい旅をつくる」ことにフォーカスさせていくことにしました。
VIのアップデート
ミッションを刷新したと共に、TABIPPOのビジュアルアイデンティ(以下VI)もアップデートをすることにしました。
長期的にTABIPPOの企業価値をあげられるよう、長年愛用してきたデザインを変更したのが2020年に行ったリニューアルです。ロゴはサイトデザインを変更し、幅広い年代に親しんでもらえるデザインにしました。
その際に決めたコーポレートからは、白を基調にサブカラーで遊び心を取り入れられるような配色。背景色や文字の色は黒に近いネイビー。重くなりすぎない色なので、白やサブカラーとも相性がいいカラーリングにしました。
TABIPPOの良さでもある、クールすぎない楽しい雰囲気を取り入れるために赤青緑を取り入れ、遊びを入れれる配色になっています。
そこから3年。会社のミッションも変更したタイミングで、コーポレートカラーの見直しも行いました。新ミッション「あたらしい旅」を浸透させていくためにVIもアップデートして決まったカラーがこちら!
ここでポイントとなるのは、サブカラーの色が新しくはなったのですが、ベースはリニューアル時と変わらず白を基調とした配色であること。サイトデザインでも背景などは白をメインに使い、ワンポイントでカラーを入れるなど、配色のバランスも大切にしています。
TABIPPOでは旅の捉え方は拡張されてきていると考えています。観光をしてまわる非日常を求める旅から、2拠点やワーケーションなど日常に近い旅も増えてきました。観光や旅行の在り方やスタイルがより生活に混じりあうようになってきています。
コロナの影響も受け、私たちはより人との繋がりが大事であることも実感しました。
経営戦略としても、コミュニティを大事にしていたり、共創していくことを大切にしています。「繋がり、あたたかさ、ふるさと」などをイメージできるようなカラーである方が、あたらしいミッションをより表現できると思い、カラーは明るいビビットでパワーを感じられる色よりも、落ち着いた温かみを感じられる色に変更しました。
事業を拡大してビジョンを実現したいくために、必要な価値観としてのバリューは「ビジョンの共創」です。TABIPPOで働く1人ひとりの想いや熱量、関わる全ての人たちがもつ理念への共感や応援を形にすることで、ビジョンを共に創りあげていくことを最重要の価値観としています。
TABIPPOを軸に関わる人たちとの関係性を表せるように、グラデーションとしての配色も取り入れています。一緒にあたらしい旅をつくりあげていくことができるよう、単色で強い配色から、配色を増やしそれぞれが混じり合いやすいカラーリングに仕上げました。
コーポレートカラー決定までのプロセス
カラーを決める際、感覚値で温かみのある色は?と連想するのではなく、どのような色がTABIPPOらしさを表現できるかを考えました。
実際に今まで制作してきたクリエイティブを振り返るところから始まりました。
ここ1年くらいで制作してきたバナーを振り返ってみると、青色を使うことが多く、そこに加えてオレンジ系も多いことが分かりました。もちろんそれ以外の配色のものもありますが、圧倒的に青系が多かったです。
また、リニューアル時に決めたサブカラーは、普段資料やバナー制作でよく使われるのは青色がメインになり、赤や緑が登場することなほとんどありませんでした。
紐解いていくと、TABIPPOでは旅先の写真を扱うことが多いため、海や空、自然が映り込んだ写真が多くあります。その写真との相性の良さを考えると必然的に青色が写真と馴染みやすく、バナー制作で使われる傾向があります。
また人物が写り込んだもの、大地や木はオレンジ色と合いやすいなど、TABIPPOならではの写真の特徴が色にも反映されていました。
実際に社内でよく使われる色であることや、旅や自然との相性の良さ、新しいミッションとの関連性を考慮してサブカラーを新しくしました。
文字色などでも使いやすいネイビーから、アクセントカラーとして緑がかかった青色のグラデーションをつくっています。ロゴの黄色もTABIPPOらしさを表しているので、この黄色をもとにオレンジ系統の配色を決めました。
青系だけで使ったり、オレンジ系だけを使うなど、実際にデザインすることを考え、制限がある中での幅の持たせやすさも考慮しています。
新ミッションの「あたらしい旅をつくる」会社であるために、次の時代に向けて、「旅で世界を、もっと素敵」のビジョンを実現するために、ただ旅の楽しさを広めることだけでなく、新しい旅の価値を提案していきます。
