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1998年富山県生まれ。上京後の2年間「TABIPPO学生支部」活動を経験した後、社内インターン生へ。旅と競技観戦が趣味。将来は海外に住むことが夢。

TABIPPO編集部のあかねです。みなさんは自分のお気に入りを求めて旅に出ることはありますか?

近年はクラフト市や蚤の市など『一点モノ』と呼ばれるお気に入りに出会う機会を求めて、地域を巡る人も増えてきたように思います。

今回は、関東在住の陶器好きな方で知らない人はいないほどに有名な、茨城県笠間市と、栃木県益子町に1泊2日で行ってきました。本記事では、2地域の魅力を巡った際の様子や、それぞれの地域に関わる素敵な方々のことをお伝えします!

『かさましこ』地域って?

『かさましこ』というのは、関東平野の北部に位置する茨城県笠間市と栃木県益子町の2地域を合わせた呼称です。古代より同じ文化圏だった2地域は製陶を通じてつながり合った地域で、東日本屈指の窯業地でした。

時代に合わせて多様な作風を許容する産地へと少しずつ変化していきながら、使い勝手の良い日用品を作り続けていた2地域は、併せて2020年に「かさましこ〜兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」という名前で日本遺産に登録されました。

その自由でおおらかな環境は過去から変わらず表現者を惹きつけており、600名を超える陶芸家が活躍しているそうです。

おしゃれな若者が集まるまち、益子エリア


小旅行当日。土曜日の朝早く、東京の家を出発して益子へと向かいます。

あたたかな日差しの中鉄道に揺られること、2時間半。益子駅に到着後まず最初に向かったのは益子参考館という場所。陶芸家であり民芸運動家である濱田庄司さんが、古民家造りの自邸を一部公開してつくられた博物館です。


館内には、人間国宝である陶芸家・濱田庄司さんが手がけた作品だけでなく、自らが中国、朝鮮、台湾、太平洋諸国、ヨーロッパ、中米など様々な国を訪れた際に収集した陶器や民芸品など、さまざまなアイテムが置いてありました。


これは濱田さんが作陶の参考にした品々を共有する……という意図だけでなく、広く一般の工芸を愛好する人々に参考にして欲しいとの願いがこめられているのだそう。施設周囲の豊かな自然とも相まって、あまり陶器について知らない人が訪れても視覚的に楽しむことができますよ。

■詳細情報
・名称:濱田庄司記念益子参考館
・住所:〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3388
・地図:
・電話番号:02-8572-5300
・公式サイトURL:https://mashiko-sankokan.net/


次に向かったのは、城内坂という益子町のメインストリート。500mほどの通り沿いには、個性豊かなカフェやセレクトショップ、ギャラリーが数多く並んでいました。

店頭に並ぶ陶器は、平皿からカップ、おちょこや箸置きなど。色も形も材料も、ひとつひとつ異なっていて、益子焼の枠組みに囚われない姿勢が全面に伝わってきました。


ひとつずつが手作りの陶器たち。実際に手に取ってみるとそれぞれの個性がわかります。陶器が手に収まる感覚がひとつひとつ異なっていて、気付けば自分の手に収まるものを探しはじめていました。

じっくり時間をかけて見つけた“お気に入り”は愛おしい気持ちが大きくなり、購入を決めました。想像以上にお手軽な値段なおかげで気軽に購入できることも、益子焼が広く親しまれている理由のひとつです。


散策は1時間程度でしたが、時間が経つのがあっという間に感じるほど、魅力にどっぷり浸かってしまいました。

■詳細情報
・名称:城内坂
・住所:〒321-4218 栃木県芳賀郡益子町
・地図:


城内坂を下から歩いて行くと、その入口となる交差点にあるのが『日下田藍染工房』。江戸時代から200年以上続いている藍染屋で、現在も藍染が行われているそう。

当時建てられた建物は、栃木県の有形文化財に指定されている貴重なもの。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような空間は、居るだけでなんだかワクワクします。


400坪の敷地には、藍染めを行う甕場(かめば)がある母屋のほか、染糸を織る織り場、型染めする板場など5棟が立っています。自由に見学のできる母屋では、染料液が入った藍甕72本が整然と並び、創建時からいまも現役で稼働している様子を目の前で見ることができます。


かつて日本人の衣類の8割を染めた藍は、海外では今でも「ジャパンブルー」と人気です。しかし、昔ながらの紺屋は時代と共に減り、現在県内では日下田藍染工房を含めた2軒のみに。

そんななかで「天然染料の可能性をもっと探りたい」と、日下田正さんは、80歳を超えても創作意欲に満ち、様々なあたらしい益子木綿の使い方を模索しておられます。手仕事ならではの繊細さを守り育てる真っ直ぐな姿に、日本人の本当の美しさを感じた気がしました。

■詳細情報
・名称:日下田藍染工房
・住所:〒321-4218 栃木県芳賀郡益子町城内坂1
・地図:
・電話番号:02-8572-3162
・公式サイトURL:https://www.jetro.go.jp/en/ind_tourism/higeta_aizome_kobo.html


