ライター
TKY 世界一周トラベルスキー・サーファー

スキー・サーフィン・旅をテーマに、世界一周や在住など50カ国歴訪。 大学生時代はワーキングホリデーからバックパッカーまで必死に旅に出る。 卒業後は一部上場企業にてスキープロスタッフを8年間務め社会経験を積む。 その後、スキー&サーフボードを積んでロードトリップ世界一周達成。 現在は独立しプロスキーヤー・山岳スキーガイド・サーフィンガイド・トラベルライターとして活動。 全国通訳案内士。利尻富士アンバサダー。 僻地でのローカル旅、ロードトリップが得意。

ビジネスシーンや社会活動において、昨今欠かせない概念となったサステイナブル。

サステイナブル(Sustainable)とは、sustain(持続する)とable(~できる)からなる言葉で、「持続可能な」という意味があります。

この言葉は、地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会を目指すことです。

産業革命以降の人類は、資源や環境を顧みない無理な経済活動を続けた結果、CO2の排出量の急増や環境破壊など地球への過剰な負担が重なり、世界各地に深刻な気候変動をもたらしています。

その危機から脱し、「サステイナブルな社会」を実現するために、世界中の人々がともに立ち上がり、力を合わせて問題を解決していくことを模索し始めました。

サステイナブル先進国のフィンランドの活動


サステイナブルな旅を支持する旅人は今では87%を超え、40%を超える旅人が実際に環境に配慮した旅を実施しているというデータもあり、サステイナブルという概念は、旅人の中でもスタンダードとなりました。

この兆候を受けて、フィンランド政府観光局は、2019年夏より持続可能な旅行に積極的に取り組む企業や地域をフィンランド政府がサポートするプロジェクト「サステナブル・トラベル・フィンランド(Sustainable Travel Finland)」を施行。

幸福なライフスタイルは、自然との共存によって生み出されると考えているフィンランドは、国を挙げてサステイナブルに取り組んでいます。

フィンランドは、そうした取り組みもあり、World 2019 Happiness Reportが発表するランキングで2年連続で世界で最も幸せな国に選ばれています。

この国民性が、サステイナブル先進国と呼ばれる所以です。

フィンランド製のパビリオンが東京に出現


そんなフィンランドの息吹を感じられる場所が、東京都心の駐日フィンランド大使館に2020年10月6日にオープンいたしました。

その名もメッツァ・パビリオン

このパビリオンはフィンランドのデザイン、建築、テクノロジーを融合させたもので、フィンランド政府にとっても技術の輸出は初の試み。

15ヵ月間のオープン期間中には、多くの企業イベントや文化的なイベントを開催する、他に類を見ないハイブリットプラットフォームとなります。

フィンランドの木材業者・メッツァグループにより製造されたこのパビリオンの名にもなっている「メッツァ(metsä)」は、フィンランド人にとって大切なもののひとつ『森』という意味です。

9月29日には、現地にて公開記者会見が開かれ、中日フィンランド大使ペッカ・オルパナ氏も登壇。

フィンランドを代表する精密機器メーカーであるNOKIA協力の元、ヘルシンキとオンライン中継で繋がれ、ヴィッレ・スキンナリ開発協力・外国貿易大臣がホログラムで登場するというサプライズ。

フィンランドの技術力とホスピタリティを感じさせる一幕もありました。

パビリオンの役割とは?


フィンランドは、別称『森と湖の国』とも呼ばれる美しい国。このパビリオンに森という名前をつけたのには、自然と共生するフィンランド人にとって大切な森を再現し、持続可能な森林環境で育てられたフィンランド産の木材を使用したという背景があります。

ビジネス上のプラットフォームなだけでなく、2021年夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックの期間中は、オリンピックチームのナショナルパートナーハウス「ホーム・オブ・フィンランド」として稼働します。


メッツァ・パビリオンは公共・民間の共同プロジェクトで、東アジア地域におけるフィンランドの単独輸出キャンペーンとしては史上最大のもの。

日本はフィンランドにとってヨーロッパ以外で2番目に大きな貿易パートナーであり、約160社の日系企業がフィンランドで事業を展開しています。メッツァ・パビリオンでは、両国の企業間に新しいコネクションが生み出されることが期待されています。

パビリオンが目指すサステイナビリティ

パビリオンの主なテーマはサステイナビリティ、自然、そしてテクノロジー。

ハイセンスなことで知られる北欧デザインですが、フィンランドはヨーロッパのなかでも珍しく木造建築が盛んです。

そのフィンランドデザインを象徴するような建物の建材としてKerto LVL®という合板を採用したことで、環境に優しく持続可能な建築が実現し、プロジェクトの効率化にも繋がりました。

パビリオンの設計は数々の受賞歴があるフィンランドの建築事務所Helin & coによるもの。


この薄い板を重ね合わせた合板は、大きな木材がなくても建材を作り出せるようになり、間伐材や歪みの出やすい木など、あらゆる木材を有効活用することができます。

また合板にすることで強度が増し、強度のバラツキを最小限にとどめることができ、度重なる利用にも耐えられるようになりました。


このKerto LVL®で作られた建築合板でできた壁や柱を留めているのはボルトのみのためすぐに建築と解体ができ、手間をかけずに次の場所へ解体・輸送・再建築が可能。

東京のこのメッツア・パビリオンもたった3週間で完成したというのですから驚きです。

ちなみに、メッツァ・パビリオンとしての東京での役目が終了した後は、廃棄処分をせずに解体した状態で引越しし、次の2022北京オリンピックでのメディアセンターとしての役割が決定しています。

なんでも10回ほど再利用が可能とか。

今後10回に渡りオリンピック会場や大規模イベント周辺の施設として登場することが予想されるため、フィンランドを象徴する名物になりそうですね!

そして廃棄物をできるだけ出さないということは、新しい材料を必要としないということであり、持続可能に繋がります。

サステイナビリティを目指すメッツァパビリオンで、フィンランドの木材がどのようにエコでサステイナブルに使われているのか、ぜひご覧ください。

一般の方もご来場いただけます


メッツァ・パビリオンのオープン期間中は、主に企業がイベント会場として使用しますが、一般の方に開放いただく機会もあります。

10月中旬から、フィンランドの様々な魅力を紹介するセミナーやウェビナー、展覧会などが順次予定されており、11月の三連休には観光や文化、また日本でも人気上昇中のフィンランドのスポーツ「モルック」を体験するイベントが企画されています。(イベントはすべて事前登録が必要となります。)

オープンハウスイベントの詳細は、メッツァ・パビリオンの公式ページをご覧ください。

また、メッツァ・パビリオンの公式フェイスブックページもございます。

フィンランドに想いを馳せて

東京の都心にて、自然との調和を大切にするサステイナブルなフィンランドを体験できるチャンスです。

普段入場すら叶わない大使館の敷地に足を踏み入れるチャンスでもあるので、ぜひこの機会に大使館を訪ね、フィンランドから来た木に触れながらサステイナブルな生活について考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。

All photos by TKY Kawaguchi

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TKY 世界一周トラベルスキー・サーファー

スキー・サーフィン・旅をテーマに、世界一周や在住など50カ国歴訪。 大学生時代はワーキングホリデーからバックパッカーまで必死に旅に出る。 卒業後は一部上場企業にてスキープロスタッフを8年間務め社会経験を積む。 その後、スキー&サーフボードを積んでロードトリップ世界一周達成。 現在は独立しプロスキーヤー・山岳スキーガイド・サーフィンガイド・トラベルライターとして活動。 全国通訳案内士。利尻富士アンバサダー。 僻地でのローカル旅、ロードトリップが得意。

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