旅のカラーネーム
色を決めるだけでなく、それを浸透させていくまでがブランドづくりです。
より、このカラーに親しみをもってもらい、みんなに使ってもらうためにそれぞれの色に名前をつけました。
TABIPPOでよく扱う旅の写真には、海や山などの自然が写っていることが多々あります。写真との相性も考えて、アースカラーをベースに色を決めています。この色自体も自然の色から名前をつけました。
この10色は世界各国の「星、オーロラ、湖、ビーチ、森、砂漠、夜景、夕日、朝日、花畑」を取り入れています。旅人が世界で見る美しい景色を、色の名前として愛着を持ってもらえるようにています。
今までも、TABIPPOのモノづくりブランドPAS-POLで制作をした手帳などにも、ウユニブルー、バルセロナブラウンなど手帳の色に合わせて名前をつけていました。こうした地名と色とのリンクがあることで、より気に入ってもらえていたこともあり、TABIPPOらしさを出して地名のネーミングをつけています。
今後はより社内浸透しやすいコーポレートカラーとして、バナー制作を始め、資料づくりやSNSのクリエイティブ制作などにも反映させていくのが次のアクションです!
TABIPPOのブランドづくり
ミッション刷新時に、ビジョンを実現するための会社の経営戦略として「コミュニティ」「ニューノーマルトラベラー」「ブランド」という3つのキーワードを定めました。
具体的な経営戦略を決める中、コーポレートカラーの見直しを行うと同時に、社員全員にも改めてTABIPPOらしさを考えてもらうために、世界的に有名なブランディングの専門家、ジャン・ノエル・カプフェレさんが手がけた「ブランド・アイデンティティ・プリズム」というブランドアイデンティティを構築するのに必要な要素を整理するフレームワークを使ってワークを行いました。
事業ごとにチームに分かれ、それぞれ要素ごとに思い浮かぶワードを出してもらい、共感するものにスタンプをつけるなどして、メンバーたちにも考える機会をつくってもらいました。その中で意識したのは、今のTABIPPOがどうあるかではなく、これから「あたらしい旅をつくる」上でどんなTABIPPOになっていきたいか、どうあるべきかを考えてもらいます。
ワークで出たキーワードの中から共通項を見つけ、それらを表す画像を集めてムードボードを作成したり、イラストだとどんなジャンルがイメージに近いかをクリエイティブに強い人たちで議論する時間も設け、TABIPPOらしさとは、あたらしい旅をつくるとは、何かをビジュアライズさせていきました。
こうしたキーワードや参考画像、イラストを元によりTABIPPOのつくりたいブランドとはどんなものかを膨らませています。これから制作をする上で、より共通認識を持っっていくためにビジュアルとして明確にしたり、テキストで具体的にしていきます。
コンテンツからブランドをつくる
TABIPPOの大きな強みとして、旅好きのコミュニティを持っていることです。経営戦略でも「コミュニティマーケティングを強みとする」とあるように、TABIPPOには学生コミュニティや社会人も多く所属するPOOLOというコミュニティがあります。「旅」を軸に人が集まり、繋がりをとても大事にしています。
TABIPPOで企画するモニターツアーも現地の人と関わるものが多く、移住者や地元の人々の出会いがあり、深くその場所を知れることが魅力の1つです。
photo by Eri Miura 「香川県琴平町で人との出会いから生まれる新しい観光体験」の記事から
photo by Eri Miura 「香川県琴平町で人との出会いから生まれる新しい観光体験」の記事から
photo by Eri Miura 「香川県琴平町で人との出会いから生まれる新しい観光体験」の記事から
その魅力を伝えるためには、「人と人との関係性」がより見えるように、リブランディング後は実際にTABIPPOで書く記事にはできるだけフリー素材を使わないようにしてきました。「それっぽい」写真は使わず、コミュニティを活かした実際に楽しんでる様子やどんな場所なのかが伝わるものを使っています。
現地での写真や、実際にコミュニティに参加してくれている人がどんな人なのかが見えるようになっている企画や記事が多いです。
フリー素材は使わずに実際に訪れた写真を使うことを方針として決め、社内全体で意識づけすることから、最終的なアウトプットのクオリティもアップしていきます。
▼現地の様子や参加者の顔がよくわかる特集
《特集》“好きがコトひらく町”香川県琴平町で新たな旅と自分を再発見!