さて、昔ながらの商店街から横道を1本入り、蔦の葉に囲まれた蔵のようなお店へ向かいます。こちらは『pejite』というセレクトショップ。昔ながらの米倉の内側を改装してつくられたお店だそうで、日本人の手仕事が感じられる、日常を彩る品々が取り揃えられていました。


時を経ても未だ色褪せない明治・大正・昭和初期に作られた日本の美しい家具、益子を中心とした作家の器、シンプルながらもこだわりの詰まったお洋服など、いずれも大量生産ではない方法で作られたものばかり。


空間からこだわり抜かれたこのお店を堪能するためだけに、自分の“お気に入り”を求めてわざわざ益子へ訪れる方がいるというのも納得でした。

■詳細情報
・名称:pejite(ペジテ)
・住所:〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子973-6
・地図:
・営業時間:11:00〜18:00
・定休日:木曜日
・電話番号:02-8581-5494
・公式サイトURL:http://www.pejite-mashiko.com/


お待ちかねのランチタイムは、須田ヶ池という池のほとりにある『STARNET』というお店へ。「身の回りにあるもの、手の届く範囲で、心地よく暮らす。」をコンセプトに、カフェと雑貨屋がひとつの場所にあるお店です。

広い空間を贅沢に利用したカフェは、家具や器などを含めた全てになんだか落ち着きを感じる空間でした。カフェのメニューも「自然食」と呼ばれる、農薬や肥料を使用しないオーガニック素材をできるだけ用いたものが多く、自然や身体を大切に思う気持ちが伝わってきます。


「平飼い鶏のそぼろ親子丼」( ¥1,250)

雑貨エリアに並べられた商品のほとんどは、日々の生活の中にある、食べるもの、使うもの、そして身に纏うもの。手仕事で作られたものがほとんどで、こだわりを持ってお店に置かれていることが伝わってきます。

窓から木漏れ日が差し込むお店で、職人さんへ想いを馳せ、商品から豊かな生活のヒントやあたたかさを受け取る。独自のゆったりした時間が流れる、とても居心地の良いお店でした。

■詳細情報
・名称:STARNET
・住所:〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3278-1
・地図:
・営業時間:11:00〜17:00
・定休日:木曜日
・電話番号:02-8572-9661
・公式サイトURL:http://www.starnet-bkds.com/


お食事をいただいたあとは、STARNETから歩いて1分もかからない場所にある「小峰窯」という、陶芸体験が楽しめる窯元を訪れました。

ここでは粘土を使った陶芸教室を開催しており、陶芸体験や手びねり体験、ろくろ体験、絵付体験などをすることができるそう。小学生の体験学習で滞在されたり、大学生の小旅行で訪れたりなど、年齢を問わないたくさんの人が陶芸の体験をできる施設になっています。


併設する雑貨ショップ「nagi」では、人気作家・陶芸家の作品や雑貨などの販売もしているのですが、作り手のお名前が見える売り場はなんだか新鮮で、ついその職人さんのことを考えずにはいられません。


こんな素敵な作陶をなさる方はどんな方なのだろう。お名前やアトリエの名前を見て考えたり、店員さんに実際にその職人さんのお話を伺ったりと、その陶器ひとつが作られた背景への想像は膨らむばかり。

それぞれの陶器に想いがあることを考えると、自分もお気に入りの陶器とのストーリーを膨らませたくなり、気に入ったカップを見つけて自宅へお迎えすることにしました。

■詳細情報
・名称:小峰窯
・住所:〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3169-1
・地図:
・電話番号:02-8572-6311
・公式サイトURL:http://komine-gama.com/


そして、この日最後に訪れたのは「ETOWA KASAMA」という宿泊施設。吸い込まれそうなほど開けた空の下で、グランピングやコテージでの宿泊体験を楽しむことができます。客室の種類はさまざまで、宿泊人数や目的に合わせて選ぶことができるそう。


客室キャビンはそれぞれがこだわりの空間になっており、ベランダにBBQセットが完備されているので、仲の良い友達と一緒に週末を過ごしたくなります。


また、ワーケーション専用の場所も確保されているので、仕事仲間と訪れることも可能。テントの中という一風変わった環境で、仲間と楽しく仕事をしてみるのもたまには良いかもしれませんね!


エントランスの前は開けた丘になっており、笠間の町を一望することができます。眺めはもちろん最高で、なんと朝は雲海を見ることができるそう!また、季節によってはその丘のそばで野外バーがオープンしており、町を見下ろしながらゆっくりお酒を嗜むことができます。

「ETOWA KASAMA」で自然のそばで、大切な人と一緒に、丁寧にゆっくり過ごす時間を想像して、なんだか幸せな気持ちになりました。

■詳細情報
・名称:ETOWA KASAMA
・住所:〒319-0201 茨城県笠間市上郷2775-7
・地図:
・営業時間:9:00〜20:00
・定休日:不定休
・電話番号:02-9956-7075
・公式サイトURL:https://www.cigr.co.jp/etowa/kasama/index.html

その他

1998年富山県生まれ。上京後の2年間「TABIPPO学生支部」活動を経験した後、社内インターン生へ。旅と競技観戦が趣味。将来は海外に住むことが夢。

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