フィンランドは3年連続で世界幸福度ランキング1位(国連)の国です。別の幸福度調査(ギャラップ・インターナショナル+WIN)ではありますが、私が住むフィジーも幸福度1位です(2014、2016、2017)。※2018年以降はフィジーが調査対象国から外れているため、データなし。
先日、世界でいちばん幸せな国フィジーから、世界でいちばん幸せなフィンランド人と「シアワセ」について話してみました。2つの幸福先進国のおける「幸福感の違い」とはいったい何なのか、探っていきましょう。
コロナ時代の幕開けとともに
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対談の舞台は、フィンランド政府観光局(Visit Finland)のプロジェクトである「Rent a FINN」です。Skypeやzoomを使って、政府公認のハピネスガイドの方と個別にセッション(会話)を楽しむことができる企画です。
私がお話をさせてもらったのは、Jukka Joutsiniemiさんという男性で、起業家であり、コーチであり、アウトドア愛好家という方。
まず最初、Jukkaさんに「コロナ禍におけるフィジーの変容」についてお伝えしました。新型コロナウィルス感染症の影響でフィジーへの観光客は激減し、GDPの約4割は観光関連のため、職を失う人たちが大量に発生しています。
ただ、そんな大失業時代の幕開けとともに、フィジー人たちはすぐに「自給自足」と「物々交換」に舵を切り、たくましくハッピーに生活をしていると。それを受けてJukkaさんは「それはシス(SISU)だね」と言いました。
あぁ、これがシスなのか…。本で読んだことがあります。フィンランド人の幸せの秘訣だと。
シス(SISU)って何?
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シス(フィンランド語)とはフィンランド魂のことです。フィンランド人の間で昔から伝統的に受け継がれている精神力のことを指し、これがあるから困難な状況でも、強く、そして柔軟にサバイブすることができると。フィンランド流の「勇気」や「忍耐」といった意味合いです。
Jukkaさんは続けて言います。
「幸せとは選択するものだよ。幸せになることを選び、そのために必要なことをやっていく。フィジー人のそのしなやかな切り替えはまさにシスだよ」
なるほど。フィンランド人にとって「幸せ」は選択するもので、選んだあとは勇気と忍耐で掴み取っていくものなのだと学びました。忍耐って言葉は「サウナ発祥の国」らしいなと感じます。
フィジー人にとって「幸せ」は苦労して手に入れるものというよりは、「標準装備」されているものという感覚です。デフォルト設定が幸せ。幸せには特に理由がなく、不幸には理由がある。
ただ、その不幸の範囲も狭いのです。大事な人が交通事故で亡くなったとしても、それは不幸ではなく、「時がきた」と解釈して、不幸の範疇にはいれません。私からみたら不幸にみえることでも、豪快に笑い飛ばしていくスキルがあります。
幸福感染がフィジーの観光資源
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フィンランドに負けず劣らず、フィジー政府観光局も「幸せ」に特化した『ブラネア』というプロジェクトがあります。
「ブラネア」とはいったい何か。
「ブラ(BULA)」は、フィジー語の「こんにちは」です。フィジーを訪れたことがある人は、この言葉の魔力を知っているはずです。たった2文字の言葉ですが、満面の笑顔で発せられる「ブラッ!」によって、こっちも自然に笑顔になってしまいます。
それとミリオネアの造語で、「たくさんの幸せを持っている人」という意味です。「あなたは幸せですか?」というシンプルな質問に対し、94%のフィジー人が幸せだと回答しています(ちなみに日本人の場合は58%)。
幸せは人から人へと伝染します。ハーバード大学のクリスタキス博士の調査によれば、「近しい知人」が幸せだと、自分の幸福度は約15%アップします。「知人の知人」が幸せだった場合では約10%アップ、「知人の知人の知人」でも約6%アップ。
国民の94%が幸せなフィジーであれば、旅行者への「幸福感染」も激しそうです。フィンランド同様、「幸せ」はフィジーの新しい観光資源になっています。
私たちはどうやって幸せを極める?
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北半球の先進国フィンランドと南半球の途上国フィジー。両国間の距離は約16,000kmもあり、地球儀上だと真反対に位置しています。地理的にも、経済的にも、また気候的にも正反対の国ではありますが、両国とも、国民の幸福度は世界のトップレベルの幸福先進国です。
「幸せ」という頂へのルートは違えど、しっかりと国民が幸せを実感しています。さて、日本人はどういうルートで頂に向かって歩み、幸せを極めていくのか、一緒に探求していければと思います。