https://tabippo.net/special/kagawa-kotohira/
《特集》美しきハワイを未来に語り継ぐ「あたらしいマラマなハワイ旅」
https://tabippo.net/special/new-malama-hawaii/
「あたらしい旅」へのアプローチ
旅のスタイルが柔軟になってきている今、エンタメ的な消費する度ではなく、「人生を豊かにする旅」として拡張してきており、旅から「暮らし、住まい、仕事、遊び」なども連想されるようになっていると思います。
photo by Ryo Aizawa 「圧倒的な大自然とアイヌ文化が根付く暮らしに触れる、北海道・阿寒摩周サステイナブルキャンプ」の記事から
ワーケーションで仕事をしながらする旅、2拠点生活や移住をする暮らしや住まいと紐づいた旅、自然とのふれあい、文化交流、アクティビティ、のうちふたつ以上の要素を持つアドベンチャートラベル。絶景やグルメを楽しみながら観光をする旅はもちろん、それ以外の場面でも「旅」が増えてきています。
旅好きイノベーター・アーリーアダプターである層は、こうした拡張された旅へのアンテナが高く、TABIPPOがアプローチして共創していく人たちです。
photo by Ryo Aizawa 「圧倒的な大自然とアイヌ文化が根付く暮らしに触れる、北海道・阿寒摩周サステイナブルキャンプ」の記事から
コンテンツづくりにおいて「あたらしい旅」を体現している旅人たちへ届くよう、より意識して制作します。例えばすでにある連載で、メンバーが日本縦断をしながら、地域を盛り上げる人たちにインタビューをしている記事があります。
スポット紹介をするだけでなく、その場所ならではの暮らしや、地域で活躍する人のフォーカスした内容になっています。訪れる理由として、人に会いにいく旅や文化を体験する旅を目的とした人たちのために届くコンテンツ制作が重要になっていくと思っています。
TABIPPOのメンバーひぐが原チャリで日本を縦断しながら、地域を盛り上げる人たちに出会う「ひぐの出会い旅」の連載
https://tabippo.net/higu-interview-09/
現在9記事出ていて、まだまだ旅は続くので今後の公開もお楽しみに!
共通認識でつくるブランド
今回はアップデートになるので、既にTABIPPOで行ってきたアクションがベースになってきています。ただここで大事なのは、改めて社員や一緒に働く業務委託のメンバーも含め全員が、同じ方向を見て同じ認識をすること。そうしてブランドは強まっていくと思っています。
社員10人以下の小さい会社なので、なんとなくみんな把握してて自然にやってることも多い気がします。しかしここ1年で業務委託のメンバーも増えてきて関わる人が多くなった今、自然とキャッチアップすることが難しくなってきました。
TABIPPOらしさや会社が大事にする方針を、意図や意味のこもったリッチなアウトプットとして仕事をすることで、高品質なブランドイメージを確立できます。
そしてその仕事がクライアントのためになり、地域のためになり、TABIPPOに関わる全ての人にとって、旅が人生を豊かにしてくれたと思ってもらえるようにしていきたいです。
一緒に「あたらしい旅」をつくっていきましょう!