Aya:物が豊かでないキューバでは、物もお金も持っている観光客が一番狙われます。なので、いつも移動時は最低限のものしか持たないように心がけていました。あと観光で行かれる方は、明らかに観光客と分かる華美な服装で出歩いていると、狙われやすいので注意が必要です。
何かを変えたいと思って行った街・キューバ
photo by Aya Sagarra
――そもそもAyaさんが留学したキッカケは何だったのでしょうか?
Aya:私は学生時代ラテンダンスに興味を持ち、そこでサルサに出会いました。そして「ブエナビスタソシアルクラブ」というキューバを題材にした映画に出会い、キューバ音楽にはまり、キューバに行ってみたいと思うようになりました。
また、その頃からラテン歌手としても活動していたのですが、スペイン語の歌詞で歌っているにも関わらず、自分の言葉としてスペイン語が話せなかったので、感情を乗せることが出来ずに矛盾を感じ始めました。そんな中、スペイン語が公用語のキューバには、色々な文化が入り交じって発展したキューバでしか学ぶことが出来ない音楽、ダンスがあることを知り、本格的に語学や音楽、ダンスを深く学ぶ為キューバ留学を決めました。
――ではスペイン語とキューバ音楽の勉強のためにキューバに留学されたんですね。
Aya:でも、実は理由はそれだけではありません。当時、いろいろと日本での生活に悩むことがあって、そんな毎日に嫌気がさして「何か変えたい」と思っていました。キューバならそんな私を変えてくれるかもしれないと直感的に思ったことも、キューバに行くことを決めた理由の一つですね。
――実際にキューバでの留学生活はどうでしたか?
Aya:キューバに行った直後は慣れないスペイン語に苦労し、思ったような生活ができず、孤独と不安の毎日でした。でも、私は本当に周りの人たちに助けられました。スペイン語が上達したのも、素晴らしい音楽に毎日触れられたのも、良きパートナーに出会えたのも、すべて周りの人たちの助けがあったからだと思います。
不便さから学んだこと
photo by Aya Sagarra
――キューバの留学前と留学後でご自身に変化はありましたか?
Aya:強くなりました(笑)キューバって本当に不便なんです。現地で暮らしていると、物は少ないし、停電はあるし、水不足も頻繁に起こります。銀行に行っても役所に行っても、働いている人はみんなのんびりしすぎていて、めちゃくちゃ待たされます。なので、計画していたスケジュール通りに行く日なんて滅多にありません。
でも、そんな便利な世の中じゃないからこそ、「めっちゃ生きてる」って感じるようになりました。自分が日々キューバでたくましくなっていく感覚が、そう感じさせたのかもしれません。これは便利な生活ができる日本では知ることがなかった感覚です。
そんなキューバもアメリカとの国交正常化によって、これから便利になって変わってしまうかもしれません。そうなると今のキューバはもう見られなくなってしまうので、行くなら本当に今だと思います。
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Ayaさんのお話は「人」にまつわる話が多かったことが、とても印象的でした。そんなキューバも、アメリカとの国交正常化でこれから物が豊かになると言われています。今はまだ配給制度が残り、人々が助け合って生きていますが、これから物が豊かになれば、生活が変わり、社会が変わり、人々も変わってしまうかもしれません。
キューバに行こうか迷っている方は、キューバが変わってしまうその前に、是非とも足を運んでください。「今のキューバ」を見られるのは、「今」しかありません。
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●Aya Sagarra(アヤ サガーラ) プロフィール
キューバ音楽デュオ「Ex corde」(エックス コルデ)のボーカル・ピアニカ・パーカッション担当。2011年~2013年、スペイン語、音楽、ダンスの勉強のためキューバに留学。留学中に現在の夫でもあるYaxell(ジャセル)と2011年に「Ex corde」を結成。サンティアゴ・デ・クーバ、ハバナを中心に活動し、ライブのみならず、テレビ、ラジオ、大使館主催のイベント等にも多数出演。現在は夫Yaxellも来日し日本でも活動。9人編成のサルサバンド「Yaxell Sagarra y su Son d K.Libre」も結成し、関西を中心にライブを行っている。
Ex corde:https://www.facebook.com/Ex-corde-410945768938672/
Son d K.Libre:https://www.facebook.com/sondklibre/